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巡る世界  作者: 時世
27/58

二十二話 デート

二十二話完成しました。


タイトルが変わったのは見逃してください。

「おじさん、その『アポー』100個ください」


「おいおい、譲ちゃんそんなに持てるのかい?」


「大丈夫です。私、魔法使いなので」


「そうかい、全部で銀貨30枚だ」


「はい、30枚ですね」


私はそう言って銀貨を30枚渡します。


「たくさん買ってくれたから5つほどおまけしといたよ」


おじさんはそういってリンゴに似た果物『アポー』を5つおまけしてくれました。


「ありがとうございます」


私はお礼を言って買った『アポー』を宙に浮かべながらお店を出ます。


そして、少しはなれたところで『アポー』を2つ残して亜空間にしまいます。


「はい、マキちゃんもどうぞ」


私は無詠唱魔法で『アポー』を食べやすいサイズに切ってマキちゃんに渡します。


「リタ、ありがとうです」


マキちゃんはそういって、私の手から直接『アポー』を食べます。


そう、私は今、ローラント王国の城下町でマキちゃんとデートしています。



昨日、王城を宰相から取り返したので、ティアを含める王族の人たちは、今大急ぎで事後処理をしています。



みんな忙しくしていたので、私とマキちゃんは邪魔にならないようにこうして外でデートをしています。


ちなみに、山賊から奪ったお金が山のようにあったので、色々大人買いしています。


「マキちゃん、どこか行きたいところあります?」


「そうですねぇ~~私はリタとなら何処でもいいですよ」


ふむ、マキちゃんもかわいいことを言いますね。


「なら次は、小物屋にでも行きましょう」


「はい♪」




「あ、このネックレスかわいい」


私は小さな十字架のネックレスを手に取ります。


「こちらのもいいですよ?」


マキちゃんは星型のネックレスを指して言います。


「それもかわいいですね。両方買っちゃいますか」


「はい♪」


私達は星と十字架のネックレスを買うことにしました。


「店員さ~ん、これください」


私は、このお店の店員さんを呼びます。


「はい、こちらでよろしいですか?」


そこで、私はあるものが目に止まって、私は店員さんに聞きます。


「あの、あそこで売ってる幸福の指輪ってなんですか?」


そこには、銀貨30枚と書かれた、およそ小物屋には相応しくない少し高めの指輪がありました。


「あれは、この店のとある言い伝えに由来したものです。聞きますか?」


「はい」


なにやら、面白そうなので私は話を聞くことにしました。




「それは、この店がまだ宝石店だったころの話です。ある少女がこの店を訪れて、高くてもいいので職人の魂がこもった指輪を二つくれませんか?っと言ったそうです。けれど、少女はどう見ても貴族には見えずお金も持っていそうではありませんでした。困った店員が『お譲ちゃん、お金はあるのかい?』そう尋ねると、少女は一つの石をだしました。しかし、店員にはその石がただの石ころに見えました。子供の悪ふざけと思った店員がその少女を店から追い出そうとしたときです。そこに店長が通りかかり、追い出すのを止めます。話を聞いた店長は何かわけがあるのだと思い店員に店にある指輪を持ってきさせます。しかし、少女はどれを見ても首を横に振るだけでした。困った店長はふと、昔自分が作った指輪のことを思い出します。『この指輪なら魂がこもっているかもしれない』そう言って、店長は昔作った指輪を見せます。その指輪はけして値打ちのあるものではありませんでしたが、店長まだ若いころ、宝石職人になる夢を追っていた時に作った魂のこもった指輪です。それをみた少女は顔を輝かせると、やっと首を縦に振りました。そして、店長は指輪と石を交換したのです。それから数年が経ちました。この国に戦争が起きます。多くの店や家が焼かれ、壊される中、この宝石店だけは壊されることがありませんでした。そして、ついにこの店は壊れることなく戦争が終わりました。そして、戦争が終わったある日、一組の男女がこの店を訪ねてきます。その男性の方がは少し歪んだ指輪をだし、女性の方が『この指輪を作った人に会いたい』といったそうです。店長はその女性があの時の少女だとすぐに分かりました。青年は『ありがとう、あなたのおかげで私達は夫婦になれました』そういってお礼を言いました。店長は『おめでとうございます』と答え、ところで、あの石は何だったのでしょうか?と聞きます。なぜなら、あの石のおかげでこの店は戦争でも壊れなかったと店長は信じていたからです。『あれは精霊の加護を加えた石です。私達は精霊王ですから』そう女性は答えます。店長が驚いていると、その一組の男女はゆっくりと消えていきました。それからです、この店では宝石細工職人になる夢を持った若者達の指輪を買取、『幸福の指輪』と言う形で売っています。そして、その指輪を買った人たちは必ず幸せになったそうです。それが、小物屋に変わった今でも続いているのです」




