4 親の顔が見たい
「……ふむ。イルジオンのいう冒険者は君たちか」
でかっ? でかっ? マジでかっ? その背丈。俺たち3人を縦にして二倍分はあるだろう。
恐らく美男美女なんだろうけど。
……こっちとあっちじゃ、でかさに違いがありすぎて美醜はサッパリわからん。
「「「と、いうか、騙されました」」」
俺たち三名が一斉に言うと彼ら二人は苦笑した。
『巨人族の子供とは露知らず、ヤツに飛ばされて来て見たら。か』
しかも帰り道を用意しないとか、断る余地がないじゃねぇか。
「俺たち、午後には別の用事があるんですが」俺たちは事情を説明する。
誰でも使えるトイレという施設を街中に作ろうと尽力している学者の手伝い及び護衛を任されているのだ。
「……この体格差では話し難いでしょう。……貴方」
彼らは首を縦に振り合うと、しゅるしゅると小柄になっていき、
最終的に男は190センチくらい、女は175センチくらいのサイズになった。
『ちっちゃくなった?? 』俺たちはビビる。
「君達の基準からすれば、まだ大きいと思うが……」
ゆったりとしたトーガを身に纏った青年ははにかんだように笑う。なんと美男子。
隣のローブの女も、背が高いことを除けばとんでもない美女だ。九頭身は余裕である。
下手したら高司祭さまより美人かも。うん。
「私たちも今日は午前中は外せぬ用があるのだ。利害は一致するな」
は、はぁ……。
「あのね。なのね。はずせぬよ~ って? 」
ファルコの問いに「それは答えられないわ」と女性は困ったように呟き、彼の頭を撫でる。
「……つまり、夜間と、午後までは交代でここにいて欲しいということでしょうか」
ロー・アースが確認を取ると、巨人の夫妻は頭を縦に振った。
「息子を宜しくお願いします」
こうして、俺たちは謎の巨大な赤ちゃんの世話を夜通しすることになったのだった。