四十一話 編入生
四十一話完成しました。
やっと2人が編入します。
「今日は編入生がいます、2人とも入ってきてください」
朝のホームルームで担任の先生がそう言うと、教室が騒がしくなります。
この王立リーン学園では、編入生というのはすごく珍しい存在です。
なぜなら、途中から入っても進学するのに必要な単位は変わらず、授業もすでに進んでいるので普通はついていけないからです。
教室の扉が開き、2人の生徒が入ってきます。
それを見た生徒達はさらに騒がしくなります。
1人は金色の綺麗な髪をツインテールにして、セーラー服を着ているすごい美少女です。
もう1人は、ピンクのウェーブがかった長い髪をしていて、なぜかメイド服を着ている美少女です。
もう、分かった人もいますね。
そうです、マキちゃんとアンです。
というか・・・・・マキちゃんセーラー服です!!
すごくかわいいです!!
もう、後で思いっきり抱きしめます!!
「マキ=クロイです。マキが名前でクロイは家名です。『星名』がないのと名前が変わっているのは、私が住んでいたところの風習なので気にしないでください。それと、このクラスのリタとティアは私の恋人です」
私がそんなことを考えていると、まずはマキちゃんが自己紹介しました。
さすがマキちゃん、みんなの前でいきなり『恋人』宣言しました。
マキちゃんの発言で皆大騒ぎをしています。
男子が頭を抱えているのは分かりますが、女子にも頭を抱えてる人がいるのは気のせいでしょうか?
「はいはい、後で質問する時間を設けるので、みなさん静かにしてください」
担任の先生がそういって手を叩きました。
「アンジェリカ=リュノです。メイド服を着ているのはリタの所でメイドをしているからです。決して私が好きで着ているわけじゃないです」
教室が静かになったところで、アンも自己紹介します。
アンは言い訳をしているつもりなんでしょうが・・・・・私のメイドだって自分でばらしてますよ?
まぁ、そこがかわいいんですけどね。
「では、自己紹介も終わったので、質問タイムに移ります。手を上げて、指された人だけ喋ってください」
2人の自己紹介が終わると、担任の先生がそういいます。
先生も楽しんでる気がするのは気のせいでしょうか?
「ケミアさんとローラントさんが付き合っているのは知ってるけど、クロイさんが2人の恋人ってどういうことですか?」
まずは男子生徒が指されてマキちゃんに質問します。
「言葉どおりです。私は2人と付き合っています。というか、私の方が先にリタと付き合ってました」
教室に「おぉ~~」という声が上がります。
そして皆の視線が集中したティアは真っ赤になってしまいます。
「アンジェリカさんはどうしてケミアさんのメイドをしてるんですか?」
今度は女子生徒が指されてそう聞きます。
その質問を聞いたアンが『ハッ』としました。
「そ、それには深いわけがあるんです!聞かないでください!!」
やっと自分が言ったことの意味に気付いたみたいですね
アンが赤い顔になってそっぽを向きました。
所々から「かわいい」とか言う声が聞こえてきます。
男子は分かるのですが、女子が混ざってるのはなぜでしょう?
やっぱりさっきのは気のせいじゃなかった見たいです。
もしかして、私の同類でしょうか?
「アンジェリカさんもケミアさんの恋人なんですか?」
私が疑問を抱いていると、次に指された生徒がそう質問します。
「違います!!私をこんな変態どもと一緒にしないでください!!」
アンが大声で叫びます。
むぅ・・・確かに恋人ではないですけど・・・・・そんなに力いっぱい否定しなくてもいいじゃないですか・・・・・。
マキちゃんも少し不機嫌な顔をしています。
これは少しお仕置きが必要ですね。
「そうですね。アンは恋人ではないですけど『私の物』なので手を出さないでくださいね」
私は皆に聞こえるよう、そう言ってあげます。
それを聞いたアンが慌てます。
「な、何を言ってる・・・・・もがもが・・・・・」
反論しようとしたアンの口をマキちゃんが塞ぎました。
マキちゃん、ナイスです。
しばらく暴れていたアンですが、マキちゃんが耳元で何か言うと、顔を赤くしておとなしくなりました。
何を言ったんでしょうか?
