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外に出ると、アキトは初めて私に会ったような顔をした。
確かに、熱に浮かされいたときの記憶が曖昧なようで、私の姿を見ていたと思っていたが確かではなかったようだ。
「よければ、貴方の名前を教えてくれないか?紹介するときに必要になるから。」
アキトにそう言われ、私は少し考えた。
「なんと呼んでもいいよ。私の名前は少し特別だから本名は教えられないんだ。今までなんと呼んでいたんだい?」
「森の妖精と呼んでいた。」
恥ずかしそうにアキトは答えた。
「妖精と言われたのは久しぶりだね。小さいときに言われたが、この姿なら魔女のほうが相応しいかもね。」
そう言って私はアキトの目の前で姿隠しの力を使った。
そうすると、御伽話に出てくるような魔女の老婆に姿を変えた。
それをアキトは呆然と見ていた。
私はその表情を見て笑った。
名前はモリコにした。
森にいる子という単純なものに。
少し嬉しかった。
ただ、人里に行ったのは随分前のことだからアキトの陰に隠れながら道中進んだ。
カナトが居る場所まで。




