二話(裏) 記憶(死神サイド)
記憶の死神サイドです。
本編より長くなってしまった・・・
その日、私がいつものように適当に仕事をこなして天界に帰ってくると、神様から呼び出しを受けました。
神様が急に私を呼び出すなんていったいなんのようでしょう?
今日は疲れているので、さっさと寝たいのに、これでつまらない用事だったら神様にクラスチェンジさせてやりましょう。
なんて心の中で思っていても、エリート死神である私は、笑顔で神様に接します。
「神様、私に何の御用でしょうか?」
「ふむ、来たか、まずはこの記事を読んでみたまえ」
まったく、えらそうな神様ですね。
「えっと・・・国会議事堂爆破!! 死者36名!! 犯人はなんと16歳の少年!!」
「この事件ですか、この時は私も大変でした。でもこんな14年も前の記事がどうかしたのでしょうか?」
このじじいついにぼけましたか?こんな古い記事もちだすなんて?
「実はその少年、昨日死刑されたのだ、知っておったか?」
「いえ、知りませんでした。でもかわいそうですね、この当時は未成年だったのに・・・」
あはは、こいつバカじゃない?いくら未成年でも国家権力に逆らって無事なわけないじゃん
「それである死神がその少年を転生させに行ったんだが、その死神の報告によると、少年の中に魂は入っておらず、代わりに悪魔が入っていたそうじゃ」
「それって、大問題じゃないですか!!」
うわ~~~担当の死神かわいそう、絶対徹夜で原因究明させられてるよ
「それでついさっき真相が判明してな、なんでも、ある死神が間違えて、死んでもいない少年を転生させてしまったそうじゃ。しかも何を思ったかその死神、それを報告せず放置してたそうでな」
「そんなことした死神がいるんですか!?まったく、死神の質も落ちたものですね」
ラッキー、その死神オワタな、これで私のライバルが一人減ったよ♪
「それで、その死神というのはな・・・お前のことじゃ!!」
「まぁ、それは大変・・・え?私?」
まてまて、私!?そんなまさか、こころあたりなんて私には・・・結構たくさんあるなぁ・・・じゃなくて
「そんな・・・本当に私なのですか?」
隠ぺいは完ぺきだったはず・・・なぜばれ・・・悪魔のせいか!!
「そうだ、何度も確認した。間違いはない!!」
や・・・やばい・・・やばいよ、どうしよ、こういうときは・・・そう、とりあえず謝っておきましょう
「す・・・すいませんでした!!このような失態を犯してしまい、申し開きもありません。責任は取らせていただきます。どうすればいいでしょうか?」
とりあえず、土下座して、涙流して、哀願しておきます。
プライド?なにそれ?おいしいの?
「ふむ、当然だな」
当然!?この私が土下座して哀願してるのに、この神様当然とかいいましたか!?
「その少年の転生体である、このリタ=ロスト=クロスロードな、死んでもいないのに転生させられたせいで何の才能にも恵まれず、ずっとつらい思いをしておる。そこでじゃ、おまえはこの転生体が死んだ時・・・まぁ実際は死んだわけではないのじゃが・・・その時にした『転生するにあたっての質問』の中にある希望をできる限り叶えてやるのじゃ」
「は・・・はい、わかりました」
うへ~~~マジですか、めんどくさいなぁ~~
「よし、わかったらさっさといけ、ワシも色々忙しいのでな」
「はい、失礼しました!!」
私は即答するとダッシュで出口に向かう、このままここにいたら何を言われるかわかったものじゃないです。
はぁ・・・めんどくさいことになったなぁ
まあいい、さっさと終わらせて寝るか、こういうときはさっさと寝るのが一番です。
え~~と・・・あ、いたいた。
まずは・・・質問の中にある希望を反映させてっと
リタの身体が光に包まれる
よし、あとは事情を説明するだけです。
それでは夢の中に入りまして、営業スマイル営業スマイルっと
「すいませ~~ん、あなたがリタさんですね?」
ん?なに?キラキラした目で私を見てる?
「天使・・・」
いやぁ~~、私が美しいのは認めるけどさ、神様の僕と一緒にしないでほしいです。
「いえ、どちらかと言うと死神に近いですね」
ん?なんだ?急に暗い顔になったぞ?しかも死んだとかぶつぶつ言ってるし、暗い人です。
「なんか落ち込んでるみたいだけど、あなた、まだ死んでないですよ」
「え?死んでない?・・・でも死神・・・あぁ、これから死ぬんですか?」
とことん暗い娘ですね、そんなに死にたいのでしょうか?
