なろう系学園ハーレムもの主人公の日常生活のようなもの
目覚まし時計のようなものの音で、今朝も目が覚めた。
腕を伸ばしてアラームのようなものを止めた後、差し込む朝日のようなものに目をすがめながら、一応、時計のようなものの文字盤を確認する。
よし……大丈夫だ。
俺は、ほっと息をついた。
俺はいつも、必要な準備をするより30分早く目覚めるよう、アラームのようなものをセットすることにしている。
目覚ましのようなものがあまり当てにならないということもあるが、それよりなにより、朝しばらくの間、布団のようなものにくるまってもぞもぞするのが、なにより好きだからだ。
うっすら頬に笑いを浮かべつつ、頭から布団をひっかぶり、再び眠りの中にダイブしようとしたその矢先、錠前のようなものを弾き飛ばすほどの勢いでどがんと扉のようなものを蹴り開け、
「おっはよー!朝だよー!」
と、頭にキンキン響く声が落下してきた。
額に思い切りシワを寄せながら両目だけを布団のようなものから出すと、金髪のようなものをツインテールにし、制服のスカートのようなものを必要以上に短くした、女の子のようなものが立っている。
「ほらー、美少女のお迎えだぞ!さっさと起きて、朝ご飯食べな!」
こいつは隣の家に住む桜川絵里香のようなもの。俺と同い年の幼なじみのようなもので、ずっと一緒に育ってきたことになっているのだが、いつもいつも、何かと俺の世話を焼きたがるやつだ。
絵里香のようなものの方が俺よりずっと学校のようなものの成績はよかったから、高校のようなものではようやく離れられると思っていたのだが、なんとこいつはわざわざ俺と同じところを受験し、いまだにこうして毎朝、ずかずか上がり込んでは、俺を起こしに来る。
「ほらあ、早く起きて起きて!起きなさ……ひゃあああっ!」
無理矢理俺の布団のようなものをはぎ取ったはいいが、Tシャツパンツで寝ていた俺の下半身が、健全な男子高校生なら当然の生理反応を示しているのを目撃し、絵里香のようなものは、素っ頓狂な叫び声を上げたかと思うと、
「バカ!変態!なんて物見せるのよ!」
いきなり右手のように見える部位をぐっと握りしめ、俺の下半身めがけ、ものすごい速さで打ち下ろしてきたのである。
「うおっ!」
間一髪のところで体を丸め、攻撃を躱してから、俺はいきり立って叫んだ。
「なにすんだよ!まだ未使用のうちから使い物にならなくなったらどうするんだ!」
「うっさいわね!どうせアンタなんか、一生使うあてないじゃない!」
ものすごい侮辱の言葉を言い捨てたかと思うと、絵里香のようなものはくるりときびすを返し、扉のようなものの残骸を蹴散らしながら、どたどたと階段のようなものを駆け下っていく。
その背中を見送った後、
「しっかしアイツも、毎朝毎朝、本当に懲りねえよな……」
そうつぶやき、俺はベッドのようなものの上で思い切り伸びをしたのだった。
「あら、起きたのね。絵里香ちゃん待ってるわよ。早く朝ご飯食べなさい」
リビングのようなものに入ると、母親のようなものがみそ汁のようなものをよそいながら、そう話しかけてきた。
「ああ」とも「うん」ともつかない返事をしながらみそ汁のようなものを受け取り、いつもの席に座る。と、先に座っていたアネキのようなものが、ガツガツとご飯のようなものを頬張りながら、ニヤニヤと笑みのようなものを浮かべる。
「北斗、また下着だけで寝てたのか?絵里香ちゃん、真っ赤になってたぜ?」
「うるせえな、俺がどんな格好で寝ようと俺の勝手だろ」
それだけいうと、俺は背中を丸め、音を立ててみそ汁のようなものをすすり、箸のようなものを手にして朝飯のようなものをもそもそ食べ始める。
「あーあ、全くいつまでたっても子どもだね、アンタは。絵里香ちゃんからあんなに愛されてるってのに、意地悪することでしか愛情表現できないなんて。あたしからしっかり伝えてやろうか?」
俺は危うく食ってたご飯のようなものを吹き出しそうになった。