なるほど、面白い話ですね。


「店員さん、あの指輪10個ください」


私はそう言って金貨を3枚出します。


店員さんは少し驚いた顔をしていましたが、「かしこまりました」といってすぐに指輪を10個売ってくれました。


私はそれを受け取ると、中から1つは自分の薬指に、もう一つはマキちゃんの薬指にはめました。


「これで、私達も夫婦・・・・・家族になれますね」


そう言って私は微笑みます。


それを聞いたマキちゃんは顔が赤くしますが、とても幸せそうでした。


ちなみに、残りの指輪をどうするのかは秘密です。




次に私達は薬屋に入りました。


薬屋といっても、薬草の他に花なども売っています。


私はとりあえず、『薬草』と『毒消し草』を数種類、大人買いします。(毒消し草は毒に合わせて使わないと効果がありません)


「マキちゃんはどのハーブが好き?」


私はマキちゃんに尋ねます。


「そうですね・・・・・これなんかいいですね」


マキちゃんはラベンダーっぽい香りがするハーブを指して言います。


「あ、いい匂いですね」


「リタはどんなのが好きなの?」


マキちゃんも私に聞いてきます。


「私は・・・・・これ何かいいですね」


私は『ゆず』っぽい香りのするハーブを持ってマキちゃんに見せます。


「これもいいですね、さすがリタです」


私達はしばらく色々ハーブを見た後、これも大人買いします。


「ついでに部屋に飾る花も見ましょう。マキちゃんは何色の花がいい?」


「そうですね・・・・・黒がいいです」


・・・・・黒ですか・・・・・マキちゃん、花に黒を求めるのはどうかと思いますよ。


「ん~~~黒、黒、黒、・・・・・置いてないですね」


流石に黒い花は置いてないみたいです。


「むぅ・・・・・天界には沢山あったのに・・・・・」


マキちゃんがぶつぶついっています。


って、天界には黒い花あるんですか!?それも沢山!!


「と、とりあえず、黒い花はないみたいなのでこれなんてどうですか?」


私はピンク色をした、水仙のような花を見せます。


「あ、綺麗」


ぶつぶつ言っていたマキちゃんがピンクの花を見てそう言います。


やっぱり、こういう色も好きなんですね。


「これで黒ければもっと綺麗なのに・・・・・」


「店員さん、これください」


なにやらまだマキちゃんはまだ黒にこだわっていましたが、聞こえなかったことにして、私は花を買います。





一通り買い物を済ませた後、私達は公園に行きます。


公園と言っても、木が植わっている広場みたいな場所で、遊具などはありません。


「はい、マキちゃん」


私はマキちゃんに買っておいた果物ジュースを渡します。


「ありがとう」


私達は石でできたベンチに座ります。


「今日は楽しかったですか?」


「とても楽しかったです。指輪も貰いましたし」


そういって少し赤くなります。


「また来ましょうね」


「はい、また来ましょう」


そう言って私が顔を近づけると、マキちゃんも顔を近づけ、自然とキスします。


そして、私はマキちゃんを抱きしめます。


私も少し顔が赤くなっているかもしれませんが、夕日で分からないでしょう。


「このまま時間が止まってしまえばいいのに・・・・・」


「ふふ、リタならやろうと思えばほんとに止められますよ」


マキちゃんは、笑ってそういいます。


「もう、そこは『私もそう思うよ』とかいう場面じゃないの?」


「ごめんね、でも、時間なんて止まらなくてもリタとはずっと一緒に入れるよ」


その言葉で、私はさっきよりも顔が赤くなった気がしました。


あぁ、もう、マキちゃんかわいいなぁ!!


ギュッ


私はマキちゃんを強く抱きしめます。


すると、マキちゃんも私の背中に手を回します。


しばらく抱き合った後、どちらからともなくキスをします。


濃厚なキスではなく、付き合ったばかりの恋人がするような軽いキスです。


けれど、いまのこの場面では、それがとても相応しく思えます。


「そうですね、ずっと一緒にいましょうね」


「もちろんです」


私達は微笑みあいます。


「結婚の言葉じゃないですけど、楽しい時も、苦しい時も、泣いた時も、笑ったときも、これからの永久の時間、ず~~~~~っとリタと一緒にいます」


「マキちゃん、ありがとう。私も永遠にマキちゃんと一緒ですよ」


私達はそういって、暗くなるまで身を寄せ合っていました。














私達がお城に帰ると、怒ったティアがいて、「リタさんとマキさんも事後処理手伝ってください!!」といわれました。


「私達が見たら不味い資料とかあるんじゃないですか?」


私はティアにそう尋ねます。


「問題ないです。どうせリタさんがいなければ消えていた国です。文句を言う人がいたら私がふっ飛ばします」


ティア、相当おつかれのようですね・・・・・笑顔なのに言ってることが怖いです。


その後、私はティアの事後処理を手伝わされました。


帰り際に「明日はリタの分用意しておきますね」っとティアに言われました。


はぁ、明日は忙しくなりそうです。





ここまで読んでくれてありがとう。


そうそう、リタが買った指輪ですが、この世界では婚約指輪を薬指にはめるという風習はありません。転生者のリタとマキちゃんだから判ることで、他の人にはわからないので、怪しまれることはありません。


誤字、脱字、感想など書いてくれるとうれしいです。


次回は、パレードです。

え?タイトルがまたころころ変わってるって?

すいませんすいません。

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