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「王家には言伝えがあるのだ。我らの先祖は女神に助けられ、国が救われた。不思議な力を持ち、その容姿はこの世のものではない。名は名乗らずただの気まぐれと言葉を残し消えて行く。その者に会えたら必ず礼を尽くせ。」
私の脳裏に少し映像がよぎったが、この話には覚えが無い。
「その私と会ったとする先祖の名前と年齢は分かるかい?」
「当時7歳のルイ・ヴァンサンという。貴方にはルーちゃんと呼ばれていたと。」
私は薄らだが思い出した。
確かにアキトよりも昔に森に迷い込んだ子がいた。
可愛いぬいぐるみを持った女の子だった気がする。
「ルーちゃんは金髪で緑目の可愛い女の子のはず…?」
私は呟いていた。
王はその言葉を聞き逃さなかった。
「やはり!貴方が女神様!この度も国の危機を救ってくださりありがとうございました!以前の礼も含め少しでも恩返しさせていただきたい!!」
「恩返しは要らない。カナトは返してもらえる?」
「もちろんです!貴方の使徒としての役目を果たした事も加味し褒美を授けようと思います!」
王は興奮冷めやらぬ勢いでそう宣言した。
私はずっと呆然としているカナトに話しかけた。
「カナト。褒美は欲しいか?それともこの場からすぐに退場したい?」
カナトは弱々しくだがはっきりと答えた。
「この場から離れたい。」
そう答えるが早いか、私はアキトの手を取りカナトの側へ能力を使い移動した。
王は私が目の前から消えたことに驚き言葉をなくした。
「恩返しは要らないし、カナトも褒美は要らないそうだ。この件はこれで終いだ。いいね?薬のレシピはそっちで持ってるんだろ?それは後世に残るようにしな。多分ルーちゃんに教えたのもその薬だよ。じゃあね。今後私には関わらないでくれ。それが私の要望だ。」
私は王にそう言い残し、2人を連れて森へ帰った。




