1 一日目。終了
「お前等、なぜそんなボロッボロなんだ? 」
知り合いの盗賊、レッドが俺たちを見て不思議そうにしている。
「ファルコ。おしっこくさいぞ」「みゅ……」
そういって泣いている幼児みたいな姿の相棒は、
グラスランナーと呼ばれる妖精族で、立派な成人である。
「ロー・アース。またウンコ臭いんだが。
下水道に侵入するくらいなら、もう少しマシな盗み先教えてやろうか? 」
「「「盗みに行ってるワケじゃねぇ」」」
俺たちは一斉にレッドに抗議した。
肩をすくめるレッド。「しかも三人とも体中打ち身になってるし……」
そういってにやけるレッド。「ホント、どんな仕事だよ? 」
隣ではアキのほか、店主のエイド……さん(最近「さん」をつけることが出来るようになってきた)と、
女将のアーリィ(まだ無理)がニコニコしている。
エイドの「ニコニコ」ってマジ怖いんだが、指摘すると泣き出すので黙ってやる。
そんな中。
「赤ちゃん」
ファルコがそういった。
ファルコにはよくあるが、言葉足らずなときがある。
「……」
レッドは口にくわえた楊枝をポロッと落とした。
「チーアと、ろぉとね。仕方ないからぼくがお手伝いしてるの~」
レッドはテーブルから立ち上がった。
「ロー・アース」
彼はにこやかに笑い。
「決闘だ」
……なんでそうなるんだ? マジで。