表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/323

第九夢。ウソつきは結婚の始まり?! プロローグ

長い冬が終わりめでたい春がきた。

春祭りをのどかに楽しむ街に花嫁泥棒の影が迫る。


「なんでテメェと結婚しなければならないんだっ?!」

チーアがまたもキレた。

 あ? あの話の理由が聴きたい? ……やなこった。

……お前もしつこいな。嫌だって言ったぞ?


……。

 ……。

わかったわかった。コトの始まりは4月の始まり頃さ。


 「ちいや。あのね。あのね」

始まりは相棒のファルコ……ファルコ・ミスリルの野郎の余計な話だった。


 俺。チーア。一応冒険者だ。

……ああ。いつも変な依頼ばかり受けてるっていったらはったおす。

「凄いよ。次の仕事は竜退治」「……」


 「死ぬわっ!!!ボケッ!!! 」

俺は奴の口に両手をねじ込んでほっぺをぐいぐい左右に開く。

「あ”い”~~~~~」涙目でじたばたするファルコ。


 「やめなさい。ファルちゃんがかわいそうでしょ」

閑散とした店内に良く通る声。この店のウェイトレスのアキ・スカラーだ。


 「ああん? 俺は竜退治なんて死亡確定な仕事はうけねぇぞっ! 」

俺は彼女に叫ぶ。「……くすくす」「ぷぷぷ」?????


 「そうか。チーアは知らないのね」

女将のアーリィさんは金髪碧眼の美女だが既婚者である。残念である。


 「……この国はな。春のお祭りの間と夏前は、

『罪の無い冗談の範囲の嘘』なら笑って許す習慣があるのさ」

一見、人語を喋る食人鬼か熊だが。この女将を妻にしたという信じられない快挙を成した男がこの熊。

もといエイドさんである。代々続く名店の店主の一族のものである。


 「……嘘つきは盗賊の始まりだっ!!! 」

俺はファルコの口をさらに大きく開いた。

「うええええええん!!!!!! 」「ちょ! 」「やめなさい」「やめろ。今は春祭りだ」


 他の冒険者たちは花が咲いたからといってそっちにいってしまった。

いくら厳しい冬を越したからといっても、この国の皆は浮かれすぎだ。


 「まぁ豊かな国だしなぁ」

泣き出したファルコの面倒を見ているのはおれたちのリーダー? 

……ってことになっているロー・アース。


 「つまり、あれか。『ロー・アース。好きだ。結婚してくれ』とか? 」

「そうそう。いい感じ! 」「そうだな」「あら素敵」「お~。おめでとうなの~! 」

ムスっとしているロー・アース。そして自分の放った冗談にウケる俺。


……。

 ……。

「花嫁泥棒退治。報酬銀貨3000枚 依頼者:各神殿の長(共同)」

依頼書を片手にニコニコ笑うアキ。

後ろで笑うエイドさん。アーリィさん。三人の笑みが悪魔に見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