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7 猫にマタタビ。俺に酒

 ちいや、おきて。

ファルコに起こされた俺は悪臭に顔をしかめた。


 「ちいや。ねげろしちゃらめ」

うえええ。もらいゲロした。もうだめだ。


 「……シーツ、洗濯宜しくね」アキが苦笑いしている。

「まったく。莫迦餓鬼。人のベッドを汚しやがって」吊り目の年増美女(メイがため息をつく。

「うえええええ」「ほら、顔ふきなって」口は悪いが親切だ。


 「ああ。雑巾だ。コレ」前言撤回。絶対ワザとだ。

「ホレ、不味いが二日酔いには効く」……死ぬほど苦いっ??! なんじゃこれ??!!

「母さんの薬草は魔法より効くのよ?」そ、そうか。意外な特技だ。

「わざと不味いもの混ぜるけど」やっぱりかっ??!! 強烈な後味に悶絶する俺を見ながらアキはカラカラと笑ってる。


 「レッドは思いっきり叱っておいたけど、今度お酒呑んだらコレの味を思い出すことね!!! 」

二度と呑まん! うげええええ!


 「メイさん。チーアは起きましたか? 」

部屋の外からロー・アースの声。


 「ちょっと待ちな。ロー・アース」メイは手早く化粧と身だしなみを整える。

「まだ空けるな! 下着姿だからな!? 」別に下着じゃないけどな。

メイは身だしなみを整えると胸にスカーフを二つほど入れ、胸の形を整える。

「……胸の大きさ気にする歳じゃないだろ」「うっさいよ? 莫迦餓鬼? 」睨まれた。


 「失礼します」ロー・アースが入ってくるとメイは甘い香りのする薬湯をもってスタンバイ。

「おお。来たか莫迦餓鬼。たまたまいい薬草が手に入ったから呑んでいけ」……たまたま?

毒舌が絶えないのはロー・アースに対しても同じらしい。


 「あっついあっついの~! 」ファルコが薬湯に手を出す。メイはファルコには何も言わない。

「ほう。魔除けの薬草ですね」「はん。餓鬼にしては詳しいじゃないか」

「未来予知や冥界のものの姿や声を聞けると聞きます」こういう顔もできるんだな。ローコイツ

「ふふふ。良く知ってるじゃないか? 」メイは楽しそうにしている。

その頬は少女のように赤い。……ドきつい釣り目と無愛想さを差し引いたら真面目に美人なんだがなぁ……。


 ……あとで薬湯の秘訣習っておこう。頼めば刺繍も教えてくれたし。

……。


 「では、失礼します」

襟首つかまれて退出。首が絞まる。


 「もっとゆっくりしていけ」とメイは言ったが、ロー・アースは頭を下げて部屋を出た。

「ゆっくりしてけよ? 」俺がからかうと。

「莫迦いえ。あのままだとベッドに引きずり込まれる」いいんじゃね? トウは立ってるけど美人だし。

「媚薬と強精剤と栄養剤まで入れてたねぇ」ファルコがのんびりと答える。

……それ、男なら一発二発抜かないと動けないんじゃね?

「俺には性欲がない」


 はぁ??? しょーも無いギャグ言ってるなぁ。


 「とにかく、行くぞ」「うん」「俺二日酔いで動けないんだが」

「メイさんの薬飲んだだろう」……あれ?

いつのまにか二日酔いは治っていた。確かにあの不味い薬の効果は絶大だ。


 『五竜亭』を出た俺は、二人に店の外に引きずりだされ、郊外の森を歩くこと数分。

フレアの広場につく。……フレアでも呼ぶのか?


 だが、何処からともなく姿を現したモノは。

「……やっぱり逃げ出してきやがったか」あの黒猫???

「視線を感じて逃げてきてせいかい(正解)だったねぇ」

あんな猫の群れが襲ってきたら借金がマッハ。


 「当然だっ! 人間めっ!! 覚悟しろっ!! 」

黒猫は人間の言葉で怨嗟の声を上げた。だが、こちらには切り札がある。


 「ファルコ?! イヌハッカの棒頼むっ! 」「ない」え~と。

「というか、アレ、魔物にあれだけ嗅がせると耐性つくよ? 普通の猫さんでも10匹中3匹は効かない」


おいぃぃぃぃッッ???????!!!!!!!!!

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