四十五話(裏) リリー(後編)
四十五話(裏) リリー(後編)完成しました。
実はリリーが・・・・・
学園に着いた私達は、まず学園長という人に会いました。
そこでお父様と別れて、私はお姉ちゃんの今住んでいるお部屋に連れて行ってもらうことになりました。
「キャッキャッ」
お姉ちゃんが、私を抱っこしてお馬さんより早く走ります。
少し強い風が頬をなでるのはとっても気持ちがよくて、流れるように動く景色はとても面白い。
私も魔法くらい使えるけど、こんなに早く走ることは出来ない。
お姉ちゃんは、私が知らない間にすごく強くなったみたいです。
盗賊から私を華麗に助けてくれましたしね。
私が楽しんでいると、すぐにお姉ちゃんが住んでいる寮というところに着きました。
お姉ちゃんのお部屋はどんなのかな?
ワクワクします。
「「ただいま(です)」」
私は、お姉ちゃんに抱っこをされたままお部屋に入りました。
「リタ、マキ、お帰りなさい」
「おかえりなさい」
部屋には、銀色の髪の優しそうな青い目をしたお姉さんと、ピンクの髪の黒い目をした気の強そうなお姉さんがいました。
「リタ、その子誰ですか?」
「私の妹のリリーですよ」
お姉ちゃんが、私のことを紹介してくれます。
「リリーちゃん始めまして、私はティアノート=フィル=ローラント、マキと一緒でリタの恋人です」
初めは優しそうなお姉さん、ティアノートさんが挨拶(自己紹介?)してくれました。
この人もお姉ちゃんの恋人!?
いったいお姉ちゃんには何人恋人がいるのかな?
「私はアンジェリカ=リュノよ、ティア達とは違ってリタの恋人ではないです」
続いて、気の強そうなお姉さん、アンジェリカさんも挨拶してくれます。
この人は恋人ではないみたいですけど、どうやらお姉ちゃんに好意は持っているみたいです。
さっきティアノートさんが『恋人』って言った時、すこし機嫌が悪くなったのを私は見逃しません。
「初めまして、リリー=フル=クロスロードです。お姉ちゃんの妹で、さっき恋人にしてもらいました」
私もお姉ちゃんの腕から降りて、ペコリとお辞儀をしながら挨拶します。
私もお姉ちゃんの恋人だって言っておきます。
ちゃんと言っておかないとお姉ちゃんが取られてしまうかもしれません。
ここではお姉ちゃんとっても『恋人』が多いみたいですからね。
「リタ、あなた自分の妹にも手を出す気ですか?」
アンジェリカさんが少し呆れているような声で言いました。
どうしたのかな?
お姉さん達が少し冷たい眼をしてお姉ちゃんを見ています。
「そうですよ、私の愛は性別も年齢も人数も、そして血さえも超越します」
うれしい!!
お姉ちゃんは、私もちゃんと『恋人』として扱ってくれるみたいです。
お姉ちゃんには沢山『恋人』がいるみたいなのに、私はこんなに小さくて、しかも妹です。
だから、『恋人にしてくれる』って言ったのも、軽い気持ちだったのかなって本当は少し不安だったんです。
「リタ、本気で言ってます?」
さっきまで優しそうにしていたティアノートさんが、怒ったような声を出しました。
少し怖いです。
「もちろん本気です」
お姉ちゃんは、そう言って私の唇にキスしてくれました。
私は少し驚きます。
だってこれは私のファーストキスです。
それを大好きなお姉ちゃんが貰ってくれました。
とってもうれしいです。
私は、思わずお姉ちゃんに抱きついてしまいました。
お姉ちゃん、私のすべて、心も身体も全部お姉ちゃんに上げる。
「リタ、何考えてるんですか!!」
「そうです、ちょっとやりすぎです!!」
急にティアノートさんとアンジェリカさんが怒鳴りました。
私は、2人の怒鳴り声にビクッとして、震えてしまいます。
「リリー、大丈夫ですよ」
お姉ちゃんが私を抱っこしてくれます。
ありがとう、お姉ちゃん。
「「リタ、聞いてるんですか!?」」
私が少しホッとしたら、お姉さん2人がまた怒鳴りました。
けど、もう怖くないです。
だって、お姉ちゃんが抱っこしてくれてるんですから。
「ちゃんと聞いてますよ、けど、考えを変えるつもりはありません。それと、大きな声を出すとリリーが脅えてしまいます」
お姉ちゃんが私を優しくなでてくれます。
それにしても、なんで2人は急に怒り出したのでしょう?