「てめ、余計なコトすんなよ、絶対だぞ!」
血相を変えてそういったのだが、アネキのようなものは全く応えた様子がない。むしろ、いかにも意地悪そうな笑みを浮かべ、
「さーて、どうしよっかな。あたしから言われるのがイヤなら、しっかり自分でいうんだね」
と、すっかり見下したような口調で言うのである。
アネキ――「巽南」のようなものは、俺と違って運動ならば全て超絶得意、高校時代はバレーのようなもの部に所属し、全国大会のようなものに出場。今はスポーツ特待生のようなものとして、大学のようなものに通っている。
「さあ、そろそろでないと。北斗、アンタも急ぎなさいよ。じゃ母さん、行ってきます」
俺をいじるだけいじって気が済んだのか、アネキのようなものは最後のご飯粒のようなものをかき込むと、せかせかと立ち上がった。
そのままリビングを出て行くのかと思ったのだが……ふと、何かを思い出したかのようにアネキのようなものは急にUターンし、こちらに引き返してきたかと思うと、いきなり俺の頭を抱きかかえ、巨大な胸の谷間のようなものにぎゅっと挟んだのである。
「しかしまあ、まだまだ子どもだと思ってたのに、いっちょ前に女の子泣かすようになっちゃって。お姉ちゃんはうれしいぞ?」
「なにすんだよ、いいから離せよ!」
いきなり後方からの攻撃を受け、俺は後頭部にあてがわれた部位の柔らかさを強く意識しながら、ぶるぶると頭を振る。
が、そんな反撃などものともせず、アネキのようなものは俺の耳に顔のようなものを寄せた。
「こんだけいい男に育ったんだし、絵里香ちゃんに上げるのはちょっともったいないかな?その前にあたしがちょっと味見しちゃおっかな~」
そういうと、いきなり大きく口のような部位を開き、俺の耳にかぶりつこうとする。
あらかじめそれを予想していた俺は、その瞬間を見計らって、あらかじめつまんでいたおかずの卵焼きのようなものをその中に放り込んでやった。
アネキのようなものは、モグモグと卵焼きのようなものを咀嚼すると、ごくりと飲み込む。
「北斗さあ、最近本当に躱し方もうまくなったよね。ちょっと残炎。でも、ま、卵焼きゲットできたからいいけど。じゃ、行ってきます!」
すたすたと長い足のような部位で飛び跳ねるようにして玄関に向かうアネキのようなものを見送った後で、俺は、
「やれやれ、あの人も本当に毎朝毎朝同じことをくり返して、飽きねえのかな……」
とつぶやいたのだった。
校舎のようなものの入り口をくぐったところで絵里香のようなものと別れ、そこからちょっとトイレのようなものへ。
うっかりスマホのようなものに夢中になっていたら遅刻寸前の時刻となってしまい、俺はあわてて教室のような場所へと駆け込んだ。
「やれやれ、間に合った……」
ほっとして、机のようなものにばったりと倒れ込んだところへ、腰のような部位に手のようなものを当て、仁王立ちになったものがいた。
のっそり顔を上げると、それは目のようなものをつり上げ、歯のようなものをむき出して、笑顔のような表情を浮かべている、女子のようなものである。
「おはようございます、タツミ君。今日もずいぶん優雅な登校ですね」
「あ……おはようございます」
目の前に立っているのはこのクラスのようなものの学級委員長のようなものを務める、長堀さやかのようなものだ。長い黒髪のようなものとメガネのようなものがトレードマークで、成績優秀、品行方正な、俺の天敵のような存在である。
「タツミ君。今日という今日は許しませんよ。このクラスで進路調査票を提出してないのは君だけなんですからね!」
「ああ……うん」
「今日はちゃんと持ってきてくれたんでしょうね?」
「いや」
「なんでですか!昨日もあれほど……」
「いや、だってさ、進路ったって、今まだ全然考えてねえし、それに、こんなところで進路なんて考えたところで……」
「なに言ってるんです!あなたの!将来のことなんですよ!真面目に考えないでどうするんです!」
