二話 記憶
プロローグと一話がつながります。
私は暗い闇の中を漂っています。
闇の中といっても、特に怖いわけではなく、むしろ安らぎすら感じます。
どれくらい経ったでしょうか?
長いような、短いような・・・
けれど、そんな安らげる空間にも終わりが来たようです。
突然、私の目の前で光があふれました。
「すみませ~ん、あなたがリタさんですよね?」
そういって光の中から白い翼の生えた美少女が現れました。
「天使・・・」
私は頭を縦に振りながら思わずつぶやいてしまいます。
「いえ、どちらかというと死神に近いですね」
天使ではなく、死神ですか・・・なんとも、私らしいです。
私はついに死んでしまったのでしょうか?
いつ死んだのでしょうか?
校舎の中でしょうか?。
きっと、あの優しいおばちゃんは幻で、私は校舎の中で迷い、餓死してしまったのでしょう。
・・・・・あ、餓死といえばなにか懐かしい気がします。
「なんか落ち込んでるみたいだけど、あなたはまだ死んでないですよ?」
「え?死んでない?・・・でも死神・・・あぁ、これから死ぬんですか?」
「いえいえ、死なないですよ?今日はちょっとあなたが転生する前のことでお話があって来ました」
「?」
「とりあえずこのままでは話にならないので、転生前の記憶を戻しますね」
私をやわらかい光が包みます。
すると、前世?の記憶が蘇ってきました。
「・・・・・おぉ・・・おぉぉぉぉ・・・美少女、バンザーイ!!」
私は思わず大声で叫んでいました。
なぜって?
私が美少女だからですよ!!
今までは、自分の才能のなさに絶望していましたが、記憶が戻ってみれば『才能?なにそれ?おいしいの?』という状態です。
それよりも美少女ですよ美少女!!
それはもう、リアルなんて目じゃないくらいの二次元的な美少女です!!
赤い瞳に、白いけども病的ではないくらいの肌の色、胸は小さめで、黒い髪をポニーテールにしています。
背は少し低めの150cmくらい?まさに理想の美少女です!!
「あの~~話を進めていいですか?」
私が一人で騒いでいると、死神が話しかけてきました。
そういえば、この死神も美少女です。
黒い瞳に白い肌、小さい胸、髪の毛は金色でツインテールにしています。
背は私より少し低いくらいかな?
「はい、いいですよ。それと話が終わったら私の彼女になりませんか?」
「それでは話を進めさせてもらいます。それと、何言ってるんですか?あなたはもう女性ですよ?」
「性別なんて関係ないです、話をしている間に考えておいてくれますか?」
「今、答えます。お断りします。私にはそっちのけはありませんので。それでですね、転生させた時なんですけど、実はあなた死んでませんでした。私は転生させた後、すぐに気が付いたのですが間違えたのがばれると、私の成績にかかわりますので黙っていました。それが最近になってばれてしまい、神様に怒られたので、仕方なくこうしてあなたの前に来たというわけです。ちなみに、あなたに才能がないのも生きてるうちに転生させてしまった時の副作用です」
・・・・・つまり私に才能がなかったのは、この死神が間違えて転生させたからで、才能がないことに14年も苦しんでいたのは、この死神が自分の成績に響くからと、そのことを放置していたからということでしょうか?
・・・・・とりあえず一発殴っておきましょう。
まぁ、美少女に転生できたので、一発で許してあげましょう。
「あ、あ・・・なに怖い顔してるんですか?」
「うん、一発殴ろうかと思いましてね?」
「し・・・死神殴っちゃダメですよ?」
「大丈夫、美少女でも心が黒かったら意味ないですから」
「そういう、問題じゃないです。それになんかひどいこと言われてます」
「これは、あなたの責任でしょ?我慢しなさい」
「あ・・・そ・・・そう、責任!!責任はちゃんと取りますよ。だから拳を下ろしてください」
「・・・・・どうやって?」
「転生する時、質問したでしょ、その中にあったあなたの希望をできる限り反映させてあげます。神様にもそれくらいのことしてやれって言われましたから」
「ふむふむ・・・・・神様とやらはそれでいいとして、あなたは私に何をしてくれるのかな?」
・・・・・?
「希望の反映っていうのは、『神様』が責任を取って、してもいいって言ったのでしょ?」
「え・・・えと・・・じゃぁそれとは別に願いを一つ叶えてあげます」
「あなたにできるの?」
「も・・・もちろんです。あ、願いを増やせとか世界を滅ぼせとかはだめですよ?」
「でも、神様に許可がいるんじゃないの?」
「だ・・・大丈夫です、私がちゃんと責任を持ちますから」
「ふむ・・・ならあなた、『私の物』になりなさい」
「・・・・・・・・・・・・・は?」
「だから『私の物』になりなさいって言てるの」
「あ・・・・あはははは、何言ってるんですか?そんなのダメですよ」
「なんで?」
「私には仕事があるからです。私が仕事しないと死んだ人が転生できなくて大変なことになるんですよ」
「そうなの?代わりくらいいそうなものだけど?」
「いない、いないですよ、私ほど優秀な死神なんて・・・(ピリリリリ、ピリリリリ)・・・あ、電話です、少し待っててくださいね」
「誰ですか?この忙しいのに電話かけてくるバカは・・・・・あ、神様!!・・・・・いえ、なんでもないです・・・・・・・はい、その件はもう少しで終わりそうです・・・・・・・え?マジですか!?・・・・・あ、待ってください・・・・・(ツーツーツー)」
「・・・・・おまたせしました、えっとですね・・・願い事のことなんですけど、『あなたの物』になるのは無理でも彼女くらいにならなってあげてもいいかなぁ~~~なんて」
「急ににどうしたの?」
「ど・・・どうもしないですよ?神様から電話なんてかかってきて、『願いを叶えろ』なんて言われてないですよ?」
「ふ~~ん、神様から電話あったんですね?」
「あ・・・・あ・・・・えっとですね・・・あぅ・・・そうです。神様から電話があったんです。それで願い事の件、許可がでちゃったんです。」
「だ・・・だから彼女にならなってあげてもいいかなぁ~~なんて思いまして」
「つまり・・・あなたは私の物?」
「や・・・やだなぁ・・・『物』じゃなくて、彼女ですよ彼女、あなたも彼女になってほしいって言ったじゃないですか~~~」
「でも許可がでたのは『あなたが私の物になること』でしょ?」
「そ・・・そんなことないですよ?彼女でも全然問題ないですよ、あなたも彼女の方がいいですよね?」
「いやいや、『私の物』になってくれるほうがいいです」
「そ・・・そんなぁ、こんなかわいい彼女ができるんですよ?ね、彼女にしましょうよ」
「ん~~~~やっぱり『私の物』になってほしいです」
私がそう言うと死神の身体が光に包まれだす。
「あ・・・いや・・・契約が成立しちゃう・・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
こうして、私は記憶を取り戻した上、死神までゲットしちゃいました♪
ここまで読んでくれてありがとうございます。
誤字、脱字、感想などあったら書いてくれるとうれしいです。
次回は死神サイド
え?本編進めろって?死神の気持ちも気になるでしょ?ならない?すいません。