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呪いの真実と神の裁き
「――呪いの始まりを、知らぬのか」
冷酷な神の使者は、俺を見下ろしながら告げた。
その声は清らかであるほどに、背筋に冷たい刃を突きつけられたような恐怖を刻む。
「この女はかつて、神に仕える巫女だった。
本来ならば聖なる器であり、穢れとは無縁の存在。
だが……人の愛を選んだ。
その背徳こそが呪いとなったのだ」
彼女の肩が震える。唇はかすかに笑みを浮かべていたが、その笑みは痛みに満ちていた。
「そう……私は神を裏切った。
でも、あの時の愛は偽りではなかった。
そして今も――」
彼女の視線が俺に向けられる。
その瞳は、妖艶でありながらも切実な祈りを宿していた。
神の使者は羽を広げ、断罪を宣告する。
「愛を選ぶ者には滅びを。
人の男よ、女と共に灰となれ」
その瞬間、天より雷鳴が轟き、光が落ちる。
俺は咄嗟に彼女を抱き寄せた。
――背徳と愛、呪いと裁き。
全てが交差する中で、俺は選ばねばならなかった。




