第一話:始まりの願い
主人公はホワイトベージュ髪ボブの赤眼黒色軍服女子系ターミ◯ーターですが、もちろんとてもつよいです。
願われて生まれた
世界が願った
自己を正当化する力
自らを守る力
だから私たちが生まれた
私たちは天国にはいけない
私たちは武器だ
*
船体各所で警報が鳴る
「稼働率20%に低下。右舷浸水、全区画注水ポンプ破損。姿勢制御不可能」
─── 艦損耗率8割に到達。帰還は不可能と判断 ───
「全艦隊に通達。艦首及び機首回頭、作戦海域より離脱せよ」
紅零より指令が発せられる。しかし、僚機・僚艦に撤退する気配はなく、むしろ彼女を守るように集まった。
「...っ!これは命令だ、佐世保に戻れ!」
事務的ではなく、感情的に訴える。しかし、返ってきたコードは彼女の期待とは違った。
『For GUREI』
『貴艦と共に』
これは、紅零に付き従ってきた彼女らの最初で最後の反抗だった。
「まさか...いや、だめだ」
紅零はそれを認めない。彼女にとって、それを認めるのは自分の家族を殺すようなことだ。
「...コードZ発令」
先程とは違う、口だけではない命令。機械であるが故に避けられない性。
『Please let me join you!』
『お供させてください!』
「死なば諸共、だな」
数百の鉄の塊たちが引き返す中で、たった一隻だけが進んで逝く。
「....」
数は数万、私の後ろには日本がある。敵は通せない。
───私が死守しなければ
「機関負荷、300%に設定」
私の核融合炉の出力は中国製の約19倍。それが臨界・爆発した時の威力は広島型原爆の約0.7倍。私の艦隊は爆発範囲から抜け出した。
確実に敵を葬る
「機関、臨界寸前」
心臓が苦しくなる
「私が死んだら、皆はどう思うのかな...?」
それでも砲火を絶やさず
「....今のうちに言っておこっか」
それでも波を絶やさず
「───次は、戦いの無い時代に造ってね」
それでも、私は死んだ。
───────────────────
2047年6月28日
東経125度36分24秒北緯28度20分58秒
紅零戦没
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***
ただ一面の、白
「…?」
空間が発光し、視界をさらに白へと染める。
「おはよう。よく眠れた?」
「...っ———」
反射的に臨戦態勢を取ろうとして───失敗する。すると白色の衣服を着た少女が私に手を差し伸べる。
「おっとと、危ない危ない。気をつけてね、人の体には慣れてないでしょ?」
そう言われて、首を下へと向ける。そこには、ちょうどよく収められた二つの膨らみと華奢な腕、黒色の布に包まれた脚らしきもの。
「紅零の体には大分こだわったからね。あとそれ、黒タイツっていうの。上半身の体に直接着てる黒いのがインナーで、その上から着てるのが軍服とコートね」
「なぜ私の名前を?それに、心を読んだ...?」
よろりよろりと立ち上がり、改めて体を見回しながら質問する。すると、彼女は私の手を引いて歩き始めた。
「私の名前はエクシア。この世界の神だよ!」
彼女はホログラムの様なものを展開した。そこには人々が暮らしている様子が映し出されていた。
「...私はイエスとムハンマドの違いすらわからないぞ?」
「わかんなくていーの!えと......状況の説明するね?」
「あぁ」
「まず、紅零は死んだ。そこで、彷徨ってた魂を回収してここに招いた。ここは私の世界の受付みたいなところだよ」
「魂?」
「機械にも魂は宿るよ?魂って、心みたいなものだからある程度の情報蓄積と学習さえ…じゃない、本題に入ろっか」
「紅零って転生に興味ある?」
「転生....」
「そう、紅零は頑張りすぎた。だから慰安人生(?)みたいな感じで私の世界に転生しない?っていう話」
「エアの世界に転生...だが───」
「ま、まぁまぁ!まず詳細を見てから!ね?ね!?」
「...なにか隠しているな?」
「そ、そそそんな!たまに世界を壊すような厄災が現れるけど、私じゃ干渉できないから倒してほしいとか考えてないって!」
ポーカーフェイスが下手だな...
