四十七話 お父さんとお話
四十七話やっと完成しました。
トントン
「リタさん居ますか?」
「は~い、今開けます」
私が部屋のドアを開けると、そこには管理人さん連れられて、お父さんがいました。
「来るのが遅くなってすまんな、学園長との話が思いのほか長引いてしまってな・・・それより・・・ふむ、ここがリタの部屋か・・・・・なかなかいいところではないか」
お父さんが機嫌よさそうに部屋に入ってきました。
遅くなったって・・・・・すでに学園に着いてから3日経ってますよ?いくらなんでも遅すぎです。
それと、女の子の部屋をジロジロ見るのはどうかと思います。
「お父さんいらっしゃい。学園長とどんな話をしてたんですか?」
私はお父さんを自然な形で客間に案内します。
そもそも、私は男性に部屋に入って欲しくない。
今回はお父さんなので仕方ないですが、それでも客間以外の出入り禁止です。
他の部屋に入ろうとしたら色々理由をつけて追い出してやります。
「もちろんお前の話だ。正直驚いたぞ、成績は一番、学生課のランクはA、前代未聞のSランク依頼の達成に王国大会優勝・・・・・初めは信じられなかったくらいだ」
私が座布団を出してお父さんを座らせると、リリーがお茶を持ってきました。
「お父さん、お姉ちゃん、どうぞ」
リリーはお茶を置くと、私の隣に座ります。
「リリー、ありがとう」
「うむ、すまんな」
私はお礼を言って頭を『なでなで』してあげます。
リリーは笑顔で「えへへ~」と言ってうれしそうにしました。
さてと、リリーがここにいれるように交渉しますかね。
「お父さん、リリーのことで話しがあります」
お茶を飲み、一服したところで、話を切り出します。
リリーは『私のこと?』って疑問符を浮かべていたので、笑顔を向けておきました。
「ん?なんだ?」
「この数日、一緒に授業を受けていたのですが、リリーはとても頭がいいです。たぶん学園の三年生並みの知識はすでにあります。お父さんは知っていましたか?」
「もちろんだ。リタもよく気付いたな。リリーは将来きっと世界一の大魔術師になるだろう」
お父さんの機嫌がさらに良くなって、得意げに話しました。
リリーは少し顔を赤くして照れくさそうにしています。
てっきり知らないと思っていたのですが・・・・・知っていたんですね。
しかも、親バカを発揮しています・・・・・まぁ、それなら話が早いから良いか。
「私もリリーは将来すごい人になるとは思います。けれど、一つ懸案事項があります」
「む・・・・・なんだね?」
「リリーの先生です。今は学園の三年生程度なので大丈夫ですが、後一年もしたらリリーに教えることが出来る家庭教師はいなくなるのではありませんか?」
「・・・・・まさか・・・・・いや・・・・・確かにそうなるかも知れんな」
お父さんが少し真剣な顔になって何か考え始めました。
少し考えれば分かりそうなことですが・・・・・才能にばかり目がいってそこまで考えていなかったみたいですね。
これは好都合です。
「そこで提案があります。リリーを私に預けてくれませんか?学園長に聞いて知っていると思いますが、私の成績は学年トップです。今の私なら十分リリーに先生が勤まると思うのですか、どうでしょう?」
「リタがリリーの先生になると言うわけか・・・・・確かに成績は良いようだが・・・・・う~~~む」
もう一押しですね。
「なんならテストでもしてみますか?どんなに難しくても合格する自信があります」
「ふむ・・・・・いや、テストはいい。そこまで言うならお前に任せることにしよう。ただし、私も時々見に来るからな、そこでダメだと判断したらすぐにやめさせる。それでもいいか?」
「はい。問題ないです」
「では、リリーのことはリタ、お前にまかせる」
ふぅ、これでこの先もリリーと一緒にいれますね。
一安心です。
「お姉ちゃんが私の先生になるの?」
話が一息つくと、今まで黙っていたリリーが期待をこめた目をして聞きます。
「そうですよ、もちろんここで私と一緒にです」
「お姉ちゃん、ありがとぅ~~」
リリーは、花が咲いたような笑顔でうれしそうに笑いました。
とってもかわいいです。
この笑顔が見れただけでも交渉したかいが有りましたね。
「おっと、忘れるとこだった。リタ、この中から好きなのを選べ」
私がリリーの先生をするのが決まった後、しばらく3人で雑談していると、(マキちゃんは気を利かせて隣の部屋にいました)お父さんが小さな水晶をいくつか出しました。
「これは・・・・・」
私が水晶を手にとって見ると、そこには男性のプロフィールがありました。
いわゆるお見合い水晶ってやつでしょうか?