「いえいえ、死なないですよ?今日はあなたが転生する前のことでお話があってきました」
「?」
あ~~~わかんないですか、まぁいいです。
とりあえず記憶を戻してみましょう。
「とりあえず、このままでは話になりませんので転生前の記憶を戻しますね」
目の前の娘がまた光に包まれる。
ん?どうしたんでしょ?なんか急に表情が明るくなったような・・・?
「・・・おぉ・・・おぉぉぉぉ・・・美少女、バンザーイ!!」
!?
なんですか?いきなり叫んで、気でも狂ったのでしょうか?
まぁいいです、さっさと説明して帰りましょう。
狂ってても私には関係ないですしね。
「あの~~話を進めていいですか?」
「はい、いいですよ、それと話が終わったら私の彼女になりませんか?」
いきなりなにを言ってるんでしょう?
転生前は男でしたからその名残でしょうか?
でも転生後の記憶もあるはずですが・・・まあいいです、適当にあしらっておきましょう。
「それでは、話を進めさせていただきます。それと、何言ってるんですか?あなたはもう女性ですよ?」
「性別なんて関係ないです。話をしてる間に考えておいてくれますか?」
うわ~~もともとそっちの人でしたか、さっさと断っておきましょう。
「今、答えます。お断りします。私にはそっちのけはありませんので。それでですね、転生させた時なんですけど、実はあなた死んでませんでした。私は転生させた後、すぐに気が付いたのですが間違えたのがばれると、私の成績にかかわりますので黙っていました。それが最近になってばれてしまい、神様に怒られたので、仕方なくこうしてあなたの前に来たというわけです。ちなみに、あなたに才能がないのも生きてるうちに転生させてしまった時の副作用です」
ん?なんか怖い顔になってますね・・・ってなんで拳を振り上げてるのでしょうか?
「あ、あの・・・なに怖い顔してるんですか?」
「うん、一発殴ろうと思いましてね?」
冗談じゃないです。あなたは今、希望を反映した影響でものすごく強くなってるんですよ!!
そんなのに殴られたら私でも大怪我しちゃいます。
「し・・・死神殴っちゃダメですよ?」
「大丈夫、美少女でも心が黒かったら意味ないですから」
この娘、私に向かって黒いとかいいましたか?
「そういう、問題じゃないです。それになんかひどいこと言われてます」
「これは、あなたの責任でしょ?我慢しなさい」
我慢?そんなもの私の辞書にはないです。
ってこっちにこないでください。
「あ・・・そ・・・そう、責任!!責任はちゃんと取りますよ。だから拳を下ろしてください」
「どうやって?」
ふう、とりあえず拳を下ろしてくれましたか。
「転生する時、質問したでしょ、その中にあったあなたの希望をできる限り反映させてあげます。神様にもそれくらいのことしてやれって言われましたから」
というかもう反映してありますからね。
私も助かって一石二鳥です。
「ふむ・・・神様とやらは、それでいいとして、あなたは私に何をしてくれるのかな?」
はい?この人は何を言ってるのでしょうか?
「希望の反映っていうのは、『神様』が責任を取って、してもいいって言ったのでしょ?」
なに?希望の反映だけじゃ足りないってことでしょうか?
贅沢な人ですね。
さて、どうしましょうか・・・・・そうですね、適当に願いでも叶えておきましょうか。
「え・・・えと・・・じゃぁそれとは別で願いを一つ叶えてあげます」
「あなたにできるの?」
失礼ですね、あなたの願いくらいなら十分叶えられますよ。
「も・・・もちろんです。あ、願いを増やせとか世界を滅ぼせとかはだめですよ?」
「でも、神様に許可がいるんじゃないの?」
あぁ、そういうことか、もちろん神様に許可もらわないで、そんなことしちゃいけないんですけど、黙ってればばれないでしょ、だってあの神様歳ににあわず忙しいですから。
「だ・・・大丈夫です、私がちゃんと責任を持ちますから」
「ふむ・・・ならあなた『私の物』になりなさい」
物?この人、私のこと物扱いしました?
「・・・・・・・・・・・・・は?」
「だから『私の物』になりなさいって言ってるの」
なに言っちゃってるんでしょう?『私の物』にする?
しかも私を?
調子に乗りすぎですね。
「あ・・・・あはははは、何言ってるんですか?そんなのダメですよ」
「なんで?」
当たり前じゃないですか、なんで私が『あなたの物』なんかにならなくちゃいけないんですか!!
「私には仕事があるからです、私が仕事しないと死んだ人が転生できなくて大変なことになるんですよ」
「そうなの?代わりくらいいそうなものだけど?」
ほんっと失礼な人ですね、私ほど優秀な死神の代わりがいると思ってるんでしょうか?