「へ、下手じゃないし!...あっ」
「やはり隠していたか....『世界を壊すような厄災』というのは?」
「でも!紅零を戦わせるわけには───「私はいい」」
「私は武器だ。私は今、君に戦うことを願われた。ならそれは当然のこt「ダメだよ」」
「....?」
エクシアは私を抱きしめる。未知との遭遇。血とは違った温かさ。
「面白い表現だね。でも、自分を殺しちゃうのはダメだよ」
「だ、だが....」
「駄目なものはだめ!確かに私は紅零に戦ってもらうために呼んだよ?でも、だからと言って戦いだけじゃない。休んでもらうために呼んだのも本当。私は紅零に穏やかに生きてほしいの」
「穏やかに...」
「そう。そもそも世界を滅ぼす厄災なんて滅多に現れない」
「だから平時は穏やかに生きてほしい、と...」
「やーーっとわかってくれた!じゃあ、転生するってことでいい?」
「しないと言ったら?」
「するって言うまで抱きしめる」
「...転生する」
「はーい。って、私に抱きしめられるのそんなに嫌だっ———」
***
─────── 衝撃を検知 ───────
─── 各種アクチュエーター異常なし ───
───── メインサーキット連結 ─────
───── メインシステム起動 ─────
「周辺状況解析」
周辺温度687℃...未知物質を発見。
「何らかの物質がこの炎を発生させ───『ピピピッピピピッ』?」
『紅零、聞こえてる?』
「エアか?」
『そうそう。紅零が居るのはエルドアっていう島なんだけど...魔王っていうのに襲撃されて崩壊したの。魔王はまだ島から出てないけど、放置してるとこの世界が滅亡しちゃうから倒してもらおうかなって』
「穏やかに生きてほしいと言った割には...『ごめん!』」
『本当にこれだけだから!これが終わったら色々説明するから!時空歪曲庫に入れておいた武器で倒しちゃって!』
扱いが雑だな...
「はぁ...」
そもそも、中にある武器によって勝率が───
「...PEGCAS-67?」
通称ペガサス。”対物ショットガン“の異名を持つこの銃の特徴は、厚さ470mmの装甲板を貫徹する威力と空間拡張マガジン使用による67発という驚異的な装弾数だ。
「こんなものどこで...あぁいや、神だったか」
燃え盛る森の奥へと進んでいく。すると、全身裸の変態を見つけた。
「はっはっはっはっ!やはり魔物などこんなものか!...む?」
「あれをやればいいのか」ガチャッ
「小娘、我に身を捧げに来たか。いいだろう、待っていろ。今すぐ服を調達して、それからお前を───「お前に服は必要ない」ドンッ」
転生早々、性欲にまみれた魔王の排除───確かに、私を送りたくなる気持ちもわかるな….
「ぐはぁっ!な、何をする!我はまお———」
「...」ドンッ ドンッ ドンッ
「な、何者だ貴さ———「ドンッ」」
魔王を僅か7秒で射殺した紅零は無表情のままPEGCAS-67を見回す。
『な、なんか手慣れてない?本当に初めて...?』
「昔観た映画の真似事だ。この体は機械なんだろう?」
『あ、気づいてたんだ...』
「周辺環境や残弾数、敵の情報が視界に表示されていて気づかない方がおかしいと思うが」
『だよね〜。じゃあ、約束通り説明するよ?』
「頼む」
『まず、今の紅零はMCSONF -6をそのまま人にしたような感じ。表面の皮膚は強化生体細胞で中身は機械にしておいたよ。そしてMCSONF-6の兵装や設備はそのまま使えるようにして、一つ能力をつけておいた』
「軍艦の擬人化ゲームと同じか...能力というのは?」
『紅零が知っている実在武器を生成、行使できる能力』
「...制限は?『紅零の満載排水量まで』」
「弾薬や燃料は?『いらない』」
『でも、稼働にはこの世界独自のエネルギー…マナとかエーテルが必要になるからそこは注意ね』
「マナとエーテル...どういった物質なんだ?」
『それは———あ、ちょっと待って。………ごめん!急用ができちゃって、いろいろ資料送るからそれ読んでて!それじゃ!』ピッ
「...神も忙しいんだな」
紅零は送られてきた資料を読んだ。
「プロフィールシステムは生物固有のものでHealth、Mana、Power、Defense、Mental、Speed、Technicの向上とSkillの詳細が確認できる。エーテルは主に地中にある元素で、マナは....魂由来の超感覚的エネルギー?」
マナはとても効率が悪そうなエネルギーだ。ともすれば、エーテルの方は兵器転用の可能性がある。
「設計案に入れておこう」
大気中のエーテルは低濃度すぎるから…地下深くに点在するエーテル噴出孔やエーテル結晶、エーテル脈のものなら実用化できそうだ。
「どうしたものか...」
ひとまずの任務は終わった。だが、その身一つで投げ出され、投げ出した本人は離席中。加えてここは燃え盛る無人島。人間なんていない...待った。
「人間がいない?」
ということは、私の力が知られることが無いということ。
「なら、堂々と基地建設ができる...?」
建設にはSCM(特殊建機)が使えそうだ。建設中の基地は無防備で人間に見つかるとまずい。だが、いないのなら問題ない。
「...」
燃え盛る炎の中で、赤い目が光る。
「まずは能力の検証だな」
その体は赤黒く染まっていた。
『昔観た映画』というのはデデンデンデデン、というBGMが使われているらしい.....




