4 華麗なる? 交代劇
「……え~と」
泥にまみれていた少女の髪の色は高貴なる金だった。
正直、金色とは思わなかった。ちなみにドミニク本人の髪の色は黒っぽいブラウンである(染めている)。
その体つきは将来的にはかなりの男を惑わすと思われるがまだ未成熟。
だが、石で洗った身体の、肌の美しさ。甘い芳香。
「この、石の所為???!!! 」思わず叫んだ彼女。
奥に控えていた聖騎士たちが飛び込んでくる。
「きゃあああああああああああ!! 」
「しっ! 失礼しました! 聖女さま! お召し物を着てください! 」
……???
しばらくゴタゴタしていたが、やっと衣類が少女に渡される。
あわてて差し出された衣類を纏う信者の少女。
こちらは儀式用の比較的粗末な服(洗濯が可能なもの)を着ている。
「……そっくり」
思わずつぶやく。信徒の少女はあまりにも彼女に似ていた。
「では、去れ」……???
「去れというのだ。もう用はないだろう」何を言っているのだ。隊長は。
「去れといったのだっ!!! 」「阿呆! 私がわからんのか! 聖女は私だ! 」思わず素が出た。
「あの。私は聖女さまではありません。貧しく、哀れな乞食の娘でございます」
隊長は大笑いしながら答えた。「またまたお戯れを。聖女さま」
あとの顛末は散々なものだった。正直思い出したくもない。