第二話:エアドル島基地建設
PEGCAS-67の見た目はSPAS12にドラムマガジンと擲弾筒を付けたような感じです。
「やってみよう」
まずは...消火から。
「...生成」
UB-17の立体像を思考すると、戦車と人型兵器を合体させたような黒い巨体が私の目の前に現れる。
「動力は太陽光か?」
エアはマナかエーテルが必要だと言っていたが、あれは恐らく燃料や弾薬、の生成に使うということだ。”実在兵器を生成する“という能力からして、構造はそのままの可能性が高い。
つまり、電気で動くSCMならその問題はないと思われる。
「生成にコストはいらない、と」
何のコストも消費せずに機械が生成できるのはあまりに強い。UB-17も分類上は特殊建設機械だが、兵器転用も可能で汎用性が高い。その点においては、これも武器に含まれるのだろう。
「私の満載排水量までとはいえ、バランスブレイカーだな…」
自身の知っている武器を頭の中で整理していると、海辺で水を汲み終わったUB-17による消火が開始されている。このペースなら数時間後に終わるだろう。
今のうちに島を偵察して地図を作っておこう。
「生成」
私の目の前にMO-8(多用途観測ヘリ)が10機ほど出現する。MO-8の動力も水素、エーテルが確保できない今には最適だ。
「こちらCG、スパイダー1。どうぞ」
『こちらスパイダー1、感度良好。どうぞ』
「こちらCG、スパイダー1を管制機とする。各機散開しここより半径30km以内の精密偵察をされたし 」
『CP、スパイダー1了解。CP離陸14:20、帰還予定時刻15:26。各機散開、偵察開始。どうぞ』
『 了解、偵察開始。終わり 』
それぞれ離陸し、やがて消えていく。MO-8の巡航速度は約506km/h。2040年代のヘリの中では上の下といった具合だ。
「次は...地盤の強化だな」
人類が文明化を究めていく上で、まず犠牲になるのは森林。ここは孤島で土地も少ない。よって森林の伐採を行うが、無闇に木を切ると島が崩壊する可能性がある。
ここは小口径鋼管杭工法が良いだろう。
「加工は私ができるだろうから...」
問題は原材料である鉄鉱石だが...それはMO-8がじきに発見するだろう。いくら孤島とはいえ、鉄鉱脈の一つぐらいはあるはずだ。
となると...
「やることがない...」
『』ウィーン
『』キュルキュルキュルキュル
『』ガタッ ゴトンッ!
UB-17の駆動音だけが聞こえる。
「...」
『いやだ!助けてください!お願いですから助け───パンッ』
『ま、待て!金ならある!だから助けてく───ゴキッ あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ パンッ』
『メインサーキット破損、稼働率3%。任務遂行不可能。作戦失敗、繰り、返す….作せ、ん失っぱ…..い』
『目標捕捉、第一第二主砲、斉射。…敵艦撃沈確認』
『クリアードアタック、クリアードアタック。ファイア…レディ…ナウ。ボムズアウェイ。レーザーオン、レイジング』
暇な時間が訪れれば、たちまち蘇る。敵国の少年兵を殺した記憶。軍需企業のCEOを殺した記憶。アンドロイドを殺した記憶。敵の有人艦を沈めた記憶。味方の爆撃を聞き届けた記憶。
つくづく思う。やはり私は、穏やかに生きることはできないのだろう。今まで殺した存在は私の上に乗っている。みすみす幸せになんてしてくれない。
私は戦う以外何もできなかった。
『CP、こちらスパイダー1以下9機。CP帰還15:26、指示を乞う。どうぞ』バタバタバタバタ
「スパイダー1、こちらCG。別命あるまで指定ポイントにて待機されたし」
『CP、こちらスパイダー1。了解、指定ポイントにて待機する。終わり』バタバタバタバタ
しばらくして、MO-8達が帰ってきた。そこで、MB-17に消火と並行して整地してもらったところに着陸してもらう。
「地形データは...あった」
各機の情報を組み合わせた地図を確認する。少し遠くに見える山は火山で、その麓には湖がある。海には大量の...巨大魚がいて、この島の支持層は硬い、と。
「資源の宝庫....」
そのほかにもこの島の海底には、北東辺りにはレアメタル、南西辺りにはベースメタルが埋まっていることが分かった。
人がおらずに、資源が豊富。我々には必要ないが、巨大魚もある。
土地は少ないが、森林伐採でそれは解決できる。火山もあるということは、地熱発電もできる。
「基地にするには申し分ないな」
残念ながらエーテルはなかった。しかし、それはまた別の大陸で調査を行えばいい。それに、このまま私が生成し続けるのも限界が来るだろう。
そう考えると、原料が確保しやすいこの島なら物理的に工業製品の生産ができる。
「AU、こちらCG。これよりエアドル島基地建設を開始する。データを参考に基地を建設されたし。繰り返す、データを参考に基地を建設されたし。どうぞ」
このMO-8は特殊生物対応自衛隊隷下第一艦隊所属です。




