三十九話 亜空間魔法再び
三十九話完成しました。
遅くなって申し訳ありません。
「きゃぁぁぁぁぁ」
夜、私の部屋で叫び声が上がります。
叫んでいるのは、先日学園長から報酬として貰ったアンです。
「人の顔を見て悲鳴を上げるなんて失礼な人ですね」
「リ・・・・・リタ?・・・・・脅かさないでください!!というか、あなた今何処からでてきたんですか!?」
そういえば、アンには亜空間のこと言ってなかったですね。
まぁ、隠すようなことでもないですし、この際教えておきますか。
「どうしたんですか?」
私が亜空間に付いて教えようとしたら、アンの悲鳴を聞いたティアが来ました。
「私が亜空間から部屋に戻ったら、ちょうどアンが目の前にいて、悲鳴を上げられたんです。酷いと思いません?」
私がそう言うと、ティアは『なるほど』という顔をしてクスクスと笑います。
「笑い事じゃないです。私のハートが酷く傷つけられました。ティア慰めてください」
そう言って、私が抱きつくと、ティアは「よしよし」と優しく頭をなでてくれました。
気持ちいいです。
「私を無視しないでちゃんと説明してください!!」
私がティアに頭をなでられていると、アンが不機嫌そうな顔でそういいました。
そういえば、亜空間の説明をするところでした。
「さっきのは亜空間魔法です。色々しまっておけるので便利ですよ」
「亜空間魔法?何それ?聴いたことのない魔法ね」
やっぱり知りませんか、学園の図書館にも亜空間魔法について書いてある本はなかったですからね。
むしろ、知ってたらびっくりです。
「亜空間魔法というのは空間に穴を開けたりする魔法です」
「空間?」
あ~~空間という概念も説明しないといけないですね・・・・・面倒です、実際に見てもらったほうが早いですね。
「うまく説明できないので実際にやってみます」
私はそう言って倉庫にしている亜空間を作り、そこから『アポー』を取り出しアンに見せます。
「こういう魔法のことです。わかりましたか?」
私は、アンに『アポー』を見せながら言います。
しかし、アンは亜空間を見つめたまま私の言葉に反応しません。
どうしたんでしょうか?
私とティアは顔を見合わせます。
私とティアが不思議に思っていると、アンは急にふらふら動き出し、いきなり亜空間に顔を突っ込みました。
これには流石の私もびっくりです。
ティアも目を丸くして驚いています。
いきなり亜空間に顔を突っ込むとか・・・・・アンって実はすごい大物なんでしょうか?
「リタ、これ私にもください!!」
しばらく中を見ていたアンは亜空間から顔を出すと、いきなりそういいました。
「くださいって・・・・・これって一応魔法なんですけど・・・・・分かってます?」
「なら私に使い方教えて!!」
アンがキラキラした顔でそう言います。
む、そのキラキラした顔は少し反則です。
仕方ないですね、特別に教えてあげましょう。
といっても、別に亜空間魔法くらい教えても問題ないんですけね。
あ、せっかくなので少しいじめあげましょう。
「わかりました。教えてあげても良いですが、一つ条件があります」
「本当ですか!!教えてくれるなら何でもするよ!!」
お、『何でもする』ときましたか、では遠慮なく・・・・・。
「アン、私のメイドになってください。それが条件です。」
私がそういうと、アンの動きが止まります。
アンは少し前まで貴族でしたからね、流石にメイドをやるのは抵抗があるでしょう。
アンがブツブツ言いながら考え込んでいます。
まぁ、私はアンのメイド服姿が見たいだけなので、亜空間魔法を教えている間はメイド服を着ること、位でいいですかね。
「わかりました!!メイドになります!!」
・・・・・・・・・・・・・・え?
今、アンなんて言いました?メイドになる?私の?
「私から言っておいてなんですけど、本当にメイドになってくれるんですか?」
「そうです、その代わり、亜空間魔法とやら、ちゃんと教えなさいよ」
これは予想外です。
アン、そんなに亜空間魔法覚えたいのでしょうか?
