2 一日目の回想
「ね、ね!! あの館かな!! 」
ファルコがはしゃぐ。おちつけよ。まったく。
「あれ? 」
俺達は歩く。結構歩いたはずなんだが。
「……? 」
歩く。しかし近くにあるはずの館にたどり着かない。
「おい! イルジオン! どういうつもりだっ! 」
思わず叫んだが、返答はない。当然かもしれないが。
『館』から出て直に見える『館』。歩いても歩いてもたどり着かないんだが。
「『蜃気楼』の魔術か? 」
そういってロー・アースが魔法感知の術を使うが。
「……普通の館だな」
「いってくるの! 」止めるまもなくファルコが駆け出す。
其の小さな身体はあっという間に豆粒のサイズに……サイズに……。
「でっか~い! 」
……。
「まさか」
ロー・アースが俺のほうを向く。お前、顔を寄せるな。意識してしまうじゃねぇか。
「まさかどころじゃなさそうだぜ」
耳だけではなくて、視覚も半妖精は人間より優れている。
「館は」その仔細を彼に告げる。俺。
「また。騙しやがったな」やる気なさそうにあくびをするロー・アース。
イルジオンこと『まぼろしのもり』のすることだからなぁ。
ウソを平然とつくとか、トンでもねぇエルフだ。
俺達の目の前には、巨大な、巨大な『館』があった。
「まさか」
「かわいいっ~~~! 」
ファルコの声が聴こえる。
「でっかい赤ちゃん!!!!!!!! 」
……。
「帰ろうぜ。ロー・アース」
「ああ」
帰りの『イルジオンの館』は出現しなかった。