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巡る世界  作者: 時世
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四十三話 決勝戦

四十三話完成しました。






空から氷の刃が絶え間なく降ってくる。

私はそれを、時には避け時には『ゼロ』で弾く。


「アイスコメット」


その言葉と共に、私の5倍はある巨大な氷の塊が振ってくる。



ガキンッ!!


ズドォォォン



私はその塊を『ゼロ』で真っ二つにする。


「フレイムダンス」


氷の塊を切ると同時に私は呪文を唱え、格闘場いっぱいに炎が舞い踊る。

格闘場の温度が急上昇し、振り続けている氷のヤイバが小さくなるのを確認して、止めとばかりに舞っている炎で氷を完全に溶かして水に変えていく。


相手は生半可な攻撃は意味を成さなくなったのを悟ったのか、無詠唱魔法で降らせていた氷の刃を止め、一旦距離をとりました。



「な、なんと!!リタ選手、今まで幾人もの人々を凍らせてきた『氷の魔女』の猛攻を打ち破りました!!」


司会の人が叫び、会場を大きな歓声が包んでいます。

私は今、準決勝の相手、『氷の魔女』サファイア=リュン=メメコールと戦っている。

魔女と言われていることからも分かるように、女性なのですが、残念なことにこの『氷の魔女』は40過ぎのおばさんでした。

時間とは残酷なものです。


それにしても、流石準決勝まで来た人ですね。

今までの人達より遥かに強いです。


距離をとった『氷の魔女』は結界を張ると、詠唱に入りました。

どうやら、ここは大技で一気に決めてくるみたいです。


さて、どうしましょうか・・・・・。

私も大魔法で応戦してもいいのですが・・・・・そうですね、ここは1つ面白いことをしてあげましょう。



私は『ゼロ』を正眼に構え、意識を集中させます。

しばらくして、『氷の魔女』の詠唱が終わります。


「フローズンフィールド!!」



叫び声と共に、強力な冷気が地面から空気まで、全てを凍らせながら迫ってきます。

それでも私は慌てずにタイミングをはかります。


・・・・・いまです!!


冷気が届く寸前、私は『ゼロ』から純粋な、けれど膨大な量の魔力を放出します。


「破邪反転法!!」


迫っていた冷気が私の魔力流に流され、来た方向へ返されます。

『氷の魔女』は大魔法が跳ね返されたことに驚いたのでしょう、回避行動が遅れ、私に返された魔法が直撃しました。



あまりの出来事に会場がシーーーンと静まります。


冷気が去ると、そこには『氷の魔女』の『氷付け』が出来上がっていました。



「リターーーカッコイイです~~~~」


静まり返った会場の中、マキちゃんの大声が響きます。

その声で、審判が我に返り、「しょ、勝者リタ!!」と叫びました。



ワァァァァァァーーーーーーー


「こ、これは驚きました!!リタ選手、大魔法を跳ね返すと言う常識はずれな方法で『氷の魔女』を下しました!!これにより、リタ選手の決勝進出が決定しました~~~~~~」


審判の声に続いて司会の声と大歓声が響き渡ります。


私は、その歓声に手を振って答え、会場を後にしました。

残るは決勝戦だけです。





私が準決勝を追えて控え室に戻ると、金髪でいかにも貴族って感じの男がいました。


「大分派手にやったようですね、流石『漆黒の魔術師』、けれど、戦いとは派手なだけではどうにもなりませんよ?」


金髪が偉そうにいいます。

どこかで見たことある気がしますが・・・・・誰だったでしょうか?