「分かりました。とりあえず、今日はもう遅いので明日から教えてあげます」
「本当ですね?約束ですよ!!」
私が教えるのを了承すると、アンはそう言ってベッドの方にスキップしていきました。
ん~~~ちょっと予想と違いますが、これはこれでいいでしょう。
さてっと、メイド服は何処にしまったかな?
私がメイド服を探していると、後ろから視線を感じました。
ん?いったいなんでしょう?
不思議に思って私が振り向くと、少し不機嫌なティアがいました。
・・・・・・・・・・・見なかったことにしましょう。
ちなみに、マキちゃんはアンの悲鳴をものともせず、ぐっすり寝ていました。
翌日、私とマキちゃんとティアとアンの4人は近くの森に来ていました。
そして、アンは今メイド服を着ています。
部屋を出る時「約束ですからこれを着てくださいね」と言ってメイド服を渡したら、顔を少し赤くしただけで素直に着てくれました。
こうもあっさり着てくれると、『実は、メイド服着たかったのでは?』と疑ってしまいます。
それと、何故かマキちゃんとティアが巫女服を着ていました。
アンに対抗してるんだと思いますが・・・・・いったい何処から持ってきたんでしょう?
そうそう、森に行くついでに、いつものように学生課に寄ったら、ティアもランクがAに上がりました。
この前の学園長の依頼も評価されたみたいです。
ちなみに、アンのランクはDでした。
よくこのランクでドラゴンと戦おうと思いましたね・・・・・ある意味すごいです。
「今から亜空間魔法の使い方を教えます」
「「はい」」
私がそういうと、ティアとアンが元気よく答える。
そういえば、ティアも亜空間魔法の使い方知らなかったですね・・・・・。
「まずは、魔力を一箇所に集中して集めてください。それで空間に穴が開きます」
ティアとアンが魔力を集めます。
「できました」
まず、ティアがそういいます。
それに続いてアンも・・・・・・・・あれ?
アンも魔力を集中させていますが、なんていうか・・・・・魔力量が全然足りてません。
「アン、どうしました?もっと魔力量を増やさないと空間に穴は開けれませんよ?」
「これ以上は無理です・・・・・」
私が聞くと、アンは涙目になってそういいます。
あ、かわいい・・・・・じゃなくて、これで限界?ティアの千分の一もないですよ?
冗談には見えませんし・・・・・元々魔力が少ないのでしょうか?
「リタ、リタ、普通の魔法使いの魔力量はそれくらいですよ?」
私が考え込んでいると、マキちゃんがそういいました。
「どういうことですか?」
「私の場合は元死神なので、普通の人とは比べられないほど魔力があります。リタも神様並みの魔力を手に入れてますし、ティアはそのリタと『契約』しているので魔力量が桁外れに上がっています。だから強引に空間に穴を空けれるんですよ」
なるほど、そういえばそうでしたね・・・・・すっかり忘れてました。
けど、どうしましょう?
