二十一話 お城奪還
二十一話完成しました。
「全員捕まった」
王様達を助け出した私は、味方になってくれる人がいないか聞いてみたのですが、返ってきた答えはこれでした。
マキちゃんの報告で近衛兵は地下牢に放り込まれていることと、騎士団の三分の二が宰相についたことまでは分かっていましたが、王様の話によると、味方になってくれそうな貴族もあらかた捕まったそうです。
傭兵も王族側の勝ち目は薄いと見ているようで仲間になってくれそうにありませんし、国外に救助を求め用にも、乗っ取られるのが落ちだそうです。
せっかく助け出したのに状況が好転していません。
「いっそのこと城ごと宰相を葬り去りますか?」
なんだか面倒臭くなってきたのでそう提案してみます。
「いけません。城には宰相の兵以外に使用人達も捕まってるんですよ?」
っと王妃様に反対されました。
「なら宰相暗殺します?」
私とマキちゃんなら気付かれづに殺ることくらい出来ます。
「いや、余り意味はないだろう。宰相を殺しても他の有力貴族があとを継ぐだけだ」
王様に否定されます。
「なら、私が正面で暴れて出てきたやつ片っ端から殺っていくとか?」
これも、私なら勝つ自信ありますよ?
「そんなことしたら、被害が大きくなりすぎます」
今度はティアに却下されました。
「というか・・・・・リタさん、まじめに考えてください」
あ、ティアにふざけてるのばれましたね。
しかも、すごく怒ってるみたいです。
仕方ない、まじめに考えますか・・・・・。
まず、状況を整理しましょう。
敵は宰相率いる貴族の皆様。
貴族の私設軍隊が3000人ほどですが、熟練度は低い。
騎士団は10000人ほどいるのですが、ほとんど牛耳られています。
この町には傭兵が1000人ほどいますが、これは中立です。
ただし、こちらがのこのこ傭兵達の前に現れたら通報される恐れがあります。
味方は私、マキちゃん、ティア含める王族の皆様。
ちなみに、王様とお妃様と王子様×3は戦えないそうです。
役たたずめ・・・・・
あと、地下にいる近衛兵が100人、これは助け出して武器を渡せば戦力になる。
つまり、近衛兵入れても圧倒的な戦力差があるわけですか・・・・・
さて、どうしましょうかね。
~~~~~~~~~~~リタサイド~~~~~~~~~~~~
「エクスプロージョン」
私はお城に向けて中級魔法を放ちます。
ドォ~~ン
「て、敵襲~~~~~~」
すると、中から貴族の私設軍隊が出てきます。
「トルネード」
ゴォォォォォォォォ
とりあえず、最初に出てきた人たちは吹き飛ばします。
「ひ、怯むな、相手は一人だ、全員でかかれ~~~」
おおぅ、いっぱい出てきましたね。
私は『レッドキャンパス』を出します。
さてっと、無双しますか。
私はそのまま敵に突っ込むと、手当たり次第に切り殺します。
~~~~~~~~~~~~ティアサイド~~~~~~~~~~~~~
リタさんは始めたみたいですね。
私とマキさんは今、武器庫にいます。
見張りの兵士はマキさんが瞬殺しました。
気付かれずに近づいて大きな鎌でザシュですからね・・・・・さすがです。
「制圧終わったからさっさと近衛兵とやら助けてきなさい」
マキさんがいいます。
「は、はい」
リタさんがいないとマキさんの性格が変わっていて少し怖いです。
地下牢に向かうと見張りの兵士が2人いました。
他はリタさんが暴れているのでそちらに向かったのでしょうね。
「リーフスリープ」
私は眠りの魔法で見張りを眠らせます。
ガサゴソガサゴソ
ティアは牢屋の鍵を手に入れた。
「皆さん大丈夫ですか?」
私は捕まっている人たちに聞きます。
「ひ、姫様!!」
皆さん以外と元気いっぱいみたいですね。
私は手に入れた鍵で牢屋を一つずつ空けていきます。
「ありがとうございます」
近衛兵達がお礼を言って膝をつこうとします。
「御礼は後にしてください。今から武器庫に行くので着いて来て下さい」
私はそう言って持ってきた剣を5つ近くの近衛兵に渡します。