とりあえず聞いてみましょう。


「えっと・・・どちらさんですか?」

「挑発のつもりですか?僕にはそんなの効きませんよ?」


金髪が顔を歪めていいます。


むぅ・・・・・困りました。

本当に誰だか分からないです。


「まぁいい、そんな態度を取っていられるのもあと少しだ。なにしろ貴様はこのゼル=シック=ゴードン様に決勝で敗れるのだからな!!せいぜい首を長くして待っていることだ!!」


そう言って金髪改めゼルは去っていきました。


決勝の相手でしたか、私は試合を見てなかった(一応試合は見に行ったけどマキちゃんやティアと『いちゃいちゃ』するのに忙しくてよく見てなかった)ので分からなかったです。


ん?ゴードン?どこかで聞いたような・・・・・それにやっぱりどこかで会ってる気がするんですけど・・・・・まぁ、いいです。

思い出せないならたいした事ではないでしょう

それより、今から皆でお弁当です。

早く行きましょう。






私はマキちゃん達と『いちゃいちゃ』しながら(アンはからかいながら)楽しくお弁当を食べました。

そして、ついに決勝戦です。


「さぁ、ついにあと少しで決勝戦が始まります。まずは選手の紹介をしましょう!!華麗な剣裁きに加え、自由自在に操る魔法が全てを魅了します。今大会の優勝候補ナンバーワン、『バラの貴公子』ことゼル=シック=ゴードン選手だ!!」


司会の言葉に合わせて私の反対の門から赤いバラを加えたゼルが格闘場に出てきます。


「続いて、それは奇跡か幻か!?実力があるようでないような?とにかく訳の判らない勝ち方でここまで上り詰めてきた。賭けの倍率ナンバーワン『これぞギャンブル』リタ=ロスト=ケミア選手です!!」


私も門から格闘場に出ます。


なんか私の扱い酷くないですか?

確かに賭けの倍率も高いですし魔法を跳ね返すなんて変わった勝ち方もしました。

でも、女の子に『これぞギャンブル』なんて称号普通つけますか?

すごい悪意を感じます。



「フフフ、負けると判っていてここに来た勇気は褒めてあげましょう。ですが、すぐにそれが間違いだったと教えてあげましょう。貴方にはこのバラのようになってもらいます」



私が会場の中央に出ると、ゼルがそう言いながら口にくわえたバラを放り投げ、剣で切って散らせます。


なんというか・・・・・すごいキザな人ですね。

無視しておきましょう。


その後もゼルはなにやら言っていましたが、私は完全にスルーします。


そして、ついに決勝戦の時間になりました。



「さぁ、ついに時間になりました!!これからどんな戦いを見せてくれるんでしょうか~~~!!」


司会の人が叫び、私が開始位置に付いたところで、審判が手を上げます。


「それでは、決勝戦開始!!」


開始の合図と共に、ゼルが切りかかってきます。


剣を『ゼロ』の峰で受けると、いきなりゼルの周りに炎が現れ、私に向かってきます。

私は剣を弾き、バックステップで炎を避けます。


むぅ・・・・・なんでしょう今の炎は?

無詠唱魔法のように見えなくもないですが・・・・・何か不自然なものを感じます。


私が距離をとると、今度は真下から『アースニードル』が放たれました。


クッ


私はそれを何とかかわし、牽制として『ファイアーボルト』を放ちます。

しかし、私の放った『ファイアーボルト』は途中で何かに遮られ、消滅しました。


明らかにおかしいです。

牽制とはいっても私の『ファイアーボルト』は普通の魔法使いが使うものより3倍くらい大きく、それを掻き消すにはかなりの魔力が必要なはずです。

それなのにゼルからは魔力を使った形跡が感じられません。

何かあるはずです。


「エレメントクリスタル」


私はとりあえず結界を張り、様子を伺うことにします。

それを見たゼルが剣を地面に刺し、両手を広げると、格闘場のあらゆるところから、様々な魔法が襲ってきました。



まさか!?