むきになったかのように大声を出すさやかのようなもの。びっくりして目を丸くしていると、さやかのようなものはふと目をそらし、目のようなものを潤ませる。
そして、
「それに……あなたがきちんと将来を決めてくださらないと、私が困るじゃないですか……」
ぼそっとそうつぶやいたのである。
「え?それってどういう……」
そう聞き返すと、さやかのようなものははっとした様子で再びこちらをきっとにらみつけたかと思うと、
「なにを言わせるんです!」
と、ものすごい速さの「平手のようなもの打ち」を繰り出してきた。
とっさに上体を思い切りそらしてその恐るべき攻撃をかわすと、俺はぎゅっと顔をしかめ、さやかのようなものをにらみつける。
「なにすんだよ、委員長!暴力反対!」
すると、さやかのようなものははっとして、
「わ、私としたことが、ついかっとなってしまって!申し訳ありません!」
と、長い黒髪のようなものを地面につくほど深深と頭を下げる。
「あ、いや、いいけどさ、当たらなかったし……」
あまりに丁寧な謝罪にどぎまぎしながら俺がそういうと、さやかのようなものはぎゅんと体を起こし、再び俺をぎっとにらみ据える。
「それはそれとして!とにかく!早く提出してください!お願いしましたよ!」
それだけ言うと、肩を思い切り怒らせ、どすどす地面を踏みしめるようにして立ち去っていった。
(ったく、委員長もいつもいつも、しつこいったらありゃしねえ。俺のことなんか放っておいてくれればいいのに……)
その後ろ姿を眉をひそめて見送った後、俺は再び机のようなものに突っ伏したのである。
放課後。俺は、アニメのようなもの研究会の部室のようなものにいた。
「ぐふふ、今期の放送でセッシャのイチオシはなんといっても『爆裂少女リリスちゃん!』でゴザルな。次点としては『魔王少女ミミちゃん危機一髪!』『天空落下ゴリメスティン!』の二つでゴザルが、どちらがよいか今決めかねておりましてな……」
「お前それ、ロリ少女のパンチラ見たいだけだろ」
「な、なにをおっしゃるでゴザルか!セッシャは純粋に作品のオリジナリティと制作スタッフのクオリティを吟味した結果、最も有望と思われるものを挙げたまででゴザル!そういうタツミ氏はどの作品オシなのでゴザルか!」
「そりゃ『鬼神装着烈風伝』だろ」
「ななな、なんと!むさい男どもが有り得ないほど巨大な武器で斬り合い殴り合うだけの作品ではゴザらぬか!あんなものを喜ぶとは、マコトにイカンでありますぞ、タツミ氏!」
「うるせえな!俺はああいうガチ設定の作品が好きなんだって、何回も言ってるだろう!」
「ああ、もう、分かってないでゴザルな!よろしいですかな、そもそもアニメの表現というものはですな……」
今俺の目の前で熱く語っているこいつは、俺と同じ「アニメのようなもの研究会」に所属している「深江新」のようなものだ。
同級生のようなものであるこいつは、俺が知っている中では一番のデブで、だるんだるんの体とたぷたぷのアゴをしており、いつもぶふーぶふーと苦しそうに息をする、暑苦しいヤツだ。だが、至って性格はよく、3次元でリア充になることなどはなからあきらめ、その代わり2次元をこよなく愛しまくっている。
なぜか女子どもに構われ、いじられまくる生活の中で、こいつとアニメのようなものについて熱く語っているこのひとときだけが、俺が唯一ゆったりできる至福の時間なのである。
だが、それも長くは続かなかった。
「先輩……」
部室のようなものの扉のようなものがそーっと開いたかと思うと、目のような部位に涙のようなものをいっぱいに貯めた、小柄な女子生徒のようなものがちらりと顔を出したのだ。
こいつは玉川優奈のようなもの。同じアニメのようなもの研究会に属する後輩のようなもので、とにかく気が弱い。
なにをするにも一人ではできず、なにかというと涙のようなものを流しながら、俺を頼り、相談事を持ちかけてくるのである。
この時もそうだった。
「先輩……顧問の今里先生がちょっと話があるから、部長を呼んで来いって……」