お姉ちゃんが私にキスをしたから?
でも、私だってお姉ちゃんの恋人になったんです。
キスくらいいいじゃないですか。
2人とも意地悪です。
「リタ!!・・・・・もういいです。私、しばらくこの部屋から出ます。リタが考え直すまで戻りません!!」
「そうですね、今回ばかりは私も納得できません。ティア、私も一緒に行って良いですか?」
「はい。アン、行きましょう」
お姉さん2人は怒って出て行ってしまいます。
も、もしかして、私のせい?
確かに意地悪だと思いましたけど、お姉ちゃんの恋人ですよね?
ど、どうしよう。
「お姉ちゃん、2人が出て行ったの私のせい?」
私の目に、涙が浮かんでしまいます。
「違いますよ、ティアとアンが出て行ったのはお姉ちゃんのせいです。リリーは何も心配しなくて大丈夫ですよ」
お姉ちゃんは目に涙をためた私を慰めてくれます。
「リリー、お姉ちゃんを信じてください。恋人でしょ?」
「・・・・・分かった。お姉ちゃんを信じる」
私が頷くと、お姉ちゃんが私の頭をなでてくれました。
でもね、お姉ちゃん。
今のお姉ちゃん、とっても悲しそうな顔をしてるんですよ?
きっとあの2人のお姉さんは、お姉ちゃんにとって本当に大切な人なんですね。
お姉ちゃんが大丈夫って言うなら、私はそうするけど、苦しくなったらいつでも言ってね。
私じゃぁ2人の代わりになれないかもしれないけど、お姉ちゃんが好きな気持ちは負けていませんから。
「はぁ、リタこれからどうするんですか?」
私は、少し驚いて声がした方を振り向くと、そこには、金色の髪をした人・・・クロイさんがいました。
クロイさんは部屋に着いてからずっと黙っていたので、私は彼女のことをすっかり忘れていました。
クロイさんは怒っていないのでしょうか?
「マキちゃんは怒らないんですか?」
「ティア達と違って、私はいろんな人を見てきましたからね。これくらいで怒ってリタから離れたりはしません。もっとも、あきれてはいますけどね」
「マキちゃん、ありがとう」
クロイさんが微笑むと、お姉ちゃんはすごくうれしそうにしました。
笑うだけでお姉ちゃんを笑顔に出来るなんてずるいです。
「それより、これからどうするんですか?」
クロイさんは、少し赤い顔をして話を戻しました。
お姉ちゃんにお礼を言われて照れるなんて、かわいい人ですね。
「そうですね。とりあえず精霊王達にもリリーを紹介しておきましょう」
お姉ちゃんが何かすると、お部屋の中にお外が出来ました。
これは何なのかな?
とっても不思議です。
お姉ちゃんは、私を抱っこしながら、お部屋に出来たお外に歩いて行きます。
お外に出ると、今度はお外の中にお部屋がありました。
やっぱり不思議です。
クロイさんがお姉ちゃんに続いてお外に入ると、お部屋が消えてしまいました。
お部屋がなくなって少し不安でしたが、お姉ちゃんがいるので大丈夫です。
お姉ちゃんとクロイさんが楽しそうに歩き始めました。
なんでしょう?
気持ちのいい風と、とてもいい香り、ここはいつものお外と違って、すごく幸せな気持ちになります。
「あら~~~リタ様じゃないですか~~~何か御用ですか~~~?」
しばらく歩いて、森の中の泉に近づくと、泉の中からのんびりした声が聞こえしました。
よく見ると、泉の中から青い髪をした少女が顔を出していました。
「今日は妹を紹介しようと思ってね」
「あらあら~~~リタ様の妹ですか~~~?私は~~~水の精霊王で~~~アクエリアです~~~よろしくです~~~」
青い髪の少女・・・アクエリアさんが泉の中から出てきて挨拶(自己紹介?)してくれます。
あれ?今、アクエリアさん、精霊王っていいませんでしたか?
