11 決着
風より早く襲い掛かる拳を二本の剣で受け止めるロー・アース。
「??????! 」腕を切り裂かれ、驚愕に包まれる『しんえんなるうみ』の表情。
「おめえらああああっ!!!!!!! 気合いれろおおおおっ!!!!! 」
一斉に放たれる銛のついたロープ。網が『しんえんなるうみ』に絡む。
銛はかえしがついていて、それを即座に『館』に打ち付けるグローガンの手下たち。
ぶちぶちと切り裂かれるロープ。しかし、グローガンの手下たちもひるまない。
「なんか、力が身体の奥から沸いてきますっ! 」「コイツは、ゆるさねぇっ?! 」
その銛の一撃は、上位巨人の肌を貫通し、大地に『しんえんなるうみ』を繋ぎとめていく。
銛についたロープをつたい、ファルコが、ロー・アースが、グローガンが、『しんえんなるうみ』にきりつける。
俺は弓を引き絞る。
巨大な『腕』が俺の矢を掴む。
これが、『正義』の力だ。
轟音を伴って、其の矢は『しんえんなるうみ』の頭を吹き飛ばす。
「がああああああああああっ!!!!!!!! 」
頭が吹き飛ばされ、口の部分しか残っていない『しんえんなるうみ』は銛を引き抜いて襲い掛かってくる。
振り下ろされる、『しんえんなるうみ』の腕。しかし其の腕は俺に届く前に吹き飛ぶ。
ニコリと笑う。ファルコ。笑い返す。俺。
「いくのっ! 」目に見えぬ速度で駆けるファルコ。
鋭いひねりと、回転を伴い、光の矢となった彼は『しんえんなるうみ』の胴に飛び込んでいく。
今度は 誰も止めない。
『いけええええええええええええええっ!!!!!!!! 』
俺たちの思い。『正義』の怒りを込めた一撃は。
上位巨人族の皮膚を突き破り、肉を削ぎ、骨を砕き、内蔵を貫いた。
ゆっくりとくずれおちる。『しんえんなるうみ』。
はたして、血まみれの中から、ゆっくりと顔をだした子供の姿の妖精は。
「みゅ? 」
そういって、優しい笑みを俺たちに向けた。
俺たちは歓声をあげて、奴を胴上げした。