襲ってきた魔法はすべて結界に弾かれますが、私はあることに思い至り、『探知』の魔法を使います。

すると、思ったとおり、地面の約1メートル下に空間があり、そこに30人ほどの魔法使いがいました。

これは明らかな反則です。

しかも、ここまで大規模なものになると、運営側にも何人かグルになっている人がいるのでしょう。



ムカつきますね。



「崩壊せよ、グランドアースブレイク!!」



私が短縮魔法を唱えると、格闘場の地面が鳴動し、あるところは盛り上がり、あるところは窪んでまるで岩場のようになります。


一応制御したので死んではいないと思いますが、隠れていた魔法使い達はもう使い物にならないでしょう。


「さて、何か言いたいことはありますか?」


私は、今の魔法で尻餅をついていたゼルに『ゼロ』を突きつけて冷たい声で言います。


「は、はは、さすがだね、けど、今すぐ剣を捨ててください。貴方のお友達が死にますよ?いざと言う時のために会場には僕の私兵を紛れ込ませておいて正解でした」


ゼルはそう言って立ち上がります。



どこまでも卑怯な人ですね・・・・・。

マキちゃん達なら大丈夫だと思いますが、念の為確認しておきましょう。


(マキちゃん、マキちゃん聞こえますか?)

(ん?リタどうしましたか?)

(私の対戦相手の私兵がマキちゃん達を狙っているそうなんですけど、わかりますか?)

(それならもう潰しましたよ?会場に入った時、私達に殺気を向けてる人達がいましたから、消えてもらいました)

(流石マキちゃんです。今日は一晩中『楽しいこと』に付き合ってあげます)

(楽しみにしてます)



私は、マキちゃんとの念話を終えると、『ゼロ』を投げます。


「クク、それで良いんですよ」


それを見て、私があきらめたと勘違いしたゼルが切りかかってきます。



ガシッ!!



私は冷たい笑みを浮かべてゼルが振り下ろした剣を素手で掴むと、握りつぶします。


「一生後悔しなさい」


私は唖然としているゼルの肩に手を置き、大量の魔力を流し込みます。



ギャァァァァァァァ!!



会場中にゼルの悲鳴が響きます。


魔力を流し終えると、ゼルは白目を向いて、失禁しながら倒れました。


私の魔力を大量に流し込まれたゼルの体は、あらゆる神経がズタズタに引き裂かれたはずです。

もう、魔法を使うどころか、一生立つこともままならないでしょう。



「し、勝者、リタ!!」


審判が叫ぶと同時に救護班が慌ててゼルを運んでいきました。


「き・・・・決まりました~~~~優勝は、リタ=ロスト=ケミア!!皆さん、盛大な拍手をお願いします!!」



ワァァァァァァァァァァァァァァ






こうして、リーン王国大会は、私の優勝で幕を閉じました。


「ふぅ」


寮に着くと、私は思わずため息をついてしまいました。

あの後、表彰式で優勝賞金の王国金貨と、『武王の称号』を貰ったあと、出口で待ち構えていた騎士団やら魔術師教会やらの勧誘が沢山来て大変でした。

もちろん、全部断りましたけどね。



「リタ、疲れてるみたいですけど、大丈夫ですか?」


マキちゃんが心配してくれます。


「大丈夫ですよ、なにしろ、本番はこれからですからね」


私はそう言ってマキちゃんをベッドに押し倒します。


「あ、ずるいです。私も入れてください」


そう言ってティアも加わります。


「あ、あ、リタ、気持ちいいです」

「ん、リタ、今日はいつもより激しいですね・・・・・」


私達の声を聞いて、部屋の隅で「私は染まらない、私は染まらない」とアンがつぶやいています。

大会が終わっても、私達の部屋はいつものように桃色の空気に包まれているのでした。






ちなみに、私の亜空間には、賭けで儲けた王国金貨1000枚という大金が収納されています。

こんなにどうしましょうか?





ここまで読んでくれてありがとう。


う~~む、戦闘シーンを書くのは難しい・・・・・


誤字、脱字、感想など書いてくれるとうれしいです。



次回は、ある人が出てくる予定です。


え?誰が出てくるんだって?

もちろん秘密ですよ。

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