武器庫では、どこかから異常に気付いたいた兵が来ていましたが、武器庫に入ろうとしたところマキちゃんの鎌で首が飛んでいます。
近衛兵の人たちも不思議がっていましたが私がそのまま武器庫に入っていったのでそれに着いてきてくれます。
「マキさん、ありがとうございます」
「ふん、私は次の仕事があるからもう行きます」
そういって、マキさんは訓練場に向かいます。
私は、近衛兵の皆さんが装備を整えるのを待って食堂に向かいます。
食堂では王様達が隠し通路に隠れています。
~~~~~~~~~~マキサイド~~~~~~~~~~~
私はティアが戻って来たのを確認して、訓練場に向かいました。
訓練場ではニアって人が兵士の説得をしているはずなのですが・・・着いてみたら戦っていました。
きっと指揮官が貴族側なのでしょう。
ザシュザシュザシュ
とりあえず、ニアと戦っていた兵士と、指揮官っぽい人を殺っておきます。
「我はその王女に味方するもの、敵対するものは生きてこの城を出れると思うな!!」
私は少し演技してそう言います。
(我はリタの精霊だ、敵対するやつは我が始末してやるからさっさとこの兵士達を説得しろ)
ニアまでポカンとしていたので、念話でそう伝える。
ちなみに、こっちからは念話で話せるけど、ニアからこっちには念話で話すことは出来ません。
「感謝する」
ニアがお礼を言います。
そんなことよりさっさと説得してもらいたいものです。
~~~~~~~~~~ニアサイド~~~~~~~~~~~~~
騎士団とはよく訓練していたので、私の説得なら聞くだろうと思ってたが、甘かったようだ。
「皆、聞いてくれ、私は第二王女のニア=ティル=ローラントだ。宰相を倒すのに力を貸してもらいたい」
私がそういうと、数人の騎士達が同意しようとしました。
「だまれ、すでに王はリヒャルド様だ。戯言を言う小娘は我が刀の錆にしてくれるわ」
そういって、騎士の一人が切りかかってきます。
こちらに同意しようとしていた人たちも、宰相側の騎士に睨まれて黙ってしまいました。
この男一人くらいなら何とかなるが・・・・・まとめて掛かってこられたらどうしようもない。
くそ、ここは何とか逃げ道を探すしかないのか?
ザシュザシュザシュ
私が説得をあきらめかけていた時、私を攻撃していた騎士と、貴族側のそれも指揮官クラスの騎士の首がいきなり飛びます。
「我はその王女に味方するもの、敵対するものは生きてこの城を出れると思うな!!」
そして、何処からともなくそんな声が響きます。
私に味方?
いったい何者だ?
(我はリタの精霊だ、敵対するやつは我が始末してやるからさっさとこの兵士達を説得しろ)
・・・・・・・・・・・・!?
いきなり頭の中で声がして驚きました。
しかし、これは好機です。
リタ殿の精霊が力を貸してくれるのなら心強い。
「感謝する」
私は小声でそういいます。
「聞いてのとおり、我々には強力な味方がいる。宰相や貴族どもを恐れる必要はない。私に付いてくれば必ず勝利できよう!!」
私は大声でそう叫びます。
「だまれ、こむす・・・・・ザシュ・・・・・・」
それでも反抗しようとした騎士の首が飛びます。
「おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ、王女様バンサーーーーーーーイ」
すると、今まで貴族に押さえつけられていた騎士達が声を上げます。
「貴様ら、こんなことしてただで済むと思うなよ」
未だにそんなことを言っている騎士もいますが「うるせぇ、もうお前なんざ怖くねえんだよ」っと言う騎士達にぼこぼこにされています。
指揮官以外の騎士はほとんどこちらの味方だったようです。
「王女様、数々の無礼申し訳ありませんでした」
少数ですが、そういって私に頭を下げる指揮官もいます。
「よい、あの状況では部下のためにも逆らえなかったのは分かっている」
「あ、ありがとうございます」
私が許してやると、そう言って涙を流しました。
残るは城の上層部にいる宰相と貴族のみ!!