「いない、いないですよ、私ほど優秀な死神なんて・・・(ピリリリリ、ピリリリリ)・・・あ、電話きたので少し待っててくださいね」
「誰ですか?この忙しいのに電話かけてくるバカは・・・・・」
「ほう、ワシがバカじょと?」
・・・・・!?
なんでいきなり神様から電話掛かってくるんですか!?
「あ、神様!!」
「そんなに驚いてどうしたのじゃ?」
「いえ、なんでもないです」
「ところで、説明の方はもう終わったかの?」
「はい、その件はもう少しで終わりそうです」
「嘘はいかんな嘘は、ワシは全部見ておったぞ。それとなお前さんの仕事をチェックしてみたら不正がたくさん出てきての。会議の結果おまえさんは死神をクビにすることになった。」
神様忙しいはずなのになんで覗き見なんてしてるんですか!?
しかも私に無断で仕事のチェックまでして・・・てかクビ?だれが?私が!?
「え?マ・・・マジですか!?」
「それとな、罰としてその譲ちゃんの願い叶えてやることにしたから、まぁせいぜいがんばるのじゃぞ」
「あ、待ってください・・・・・(ツーツーツー)」
やばい・・・どうしよ・・・というか・・・私に『この人の物』になれと?
いや、まてまて、神様は願いを叶えることにしたって言ったんです。
今からでも遅くないはずです願いを変更させましょう。
とりあえず・・・かなり妥協するとして・・・ん?いいこと思いついた!!
「・・・・・おまたせしました、えっとですね・・・願い事のことなんですけど、『あなたの物』になるのは無理でも彼女くらいにならなってあげてもいいかなぁ~~~なんて」
それで、彼女になったとたん捨ててやります。
私、あたまいい♪
「急ににどうしたの?」
「ど・・・どうもしないですよ?神様から電話なんてかかってきて、『願いを叶えろ』なんて言われてないですよ?」
あれ?なんか言わなくていいことまで言ったような・・・
・・・・・!?
まさか神様のやつなにかしたんじゃぁ・・・
「ふ~~ん、神様から電話あったんですね?」
大丈夫、大丈夫、冷静になれ、私
「あ・・・・あ・・・・えっとですね・・・あぅ、そうです。神様から電話があったんです。それで願い事の件許可がでちゃったんです。」
ってまたぁ~~~~~
これ、絶対神様の仕業です!!
お・・・落ち着け・・・落ち着くんです。
「だ・・・だから彼女にならなってあげてもいいかなぁ~~なんて思いまして」
ほら、あなたが欲しがってた彼女ですよ、早くうなずきなさい、すぐに捨ててあげますから。
「つまり・・・あなたは私の物?」
「や・・・やだなぁ・・・『物』じゃなくて、彼女ですよ彼女、あなたも彼女になってほしいって言ったじゃないですか~~~」
「でも許可がでたのは『あなたが私の物になること』でしょ?」
ま・・・まずい、このままじゃほんとに『この人の物』にされちゃう!!
「そ・・・そんなことないですよ?彼女でも全然問題ないです、あなたも彼女ができる方がいいですよね?」
「いやいや、『私の物』になってくれるほうがいいです」
私が嫌なんです!それくらいわかりなさいよ!!
「そ・・・そんな、こんなかわいい彼女ができるんですよ?ね、彼女にしましょうよ」
「ん~~~~やっぱり『私の物』になってほしいです」
あ~~もう、わかんない人ですね・・・って身体が光り始めてる!?
なに?『この人の物』になるの決定?
いやいやいやいやいやいやいやいや
「あ・・・いや・・・契約が成立しちゃう・・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
あぅぅ・・・『この人の物』になってしまいました。
・・・・・そうだ、この人、殺りましょう!!
そうすれば私は自由の身です。
まずは夢の中からでてっと、鎌の準備よし、目標確認OK、では、さようなら。
よし、ちゃんと首が取れましたね。
これで私は自由の身です♪
さてっと、どっこに行こうかな~~
ゴンッ!!
痛い・・・なんでしょう?私は自由の身になったのにこの人から離れられない?
ん?この紙はなんでしょう?
「なになに、その人は希望を叶えた影響で不老不死です。だから死にません。あきらめなさい。 PS、首は元に戻しておくように。 神様」
・・・・・オワタ、私は一生『この人の物』になるのか・・・神様のバカやろ~~~う!!
ここまで読んでくれてありがとう。
誤字、脱字、おかしい所あったら書いてくれるとうれしいです。
次回は閑話です。
世界設定などの話になります。
え?そんなのいらない?・・・・・・・・・シクシク(泣)