これではアンは空間に穴を空けれないです。
「マキちゃん、なにか良い方法ないですか?」
「ありますよ」
私が聞くと、マキちゃんはあっさりそういいました。
即答ですか・・・・・さすがマキちゃんです。
「どうすればいいの?」
「リタがアンとも『契約』すればいいんですよ。もっとも、ティアにしたみたいな強力な奴じゃなくて、もっと簡単なので良いんですけどね」
ふむ・・・・・簡単な契約ですか・・・・・。
「どんな『契約』すればいいんですか?」
「そうですね、ちょうどアンもメイドになるみたいなので、従者の『契約』でいいと思います。これなら魔法陣を書いてキスするだけでできますからね」
「わかりました、ではアンと『契約』しちゃいましょう。魔法陣はマキちゃんにお願いしていいですか?」
「いいですよ」
私がマキちゃんと話し終えると、アンは泣きそうな顔のまま、心配そうにこちらを見ていました。
「アンの魔力では空間に穴が空けれないことが分かりました」
私がそう言うと、アンの目から涙がこぼれました。
「けれど、安心してください。それを解決する方法もあります」
私はそう言ってアンの目から流れた涙を唇で優しく吸ってあげます。
すると、アンが潤んだ目で私を見つめました。
いいです・・・・・今のアンとってもかわいいです。
抱きしめてしまいたいです。
けれど、今は我慢です。
「その方法というのは『契約』です。私とアンが『契約』すれば、アンの魔力が上がって空間に穴を空けれるようになります。『契約』のことはアンも知ってますよね?」
私の言葉にアンは素直に頷きます。
けれど、アンは少し困った顔をしました。
まぁ、一般に知られている『契約』というのは絶対的な主従関係、つまり貴族と奴隷のような関係ですからね。
「もちろん、アンが心配していることも分かります。けれど大丈夫です。私達がやる『契約』は精霊とする『契約』に近い、『従者の契約』ですからね」
私の話を聞いて、アンは少しホッとした顔をします。
「『契約』にはキスする必要があるんですが・・・・・どうしますか?」
アンは、キスという言葉に敏感に反応して顔を真っ赤にさせます。
う~~ん、『純情』というか・・・・・『うぶ』というか・・・・・かわいいですね。
私の色に染めたくなります。
「・・・・・わ・・・ま・・・した」
「ん?」
「わかりました!!私リタと『契約』します!!」
しばらく俯いていたアンでしたが、覚悟を決めたのか、私の目を見て、はっきりとそういいました。
顔は真っ赤でしたけどね。
「では、今からしちゃいましょう」
「え?え?ここで?」
私がそう言うと、アンが慌てます。
マキちゃんやティアに見られているのが恥かしいのでしょう。
けど、どうせなら私は、そんな恥ずかしがってるアンとキスしたいです。
というわけで、いただきます。
ちゅぅぅぅぅ
私はマキちゃんに目で合図をして、『契約』のキスをします。
パァァァァァ
私とアンがキスをすると、マキちゃんが作った魔法陣が輝き、『契約』が完了します。
『契約』が終わり、私が口を離すと、アンが私を睨んできます。
「し・・・・・舌入れるなんて聞いてない!!」
アンがそう言って抗議の声を上げます。
「えっと・・・・・ごちそうさま?」
私がそういうと、アンがパンチしてきました。
全然痛くないけどね。
しばらく私を叩いていたアンですが、手が痛くなったのか叩くのをやめてます。
「もういい。早く亜空間魔法教えて!!」
「ふふ、では空間に穴が空けれるか試してみましょう」
私は少し笑ってアンにそういいます。
アンはもう一度魔力を一箇所に集中して集めます。
すると、今度はちゃんと空間に穴が開きました。
「穴が開いたら後はその中に魔力を循環させて、空間の目印として血の一滴でも入れておけば完成です」
「できました」
私がそういうと、ティアがすぐに答えました。
早いですね・・・・・
アンはどうかな?
・・・・・・・・?
魔力の循環までは出来ていますが、なぜか血を入れるのをためらっています。
「どうしたんですか?」
「い・・・・・痛いの嫌」
私が聞くと、アンがそう答えました。
なるほど・・・・・
えいっ
私は風魔法でアンの指先を少し切ります。
すると、そのから一滴の血が亜空間に入っていきました。
これで完成ですね。
私がアンを見ると、涙を流して泣いていました。
・・・・・これくらいで泣くなんて・・・・・子供ですか?
仕方ないので、私はアンが泣きやむまで優しく頭をなぜてあげました。
なにはともあれ、これでアンも亜空間魔法習得ですね。
よかったよかった。
ここまで読んでくれてありがとう。
なんか、前書いた話と似てるような似てないような・・・・・。
誤字、脱字、感想などあったから書いてくれるとうれしいです。
次回は・・・・・どうなるんでしょう?
え?どういうことだって?
今回何回か書き直したので、話が纏まってないのです。
すいませんすいません。