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12 しなやかな脚は天を目指す

 「我が神の眷属を殺すだと? やってみるがいい! 」

女はヒステリックに笑い、ロー・アースと剣を交わす。


 「ファルコ??! 」俺は思わず叫んだ。

エイもどきからすごい勢いで肉の触手と体液が飛び出す。それらを回転しながら避けるファルコ。


「ちいやはみんなを逃がすのっ! 」


た、確かにおっさんたちやチンピラとはいえ巻き込むには忍びない。

グローガンたちもとんだ糞野郎どもだが殺すほどの連中でもないし。


 「起きろっ! 」

手近な作業員をたたき起こすと短剣を手に襲い掛かってきた。あぶねぇ?!


 「アレをみろっ! そんな暇じゃねぇ! 逃げるんだよっ! 」「うっひゃぁあ?? 」

大暴れする巨大なエイもどきと戦う幼児ファルコの姿はすごいインパクトがある。

「こらっ! てめぇだけ逃げるなっ?!! 」「ひっぃぃっ!! 助けてっ!! 」手伝えこらっ?


 男は恐怖のあまり、脚がもつれて俺の目の前で転んだ。

俺は彼を引っつかみ、数発ビンタをかまして正気を取り戻させて。

「ほら、皆倒れているんだっ??! てめぇも手伝えっ! 」寝かしたの俺の仲間だけどな。うん……。


 俺は作業員をたきつけて戦場から追い出すことに成功した。

グローガンたち? ……慈愛神の加護あれ。


 「ファルコ??! 」俺はエイもどきに矢を放つ。

エイの体液を浴びかけたファルコは矢の攻撃でなんとか体勢を整えなおしてその一撃を避けた。

あちらではロー・アースと女が激しくうちあっている。

女はロー・アースになんとかしてもらうとして、エイもどきだ。


 「風よっ!! 」強風を呼んでエイもどきの注意を引く。

「火霊よっ! 矢となり敵を討てっ!! 」弓から複数の炎の矢を射ち、奴の身を焼く。

俺に目標を変えようとするエイもどきだが、……背後にはファルコがいる。


 「てい! 」

炸裂ダートが炸裂。怯むエイもどき。


 「光霊よ。剣となりて敵を討て! 」

複数の光の弾丸を一度に放つ俺。


 「いくのっ! 」

短剣を手にエイの背に飛び乗り、短剣をエイに突き刺すファルコ。

俺は空中で暴れるエイを必死でかわす。『悪意の鍵』がたくさん詰められた木箱が大音響とともに砕け散る。


 とっさにエイもどきの背を蹴って難を逃れたファルコはくるくるっ! と回転して俺の前に降り立つ。

左手の黒い盾をかざし、輝く白い短剣を握って俺の前に立つ奴はまるで騎士のような凛々しさ。


「行くの」

ああ。判ってる。


 ダダダッ! と激しく地面を駆ける音。だがその音より早く奴は駆ける。

一瞬視界から消えていた奴は倉庫の壁や木箱を蹴り、全方位から短剣で切りかかる。

格闘戦を挑むとあの肉に呑まれかねないと判断しての撹乱戦法だ。


 「ちいや! 」

俺は銀でできた矢を複数本まとめてエイもどきに射ち込む。

「てぃ!! 」そこにファルコの炸裂ダーツが炸裂。普通のダーツも混ぜて。エイもどきに突き刺さる。

激しく暴れるエイもどきだが、効いているのかいまいち判らん。


 「ファルコ! 」ロー・アースが叫ぶ。

俺たちを覆う暖かい光。奴の援護魔法だ。


 「余所見している暇があると思って?! 」キレた女の斬戟をかろうじてかわす彼。

「やれっ!! 」今度は俺たちの武器を青い光が覆った。魔法強化だ。

「小賢しいっ? そんな暇あると思って??! 私だけを見てよっ? ボウヤッ?! 」


 激しく討ち合う男女。どうみてもロー・アースが不利だが。

「来るなっ! チーア! 」??!


 「……おい。そんなに動き回って周囲の麻薬の匂いは大丈夫か? 」「???!!! 」

「俺たちはメイさんの薬を飲んでいたからな」

……倒れた女にロー・アースは不敵に微笑んだ。

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