三十六話 孫と祖父
三十六話完成しました。
学園長の孫が登場です。
「皆さん、立ってください。もう一度ドラゴンと戦いましょう!!先ほどは遅れをとりましたが、今度こそ倒すのです!!」
私達が町に戻ると、バカ貴族の一人が叫んでいました。
さっきまで逃げ惑っていたのにこの人は何を言ってるんでしょう?
しかも、周りのバカ貴族達がすごくいやそうな顔をしているのに気付いてないみたいです。
パコン
私はとりあえず、そのバカ貴族を殴っておきます。
「痛っ」
「あなた何言ってるんですか?あなた達、ドラゴンにまったく歯が立たなくて逃げてるだけじゃなかったですか!!また戦う?死ぬつもりですか?自殺志願者ですか?アホなこと言ってないでおとなしくしていてください」
バカ貴族が睨んできましたが気にしません。
全然怖くないですしね。
「あなた誰ですか?私がアンジェリカ=リュノ=クロイツと知ってのことですか?」
いやに態度がでかい人ですね。もともと、貴族は皆態度がでかいですけど・・・・・そういえば、クロイツ・・・どっかで聞いたことがあるような・・・・・まぁいいです。
「私はリタ=ロスト=ケミアです。学園長の要請であなた達を助けるように言われてきました」
バカ貴族改め、アンジェリカ・・・・・アンでいいですね。アンが名乗ったので、私も名前を言います。
「あなたが『あの』リタですか!!・・・・・いえ、それよりも今、おじい様の要請で来たといいましたか!?」
『あの』というのが少し気になりますが、この際それはどうでも良いです。
それより今、学園長のことを『おじい様』と言いましたね。
良く見ると、学園長に見せてもらった人にそっくりです。
「おじい様?もしかして、あなたが学園長の孫ですか?」
「そうです、私が王立リーン学園の学園長を勤めているおじい様の孫です。それより、私の質問に答えなさい」
どうやら学園長の孫で間違いないみたいですね。
「そうです、学園長の要請できました。ちなみに、あなた家から縁を切られてすでにクロイツではないですよ?」
アンの態度に少しイラッとしたのでつい余計なことまで言ってしまいました。
私の言葉に、アンは一瞬何を言われたのか分からずポカンとします。
「う、嘘おっしゃい。なんで私が縁を切られなくてはならないんですか!!」
「あなたがドラゴン退治なんて無謀なことに大勢の貴族を巻き込んだからです。学園長はあなたと縁を切らなければ家が潰れると嘆いてましたよ」
アンが怒鳴って聞いてきたので、私は縁を切られた理由を教えてあげます。
すると、アンが泣きそうな顔になりました。
「う、嘘ですよね?嘘だといってください」
急にアンの言葉遣いが弱弱しくなりました。
もしかして、実はアンって泣き虫なんでしょうか?
「残念ながら事実です」
とりあえず、私はアンに止めを指しておくことにします。
はて?なんかアンを見ていたらすごくいじめたくなった気がしましたが・・・・・気のせいでしょうか?
「そ・・・そんな・・・・・シクシクシク」
ついにアンが膝をついて泣き出してしまいました。
アンが泣いてる姿は少しかわいいと思ったのは秘密です。
この後は、特に問題も起こりませんでした。
アン以外のバカ貴族達は、ドラゴンの恐ろしさにブルブル震えていて、戦おうな度と考える人もいませんでしたし。
そうそう、ティアががんばったのでしょう、バカ貴族達は全員無事でした。
もちろん、ほとんどのバカ貴族が怪我をしていましたけどね。
私達がドラゴンを追い返した翌日、騎士団が町に付きました。
ドラゴンとの戦いにちょうど1日間に合わないとか、作為的なものを感じましたが、とりあえず気にしないことにしておきます。
私は、ドラゴンが暴れていた理由と、それがもう解決していることを騎士団に伝え、ちょうど良いのでバカ貴族の護衛に騎士団の人を借りました。
初めは少し渋っていた騎士団の人達でしたが、流石にこれだけの貴族を放って置くことは出来ず、嫌々ながら引き受けてくれました。
それから数日、私達は貴族のバカ息子達と一緒に学園へ帰ってきました。
学園までの道のりで、貴族達は色々文句を言っていましたが、全部騎士団の人に丸投げしました。
私は、バカ貴族と話していると、ブン殴りたくなりますからね。
私達が学園に付くと、騎士団の人達は少しホッとした顔をして、さっさと帰っていきました。
バカ貴族達もそれぞれ勝手に寮に戻っていきます。
「あなたは私達と一緒に学園長のところです」
私は、皆と一緒に寮に戻ろうとしているアンを見つけ、引っ張ります。
「離しなさい。私は疲れてるので寮に戻ります。おじい様のところへは後で行くと伝えておきなさい」
アンは、家に縁を切られたことでショックを受けているのか、本当に少し疲れた顔をしていましたが、相変わらず偉そうな態度です。
少し意地悪してやりましょう。
「残念だけど、あなたの部屋はもうないと思いますよ?」
それを聞いたアンは、目に涙を浮かべました。
あ、やっぱりアンは泣きそうな顔がかわいいですね。
このまま学園長室まで連れて行きましょう。
トントン
「リタ=ロスト=ケミアです。今学園に着きました」
「鍵は開いておる、入ってきてくれ」
私がドアを叩いてそう言うと、中から学園長の声が返ってきました。