精霊王って確か、すっごく偉い人(?)じゃなかったかな?
「リリー=フル=クロスロードです。よろしくお願いします」
私はお姉ちゃんから降りると、慌てて挨拶しました。
アクエリアさんがにっこり笑うと、私の身体が硬直してしまいます。
なんなのでしょう?
アクエリアさんはすごく神々しいです。
この人は本当に精霊王なのだと、頭ではなくて、心が理解します。
お姉ちゃんとアクエリアさんが何か話していましたが、私は頭が真っ白になって何も考えられませんでした。
気が付くと、アクエリアさんにそっくりな、赤い髪をした少女、緑の髪をした少女、茶色い髪をした少女の3人と双子のようにそっくりな金色の長い髪をした少女、黒色の長い髪をした少女の2人、全部で5人の少女達が新しく集まっていました。
この少女達も精霊王なのでしょうか?
アクエリアさんと同じですごく神々しいです。
私が挨拶すると、みなさんも笑って挨拶してくれます。
予想通り、それぞれ火と風と土と光と闇の精霊王でした。
初めはぎこちなかった私ですが、お姉ちゃんと一緒に精霊王の皆さんと色々な場所を回っているうちに緊張も解け、神々しさにもなれたのか、すごく仲良くなりました。
水の中を散歩した後、見たことない色々な植物がある森に行き、綺麗なお花畑でお空を飛んで、高いお山の上で、お空に大きなお花が咲くのを見た後、真っ暗だけどとても安心できる不思議な洞窟でお姉ちゃんに抱っこされながらお昼寝して、最後は雲の上に乗って今まで回ってきた綺麗な世界を見ました。
それは、夢のような、まるでお話に出てくる物語の中にいるようでした。
楽しい時間が過ぎて、精霊王達に「また遊ぼうね」と約束した私は、お姉ちゃんと一緒にお部屋に戻りました。
お部屋に着くと、お外はもう夕方でした。
楽しい時間は早く過ぎるって言うけど本当だなって思いました。
「お姉ちゃんってすごいんですね」
私は今日一日でお姉ちゃんを見直しました。
今までは優しくて大好きなお姉ちゃんでしたが、これからは優しくて、強くて、カッコイイ、私の恋人になってくれたとっても大好きなお姉ちゃんになりました。
「そうです。お姉ちゃんはすごいのです」
お姉ちゃんはわざとらしく胸を張って私の頭をなでてくれます。
今日は人生最良の日です。
まだ8年しか生きてないけどね。
けれど、問題はこの後起こりました。
今日は楽しい事が沢山会って、気持ちが高ぶっている上、お昼寝までしたので全然眠れません。
私は、お姉ちゃんがキスしてくれた後、心配するといけないので素直に眠ったふりをすました。
しばらく私が寝たふりをしていると、急に周りの音が何も聞こえなくなります。
不思議に思った私が目を薄く開けると、お姉ちゃんとクロイさんが・・・・・その・・・・・すごいことをしていました。
こんな光景は始めてみました。
私はドキドキが止まりません。
音が聞こえないのが残念ですが、お姉ちゃんもクロイさんも・・・・・その・・・・・なんていいますか・・・・・ね、とにかくすごいんです。
その日、私はお姉ちゃんとクロイさんを最期まで見て、大人の階段を一歩も二歩も駆け上がりました。
私もいつかお姉ちゃんと・・・・・なんて思ったのは内緒です。
ここまで読んでくれてありがとう。
どうでしたか?
やっぱり子供の気持ちって難しいです。
あまり子供っぽくなりませんでした。
誤字、脱字、感想など書いてくれるとうれしいです。
次回は、お父さんがでてきます。
え?そんなの分かってるって?
実はまだ内容考えていなかったり・・・・・。
すいませんすいません。
物を投げないでください。