「呼びに行ったらいいだろ」
「でも……部長、三年生の教室にいて……お友達みたいな人とおっきな声でお話ししてて……」
優奈のようなものの目のような部位に、みるみる大きく涙のようなものが盛り上がってるのを見とがめたのか、深江のようなものがあわてて助け船を出した。
「タツミ氏、行ってやるでゴザルよ。玉川氏、困っているではありませんか。先輩として、後輩の頼みは聞いてやるべきでゴザろう」
「だったらお前が行けばいいだろ」
「セッシャ?いやいやいやいや、セッシャは無理でゴザルよ!リア充の群れの中に入っていくなど言語道断!それに、もしもあの、部長ドノと一緒に親友の生徒会長ドノなどいらっしゃったら、セッシャ間違いなく血祭りにされてしまうでゴザルよ!」
部長のようなものである阪野はるかのようなものは、こよなくイケメンのようなものを愛するドSであり、同じような性格をした親友で生徒会長のようなものである、神田佳乃のようなものと一緒になって、気に入らない男子生徒のようなものをよってたかって攻撃し、再起不能なまでにズタボロにするのが趣味なのである。
俺は、大きくため息をついた。
「分かったよ。玉川、行くぞ」
「はい!」
椅子から立ち上がり、扉を大きく開けて廊下に出ると、すぐ後ろについた優奈が、俺のブレザーの裾をぎゅっと握りしめてくる。
「おい、そんなに強く握るなよ。染みになるだろ」
「だって……」
今にも泣き出しそうに顔のようなものをゆがめ、優奈のようなものはじっと俺を見つめる。
「……分かったよ。そのままでいいよ」
とうとう諦めた俺が歩き出すと、後からついてきた優奈のようなものが、
「先輩……ありがとうございます」
と、心の底からうれしそうにつぶやく。
俺は肩をすくめると、
「あまり強く握りすぎて、制服破るなよ」
そう言い捨てると、大股で廊下を歩き出したのだった。
夜。
机のようなものに向かってペンのようなものを走らせていた俺は、大きく息をついた。
部活のようなものの顧問のようなものであると同時に、俺のクラスの担任のようなものである今里玲香先生のようなものの勧めで、俺は数ヶ月前から日記を書いている。
この時も、その日記を書いている途中だったのだが、部室を出てからのできごとがあまりに濃密で目まぐるしかったため、ちょっと頭の中を整理しようとしていたのである。
(ええと……あの後三年生のようなものたちの教室に行って、阪野部長のようなものが舌のようなもので唇のようなものをべろべろなめながら吐きかけてくる毒をかわし、それと同時に長い爪のようなもので俺たちを八つ裂きにしようと迫ってくる神田生徒会長のようなものの攻撃をかいくぐり、その合間に、俺の後ろにぴったりくっついて、隙あらば強酸の涙のようなもので俺を溶かそうとしてくる優奈のようなものをなだめ、そのままなだれ込むようにして職員室のような場所で俺たちを待ち受けていたラスボスのようなもの、今里先生のようなものが吐き出す炎で危うく丸焦げにされそうになりながら、どうにか連絡事項を伝えて……なんだかなあ、どうしてただの日記なのに、俺が書くとこうまで中2病的雰囲気満載のものになるんだろうなあ……)
それもこれも、全ては周りの女子みたいな連中が、俺みたいなさえない男をよってたかって構いたがるせいだ。ああ、本当に、どうにかしてほしい。
それさえなんとかなれば、俺のこの日記だって、もっとまともな、淡々とした感じるはずなんだ。なにしろ俺は、今里先生のようなもののアドバイス通り、実際にあったできごとを忠実に、一切の誇張も比喩表現もなしに書いているだけなんだから。
深深とため息をつきながら、明日の絵里香のようなものの襲撃に備え、ぶっ壊れた扉のようなものを厳重に修繕し、昨日よりも一回り大きい錠前のようなものでしっかりと戸締まりした上で、俺はベッドにもぐり込んだ。
ああ、それにしても、あいつらはどうして、あそこまで俺に執着するんだろう……。