「失礼します。アンジェリカさんを連れてきました」
「おぉ、リタ君、報告は聞いて居る。良くやってくれた、アンジュラも久しぶりじゃな」
学園長が私達を見てそういいます。
「おじい様!!私が家から縁を切られたと聞いたのですが、本当ですか!!」
いきなりアンが叫びました。
さっきまで、目に涙を浮かべていたのが嘘みたいです。
「そのとおりじゃ、お前には悪いと思うがこれも家のため、あきらめるのじゃ」
学園長は少し辛そうな顔をしてそう言います。
「そ、そんな・・・・・酷いです!!家から縁を切られた私は、これからどうすればいいんですか!!」
どうやら、アンは虚勢を張っていたみたいですね。
学園長の一言でまた涙を流し始めます。
「だ、大丈夫じゃ、その辺もちゃんと考えてある。だから泣かないでおくれ」
アンが涙を流したのを見て、学園長が焦ります。
「考え?」
「そうじゃ、だから安心しておくれ」
「う、うん」
なんか・・・・・下手なホームドラマを見せられているような気がします。
まぁ、私には学園長の言っている『考え』がどういうものか知ってるのでほくそ笑んでいますけどね。
「それで、私はこれからどうすればいいの?」
アンが学園長に上ずった声で尋ねます。
「うむ、お前はこれからそこにいるリタ君に世話になることになっておる。リタ君もお前と同じく家を追い出されたようじゃが逞しく生きておる。お前もリタ君に学んで1人で生きるすべを見つけるのじゃ」
学園長がアンそういいました。
ちょっとまて、このじじい。
何時の間に私のことを調べたんでしょうか?
書類などもクロスロード家によって完全に偽装されているはずです。
流石に学園長をやっているだけはありますね。
侮れないです。
「あなたも追い出されたの?」
「・・・・・一応」
アンが私を少し哀れんだ目で見ます。
「し、仕方ないですね。大貴族である私があなたの世話をしてあげます」
アンが偉そうな態度に戻りました。
そんなアンを見ると、私の悪戯心が疼きます。
「違いますよ、世話になるのは私じゃなくてあなたの方です」
「なっ!!私が世話をしてあげると言っているのになんて態度ですか!!」
私がアンの言葉を訂正すると、怒り出します。
「ちなみに、あなたは家から縁を切られたので、アンジェリカ=リュノという平民になってますよ?」
「そ、それは、あなたも一緒でしょ!!」
アンが動揺します。
「いえ、私は家を追い出されはしましたが、縁までは切られていないので、一応まだ貴族ですよ」
「え?そうなの?・・・・・」
もっとも、クロスロード家は私のこと忘れているだけで、わざわざ縁を切ってないだけなんですけどね。
これは言ったらつまらないので言いませんけど。
「そうです。では、これから私が色々教えてあげますのでよろしくお願いしますね、アン」
私は『アン』というのを強調して言います。
「なっ!!だれが『アン』ですか!!なれなれしいにもほどがあります!!」
「ん?教えて欲しくないんですか?外で寝るのは寒いでしょうねぇ~~」
私がそういうと、アンは「ぐぅぅぅぅぅ」と唸ります。
「そういうことで、アン、これからよろしくお願いしますね、ちゅっ」
私は少し調子に乗ってアンの唇にキスをしてやりました。
・・・・・・・・・・・ボンッ
すると、アンはしばらく呆然とした後、顔を真っ赤にして倒れてしまいました。
・・・・・えっと・・・・・アンってすごく『うぶ』なんですね。
まさか倒れるとは思いませんでした。
あ、良く見ると、マキちゃんとティアが私を睨んでます。
アリスと学園長は笑ってますね・・・・・って、学園長の前なの忘れてました。
「それではリタ君、孫のことよろしく頼みますね」
「・・・・・わかりました」
よかったです。
学園長はアンにキスしたのに気にしていませんね・・・・・むしろ微笑ましいものを見たって顔しています。
さすが長生きしてる人は違いますね。
「それでは失礼しますね、じ・・・・・学園長」
「はい、また何かあったらお願いしますね」
私はアンを引きずって学園長室を出ます。
危ない危ない、学園長を『じじい』って呼ぶところでした。
・・・・・ん?学園長『また』っていってました?
やっぱり学園長はじじいに決定です。
そういえば・・・・・こんな話、前にもどこかで聞いたことあるような・・・・・。
そだ、マキちゃんが神様のことを『じじい』って言っていたんでしたっけ。
なるほど、今ならマキちゃんの気持ちが良く分かります。
さてっと、部屋に戻ったらまず、アンにマキちゃんを紹介しますかね。
なぜって?マキちゃんとティアの2人と『いちゃいちゃ』しているのをアンに見せ付けるためです。
そうすれば『うぶ』なアンは面白い反応すると思いませんか?
ふふ、これから楽しいことになりそうですね。
ちなみに、少し怒っているマキちゃんとティアは、私に見せ付けるようにしてキスしたりしています。
後で2人にはたっぷり楽しませてもらうことに決定です。
ここまで読んでくれてありがとう。
三十三話で言っていた予想していなかった人というのは学園長の孫のことです。
誤字、脱字、感想などあったら書いてくれるとうれしいです。
次回は学園長の孫にティアとマキちゃんを紹介する予定です。
え?進む速度が遅いって?
すいませんすいません