プロローグ
伝説の冒険者の物語。
彼らの活躍は伝説であり、時系列に添い、歴史として語るのは難しい。
他の冒険者の冒険譚が統合されている事例など枚挙に暇がなく、
酒場の愚談をまとめた物語に至っては真偽すらわからない。
しかし。それでも。
ファルコ・ミスリルが勇者であったという事実は変わらない。
チーアという黒髪黒目の半妖精の乙女が神の再臨として崇められている事実は覆せない。
ロー・アースと言う青年と彼らが人々の為に尽くした物語。
この物語が喜劇や楽しい酒場の冒険譚として今も伝えられていることは真実なのだ。
プロローグ
雨が降る。雨はやむ気配がない。
街の郊外の小さな森にその宿屋兼酒場はあった。
「五竜亭」と書かれたその宿に入ると、
一人のウェイトレスの少女と耳の尖った黒い髪の少女?(男性かも知れない)が
のんびりと会話していた。どうやら暇らしい。
私は少女に暖かい飲み物を頼むと、軽く伸びをした。
まだ春先とはいえ、雨にぬれた身体には色々ときつい。歳はとりたくないものだ。
少女は「暖かいのに」という顔をして松葉の入ったお湯を持ってきた。サービスらしい。
「おいしい」と私が言うと彼女は微笑んだ。よく笑う娘だ。
「暖かいものがそれしか今はありませんので、しばらくしてお持ちします」
そういうと彼女はまた少女との会話に戻った。
…少々、接客態度がなっていない気もするが、他の「冒険者の店」と比べるとはるかにマシであると思い、
私はこれ以上のことを言わないことにした。
少々遅れて、少女の頭から「ぽかん」という音がした。
彼女の頭を叩いたのは熊のような大男だ。どうやら店主らしい。
20代の金髪碧眼の見目麗しい女性が私にシチューを出してくれた。とても美味しい。
私は店主にとある高名な冒険者達に仕事の依頼をしたいと告げた。
冒険者の代名詞。「ドリームチェイサーズ」の元となった者。
『夢を追う者たち』に。
作品イメージソング
ダ・カーポ「空からこぼれたStory」
谷村新司「昴」
リスペクト。
特撮「仮面ライダーBLACK」アニメ「宇宙船サジタリウス」