「お父さん、私恋人いるんですけど?」
とりあえずそう言ってみます。
無駄でしょうけどね。
「なに?・・・・・もしかしてあの金色の髪の子のことか?リタ、まさかとは思うが本気で言ってるんじゃないだろうな?」
お父さんが真剣な顔になります。
「もちろん本気です・・・・・と言っても認めてはくれないですよね?」
「当たり前だ、お前達は女同士ではないか、そんなの認めれるわけがなかろう」
はぁ、予想してはいましたけど、やっぱりそうですよね。
もちろん対策は考えてあるんですけどね。
「やっぱりですか・・・・・まぁ、私もお父さんがあっさり認めてくれるなんて思っていませんでしたけどね。そこで、ひとつわたしと賭けをして見ませんか?」
本当は認めてもらわなくても強引に押しとおせば良いんですけど・・・・・リリーのこともありますし、ここは穏便に済ませましょう。
聞く耳持たないようでしたら強行しますけどね。
「賭けだと?・・・・・まぁいい、とりあえず言ってみろ」
ん?お父さんは賭けとかあまり好きではなかったはずですが・・・・・真剣な顔にはなってるけど機嫌事態はまだいいのかな?
それでは、遠慮なく言わせていただきましょう。
「賭けと言っても損な大それたものではないです。ただ、自分よりも弱い男性と付き合いたいと思わないので、どんな男性でも一度は私と戦ってください。私に勝てる人なら付き合うのを考えても良いです。私に勝てる男性が現れるまでは、私が女性と付き合うのを認めてくれませんか?」
もっとも、今の私に勝てる人なんていないでしょうけどね。
もしいたとしても、考えるだけで付き合う気はまったくないです。
「う~~~む・・・・・確かに女性に負けるような男では・・・・・しかし・・・・・リタはかなり強い・・・・・そうなると・・・・・」
お父さんがブツブツ言いながら考えています。
もう一押しですね。
「ちなみに、マキちゃんは私より強いですよ」
その言葉にお父さんは少し目を見開きます。
学園長から私のことを聞いたのなら驚くのも無理はないですけどね。
「本当なのか?」
「えぇ、マキちゃんは私に魔法や武術を教えてくれた、いわば師匠です。私がここまで強くなれたのもマキちゃんのおかげですしね」
「なるほど・・・・・彼女が『あのリタ』をここまで・・・・・それなら・・・・・まぁそれも悪くはない・・・・・」
お父さんがまたブツブツ言いながら考えますが、今度はすぐに顔を上げます。
「いいだろう、確かに弱い男などクロスロード家には相応しくない。だが、1つ条件がある。あの金色の髪の彼女をちゃんと家族に紹介しろ、それが条件だ」
む・・・・・何か変なこと考えていそうですね。
まぁ、いいです。
いざとなったらクロスロード家潰しましょう。
あの家に未練なんてないですしね。
「分かりました。後期が終わったらマキちゃんを連れて一度家に戻ります」
「なら決まりだな。とりあえずここある水晶の中から何人か選べ、私が帰るまでに戦ってもらうことにする。いいな?」
何人かねぇ・・・・・ん~~~~~知らない人ばかりですね。
この際、全員潰しておきますか・・・・・何度も戦うのは面倒ですしね。
「わかりました。何人といわず全員と戦いますよ」
「ほぅ、強気だな・・・・・負けても言い訳は聞かんぞ?」
「大丈夫です」
「わかった。そういうことなら早めに準備せねばな・・・・・今からもう一度学園長のところに行ってくるとしよう」
そう言ってお父さんが立ち上がったので、私とリリーで出口まで送りました。
よし、上手くいきましたね。
ほぼ予想通りです。
リリーとも一緒にいられることになりましたし、後は男共を潰すだけですね。
そういえば・・・・・お父さんっていつ帰るんでしょ?
そうそう、部屋にお見合い水晶が置いたままになっていたので、情報を消して売ってやりました。
なんと、1つ金貨3枚で売れました。
今日はこのお金でマキちゃんとリリー誘って豪華な食事に行きましょう。
本当はティアやアンとも行きたいんですが・・・・・まだ怒っているんでしょうか?
早く戻ってきてくれないですかねぇ。
ここまで読んでくれてありがとう。
なんかまたお話だけで終わってしまいました。
誤字、脱字、感想など書いてくれるとうれしいです。
次回は、ティア達と仲直りできる・・・・・予定です。
え?書くのに時間かかりすぎだって?
すいませんすいません