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巡る世界  作者: 時世
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番外編 染血のソリタリー

1000pt突破記念の番外編です。


今回はマキちゃんがリタに会う前の話です。

少しダークな感じになっています。

そういうのが苦手な人は気を付けください。

黄昏時の荒野に、一人の少女が佇んでいる。

荒野に風が吹くと、彼女の2つにまとめられた髪がキラキラと黄金色の光を放ってたなびく。

その姿はとても美しいのにどこか寂しげで、その瞳は遠くを見つめている。


彼女の周りには誰もいない。

なぜなら皆、彼女が殺してしまったのだ。

その証拠に、彼女の手には鋭い、人の背丈ほどもある鎌が握られており、服は返り血で赤黒く染まっていた。


どれだけそうしていたのだろうか?

やがて、遠くから彼女の仲間達が迎えに来る。

けれど、血で赤黒く染まった姿を見ると、誰も彼女に近づこうとはしなかった。


「後はお願い」


彼女は仲間にそう言うと、ピチャピチャと血の中を歩いていく。

そう、荒野は一面、血と亡骸で埋まっていたのだ。






~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





死神の仕事は、主に2つある。


1つは死んでしまった人に『質問』をして、それを基準に様々な世界へ転生させること。

もう1つは、冥界の監視、及びそこから出てくる悪魔などの対処である。


冥界とは、悪魔達が住んでいる世界で、邪神といわれる存在が支配している。


基本的に死んでしまった人は死神によってすぐに転生させられるのだが、まれに悪魔によって冥界へ連れて行かれるものがいる。

しかも、その多くが『冥府帰り』と呼ばれる化け物にされて、多くの世界へと解き放たれる。

『冥府帰り』は1体でも世界を壊してしまうほどの力を持っているため、見つけ次第天界に連絡をし、死神の部隊を編成して始末することになっている。




この日、私、黒衣真貴くろいまきも『冥府帰り』が見つかったということで召集されていました。


はぁ、前から決まっていたこととはいえ、『冥府帰り』討伐の日は憂鬱です。

私はそんなことを思いながら、召集場所へと向かいます。


なぜ私が憂鬱になっているかというと、『冥府帰り』は強い上にタフなので倒すのに丸1日掛かることとかがざらにあるからです。


出来ることなら体調不良とかで休みたいのですが、『冥府帰り』討伐は死神の成績にものすごく影響するので、死神のエリートである私が休む分けには行きません。


「はぁ」


思わず私はため息をついてしまいました。




「皆集まったな!!俺が今回の『冥府帰り』討伐のリーダーだ」


私が招集された場所に着き、しばらくすると、男のマッチョな死神が前に出てそう宣言します。


はっきり言ってすごくきもいです。

もう、始める前からやる気ダウンです。


「先発隊の報告によれば、今回の『冥府帰り』は巨大なアメーバ型で身体から鋭い針のようなものを飛ばして攻撃してくる。しかも、再生速度が速いらしく、攻撃がなかなか効かないそうだ。よって今回は10万人規模の近年まれに見る大討伐になる。皆のもの気を引き締めて当たるように!!」


私が周りを見渡すとかなりの人が居ました。

けれど、元々『冥府帰り』の討伐には5千人~1万人ほど参加するので、広場から見ただけではいつもの討伐と余り変わりません。


そういえば、10万人なんて大人数での討伐は久しぶりですね・・・・・。

私が前に、これだけの規模の『冥府帰り』討伐をしたのは数百年前です。

その時は鬼の姿をした『冥府帰り』で、確か1万人の死神が犠牲になりました。


・・・・・・・・いやな予感がします。



「やぁ、黒衣ではないか、お前も俺の部隊なんだって?成績は俺より上なのに対人関係で問題起こしてばかりだからお前はリーダーに成れないんだよ」


私がそんなことを考えていると、いつの間にか前で喋っていたマッチョの死神が来て嫌味をいいます。


上司には笑顔で接するのですが、それ以外にはきつい態度を良くとります。

それが災いしてか、私の対人関係は最悪です。


ガンッ!!

ゴロゴロゴロド~~ン


まぁ、私がこういうムカつく奴を片っ端からぶん殴っているというのも在るでしょうけどね。

私はマッチョの顔を、鎌の柄でぶん殴ってふっ飛ばします。

壁にぶつかって止まったマッチョは起き上がって何あら叫んでいましたが、私はそれを無視しておきました。

ちなみに、私は死神全体でも百番台に入るほどの強さを持っています。

死神は数え切れないほどいるので、その中で百番台というのは、かなりすごいことです。




それから数時間後、私はアメーバ型の『冥府帰り』がいるという世界に来ていました。

この世界は、ほとんどが荒野です。

そして、私はマッチョの陰謀で後方支援にまわされました。


はっきり言って暇です。

ここではやることなんてないですしね。

まぁ、『冥府帰り』の討伐に行ったという事実は残るので、成績に響くことはないのが救いです。

もちろん、いい評価はされないです。


はぁ、こんなところでボーとしてても仕方ないですね。

『冥府帰り』はあのマッチョの死神が張り切って倒してくれるでしょうから私はゆっくり寝て待っていることにしましょう。

私は、何かあっても良いように結界を張ると、その場に寝転んで寝ました。






私がこの世界に来てすでに3日、今日も後方支援ということで結界を張って寝ていると、突如、空から雨のようなものが降ってきます。


空は晴れてますし・・・・・いったいなんでしょうか?


