表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
114/323

9 来た! メイン花嫁泥棒来たッ! これで勝つる!

 「やばい」「やばい」「犯人早く出ろ」「ハヤクキテー! ハヤクキテー! 」

滞りなく進行する結婚の儀式。嫉妬というか怨嗟の声とガチ祝福の声。


 泣き出す女共……って、ロー・アースもてすぎ??!! 幼女から中年老婆まで幅広すぎ?!

「どうなってるんだ? あの女共??! 」


 「……異性にとって魅力的に見えるようになってしまう代償に。

誰にも性欲を抱かなくなるってヤバイ呪いがあってな」

まさか、そんな祈祷を自分から受けたか闇司祭に食らったとか。


 「死に際に『アレ』も余計なものをくれたもんさ」「……」

それで、逆に女を避けていたのか。納得だ。

でも、俺、なんともないんだけどなぁ……どういうこと?


 「少なくともソフィアナには通用しなかったな」「だれ? そいつ? 」

「……お前の『友人』だろ? 」「まさか、高司祭さま? あの人名前あったんだ? 」

「……当たり前だろ」そ、そういえば知らなかった。


 「……コホン」

遠くからなぜかひびく小さな咳払いに背を震わせるおれ達。勿論ジェシカのものだ。


「では。こちらへ」


 ……!!!

花道を歩く俺たちに一斉に歓声と花びらが惜しげなく振りまかれる。


 祝福の声。激励の声。あふれる拍手。

足元がふらふらしそうだ。


 なんども転んだりスカートを踏みそうになるが、

腕を組むロー・アースが皆に気づかれないよう未然に防いだ。


一度止まる。


 司祭モニカに導かれ壇上を上がる俺。ヴェールをファルコが握っている。

花嫁より目立たない程度の綺麗な服を身にまとった高司祭さまが祭壇の前に立っている。


 大きな花束をもった黒髪の美少女をつれて、

ロー・アースがゆっくり壇上に登り、祭壇に跪く。


「表をあげなさい。ロー・アース卿」高司祭さまの声。


「……ドラゴン・アースの子、ロー・アースよ。汝この娘、ティアを娶り……」


……やばいやばいやばいやばいっ?! 本当に結婚させられるっ??!

高司祭さま! 助けてっ??!


 そのとき。

「そこまでだっ?! 」

参列者に混じっていた暴漢が立ち上がり、俺に襲い掛かろうとする。


来たっ!! メイン花嫁泥棒来たっ!! コレで勝つる!!!


 ……あっという間にジェシカと神官一同に取り押さえられ、外につまみ出されました。

役立たずめっ??! 役立たずめっ??!!!


 「(ぼそ)あの役立たずども」「……(無言で頷きかける高司祭さま)」

思わず小声でぼやく俺と、隣に立つ複雑な心境の高司祭さま。


 今頃花嫁泥棒一味は隅っこのほうで慈愛神殿関係者や女冒険者やらその他大勢の皆様に八つ当たり……。

……もとい退治されているのだろう。


 「……ええと。お騒がせしました。儀式を続けます」

現在不在リンチまっさいちゅうのジェシカにかわって儀式の進行を行う司祭モニカ

ジェシカとちがってかなり危なっかしい。別の意味で不安だ。


 「……ちいやっ??! 逃げてっ??! 」……??!

俺を引っつかんで飛ぶ高司祭さま。砕け散る祭壇。


 間髪いれずしゃがんでいたロー・アースの方向にあらゆる方向から複数の矢が飛ぶ。……あ。


 「ローーーーーーーー!!!!!!!!! 」

その矢は一斉に砕け散る。小さな手に握られた葉っぱのような形の短剣と漆黒の盾。


 矢を砕いた『影』はクルクルとまわって大きく手足を広げて舞い立つ。

「……ぼく。参上」


ファルコ??!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