「他に質問はありませんか?」
マキちゃんがアンの口を塞ぐという行動に驚いたのか、さっきまでアレだけ上がっていた手が今は上がっていません。
私も黙って2人を見ていたら、マキちゃんと目が合いました。
マキちゃんと目が合うと、ある考えが浮かびます。
一応皆には釘を刺しておきましょう。
手を上げると、すぐに気付いた先生が私を指してくれます。
「マキちゃん、そのセーラー服は私のためにしてくれたんですか?」
「そうです。どうですか?似合ってますか?」
私が質問すると、マキちゃんがうれしそうにそういいます。
さすがマキちゃん、私の好みをしっかりと把握しています。
「すごく似合ってます。今すぐ抱きしめたいくらいです」
「なら、抱きしめてください」
そう答えると、マキちゃんはアンの口を塞ぐのをやめて、私のところにきました。
ぎゅぅぅぅぅ
私はマキちゃんを思いっきり抱きしめてあげます。
それにマキちゃんも答えて、私を抱きしめてくれます。
マキちゃんは柔らかくてとっても気持ちいいです。
それに、いい香りもします。
ガタッ
「2人だけずるいです。私も混ぜてください」
私とマキちゃんが抱き合っていると、ティアが立ち上がって私達に抱きついてきました。
確かに仲間はずれは良くないですね。
ぎゅぅぅぅぅ
私は改めて、マキちゃんとティアを抱きしめます。
ティアも柔らかくていい香りがします。
私達は、静まり返った教室でしばらく抱き合っていました。
「ゴホンッ、手を上げてる人もいないようなので、これで質問を終わります。他に気になることがあったら本人に直接聞いてください」
我に返った先生が、咳払いをしてそう締めくくります。
「クロイさんとアンジェリカさんの席は後ろにあるのでそこに座ってください」
先生がそう言いますが、マキちゃんは私の隣(ティアとは反対側)の席に向かいます。
まぁ、当然ですね。
「私はここの席にしますのであなたは後ろの席に行ってください」
「え?」
「聞こえなかったのですか?後ろの席に行ってください」
「えっと・・・・・」
隣の席の子が困った顔で私を見てきます。
「ごめんね、私もマキちゃんが隣の方がいいです」
私は笑顔で隣の子にそう言ってあげました。
隣の子は泣く泣く後ろの席に移っていきました。
少しかわいそうですが、マキちゃんには代えられません。
「アンもこちらに来てください」
私はアンを呼びます。
アンはあきらめた顔をしてこちらに歩いてきます。
私の前に座ってる子も『お願い』したら泣きながら後ろの席に移ってくれました。
なのでアンは私の前の席に座ります。
「今日のホームルームはこれで終わります」
マキちゃんとアンが席に着くのを確認して先生がそういいます。
生徒をどかしたことには何も言わなかったので特に問題ないんでしょう。
「そういえば、マキちゃん、さっき口を塞いでる時、アンの耳元で何ていったの?」
「ん?『静かにしないと私の口でアンの口を塞ぎますよ』って言っただけです。
なるほど、それならアンは静かにしますね。
「なんなら、私の口を塞いで見ます?」
ちゅっ
そういうと、マキちゃんはためらわず私にキスをしました。
「あ!また2人で『いちゃいちゃ』してます!!」
それに気付いたティアが叫びました。
クラスメートがその声で私達を見ます。
私はクラスメートに見せ付けるようにもう一度マキちゃんにキスした後、ティアにも2回キスしてあげました。
「アンもして欲しいですか?」
前の席に座ったアンも後ろを振り向いて私達を見ていたのでそう言ってあげます。
「べ、別にして欲しくないです!!」
アンはそう言って前を向いてしまいます。
私達はそれを見てクスクスわらいました。
私達4人は授業なんて聞かず、一日中念話でお話しています。
なぜ4人かというと、アンも念話に加わったからです。
授業中にいきなり念話で話しかけたら、アンは驚いて大声を出しました。
それを見た教師が、「君は編入してきたアンジェリカさんですね。初めての授業なのに元気のいいことです」なんて嫌味を言われてました。
もちろん、みんなクスクス笑ってました。
アンは顔を赤くして涙目です。
私が念話で、(アン、かわいいですよ)といったら、(リタ、酷いです!!)と念話で答えが返ってきました。
これには私も少し驚きました。
アンって実は魔法の才能あるんでしょうか?
他にも、私達のお話(念話)を邪魔した教師がマキちゃんの魔法で吹き飛ばされるとか、実技の授業でマキちゃんのブルマ姿をエロイ目で見ていた男の教師が半殺しになって病院に運ばれたりとかしましたが、概ね平和に過ごせています。
マキちゃんとアンが加わったので、これからの学園生活が今以上に楽しくなりそうです。
そうそう、寮の2人部屋に5人いるのは狭いということで学園長が新しく隣の2部屋をくれました。
隣にはすでに入っている子もいたのですが、今より良い部屋になると聞いたらあっさり部屋を移ってくれました。
ちなみに、私達は部屋の壁を壊して1つの大きな部屋にしました。
もちろん、すぐばれて怒られましたが・・・・・お金の力ってすごいですよね。
ここまで読んでくれてありがとう。
むぅ、また今日も少し少ない気がします。
誤字、脱字、感想など書いてくれるとうれしいです。
次回は、アン視点か大会どちらかになると思います。
え?どちらでもいいから早く読ませろって?
が、がんばります。