私が不思議に思い、周りを見てみると、周りにいた死神達も騒いでいました。


まったく、役に立たない人達ですね。


私がそんなことを考えていると、前方から勝ち鬨が上がりました。

どうやら『冥府帰り』を倒したようです。

しばらくして、私の予想通り、『冥府帰り』を倒したという報告が届きます。

すると、私の周りに居た死神達が「やったね」とか「疲れました」とか言って騒ぎ出しました。


いや、君達も私と一緒で何もしてなかったでしょ?

私は呆れた顔をして周りの死神達を見ます。


次第に『冥府帰り』を倒した時の情報が入ってきます。

なんでも、死神達の魔法による一斉攻撃を数時間浴びた『冥府帰り』はついに耐えられなくなり、先ほど爆散したそうです。

つまり、さっきの雨は『冥府帰り』が爆散した物だったわけです。


その報告を聞いた私は、なにか納得いかないものを感じました・・・・・それにいやな予感もします。

これが、ただの感で終わればいいのですが・・・・・とりあえず私は警戒を強めておくことにします。



私が警戒を強めた直後、前方で悲鳴が上がりました。

やはり何かあったようです。


その悲鳴を聞いて、私の近くにいる死神達も一瞬静かになり、またざわめきだします。



「きゃぁぁぁ、いきなり何するの!!」


突然、私の近くに居た死神の1人が悲鳴を上げます。

私がそちらを見ると、1人の死神が鎌を出して、振り回していました。


それを皮切りに、そこら中で悲鳴が上がり始めます。


これはやばいです。


私はそう判断すると、すぐにその場から離れ、『冥府帰り』を討伐するために作られた、簡易拠点に向かいました。


しかし、私が簡易拠点に着いたとき、そこではすでに死神同士が殺し合いをしている常態でした。


これは本格的に不味いですね・・・・・一旦天界へ戻りましょう。


私はその状況を見て一旦天界へ帰ることにします。

ところが、鎌を振って天界へ次元を繋げようとしても、何故かつながりません。

流石にこれは私も焦ります。


私が何回か鎌を振っていると、私に気付いた死神が襲ってきました。

私はとっさにその死神を鎌の柄で殴ってぶっ飛ばします。

それが不味かったです。

ぶっ飛ばした時の音で私に気付いた死神が一斉に襲い掛かって来ます。


冗談じゃないです!!


私は急いでその場から逃げ出します。

逃げた私を、死神たちが良く分からない言葉を叫びながら追ってきます。


しばらく私は逃げ回っていましたが、追いかけてくる死神はどんどん増えて、ついに私は囲まれてしまいます。


こうなったら仕方ないです。

少しかわいそうですが、皆さんには死んでもらうことにしましょう。

自分の命には代えられないですからね。


私は、自分の愛用の鎌に魔力を込めると、鎌が巨大化します。

そして、私を中心に鎌を1回転させます。


ドグシャァァァァ


私の近くに居た死神達が真っ赤な血を噴出しながら、まとめて切り裂かれます。

しかし、ホッとしたのも束の間、攻撃の範囲外にいた死神がまた私に迫ってきます。

私はその死神達も切り殺します。



その後はもう最悪です。

次から次へと出てくる死神たちを、ある時は切り殺し、ある時は魔法で打ち抜き、潰し、焼き、凍らせ、手当たり次第に殺していきます。

唯一救いだったのは、襲ってくる死神達の動きは鈍く、まるでどこかの世界で見た、『ゾンビ』という生き物?のようでした。


何人も殺していると、殺した死神の血の中から、『冥府帰り』の1部が溶け出してきて、蒸発しているのを見つけました。

どうやらこの死神たちはアメーバ型の『冥府帰り』に取り付かれているみたいです。

血の中に『冥府帰り』の1部が溶け込んでいるようではもう助からないでしょう。

私は、今まで少し残っていた同情の気持ちを捨てました。






それから数時間・・・・・いえ、途中で暗くなった気がしますので数日でしょうか?気が付くと、そこは辺り一面血の海になっていました。

動くものは私以外誰もいません。


私は、ただ1人、その真っ赤な海の中に佇んでいます。

これだけ殺したのに何の感情も浮かび上がりません。

私は壊れてしまったのでしょうか?

荒野に冷たい風が吹いて、さびた鉄の匂いを運びます。




どれだけそうしていたでしょう?

空が夕日に染まった頃、救援の死神たちが到着しました。


来るの遅すぎです。



「後はお願い」


私は救援に着た死神にそう言うと、ピチャピチャと血の海を少し歩いたあと、鎌で天界に次元をつなげて帰りました。




疲れました。

今日はもう寝ましょう。


その日、私は自分の家に帰ると、お風呂に入って血を流し、ベッドへ倒れこむようにして寝むりました。



















次の日、私は昨日までの疲れが取れていませんでしたが、普通に仕事をこなします。


どこかで私のことを『染血のソリタリー』と呼んでいるのが聞こえましたが、あえて無視をしました。


仕事を終えて、私が天界に帰ってくると、神様から呼び出しが来ました。

私はまだ昨日の疲れが取れていないので、少し不機嫌になって神様の所に向かいます。


「はぁ、じじいが私にいったい何のようでしょう?」


私は思わずそう呟いてしまいます。









この時、私の運命を変える出来事が待っているとは夢にも思いませんでした。





ここまで読んでくれてありがとう。


どうでしたか?

うまく書けていればいいのですが・・・・・。


誤字、脱字、感想など書いてくれるとうれしいです。



次回は本編に戻ります。


え?いいから続きを早く書けって?

が・・・・・がんばります。

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