~~~~~~~~~~ふたたびリタサイド~~~~~~~~~~
「あれ?」
私がしばらく戦っていると出てくる兵士の数が減ってきたのでそのまま城の中に突入しました。
そして、気が付くと宰相や貴族たちが集まる部屋に到達していました。
・・・・・・・・・私ってばいつの間にこんなところまで来ちゃったんでしょ?
「あの~~~ザシュ、あなた達が、ザシュ、今回の事件、ザシュ、の首謀者、ザシュ、ですか?ギューーン ビシャ」
まったく、人が話しているのに邪魔な兵士ですね。
「ば、ばけもの・・・・・・」
宰相や貴族の方たちが顔を青くしてます。
それにしても、こんなにかわいい私に向かって、化け物って、失礼しちゃいますね。
「アースグランニードル」
グザグザグザグザグザ
私は後ろから向かってきた邪魔な兵士をまとめて串刺しにします。
「ひっ」
宰相たちが短い悲鳴を上げます。
「あの?私の話聞いてますか?あなた達が今回の事件の首謀者ですか?」
震えてるだけで答えませんねぇ。
「首謀者かどうか聞いてるんです。答えないなら殺しますよ?」
「エクスプロージョン」
ドカーーーン
私は笑顔で脅しをかけて、どうにかしてこちらに来ようとしていた兵士を土の針ごと爆破します。
それでも答えようとしなかったので『レッドキャンパス』に炎を纏わせて宰相の首に近づけます。
「ひっ・・・・わ、わるかった、頼むから殺さないでくれ」
宰相はそう言います。
「私は、首謀者かどうか聞いてるんですけど?」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」
私はそういって『レッドキャンパス』を宰相の頬にあてます。
「もう一度聞くよ、首謀者はあなたたちなの?」
「そ、そうだ、我々が首謀者だ、悪かったと思っている、だから助けてくれ」
貴族の一人がそう声を上げます。
宰相は頬に当てた熱で気絶したみたいです。
「他の人たちも認める?」
私がそういうと、他の貴族も首を縦に振ります。
「だっそうですよ、王様」
部屋の後ろには近衛兵を連れた王様とティア、騎士を連れたマキちゃんとニアがいました。
「リタさん、門の前で戦っていたのでは?」
「いやぁ、それが、門の前はほとんど殲滅しちゃったのでついでに中も少し掃除しとこうかと思ったらいつの間にか此処まできてたんですよね・・・・・テヘッ」
私は舌を出してみますが、みなさんは唖然とした顔をしている。
どっかで見たことのある光景ですね・・・・・。
「どうりで抵抗が少ないと思ったらリタ殿が殲滅した後だったとは・・・」
ニアがそうブツブツ言っています。
「とりあえず、この人たち捕まえたら?」
「・・・・・・ハッ、近衛兵、こやつらを拘束せよ」
私の声を聞いて正気に戻った王様が命令します。
「これで一件落着ですね」
そういって私はこの場を無理やり閉めて、部屋に戻ります。
「・・・・・・・・・リタさんだけでこの城制圧できたんじゃないでしょうか?」
「もちろん、できたでしょうね」
私がこの場を後にするとき、ティアとマキちゃんのそんな会話が聞こえました。
その夜
「あっ・・・・んっ・・・・ぁん・・・・・・」
「マキちゃん、かわいいよ」
「リタ、リタ、リタ~~~~~~~」
今回の作戦で一番働いてくれたマキちゃんには、部屋で沢山ご褒美を上げました。
もちろん部屋の前には立ち入り禁止の札と呪文がかけてあります。
ここまで読んでくれてありがとう。
今回は色々な人の視点で書いてみたけど・・・・・上手くいったかな?
誤字、脱字、感想など書いてくれるとうれしいです。
次回は・・・デートです。
え?タイトル変わっているって?
すいませんすいません。
あ、物投げないで~~~~~