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巡る世界  作者: 時世
24/58

十九話 ティアのお姉さま

十九話完成しました。


「ふぅ、何とかなりましたね」


私は部屋に戻るとホッとしました。


「リタ緊張してたの?」


マキちゃんが意外そうな顔で尋ねます。


「そうですよ、あれだけ大勢の前で嘘ついたんですから、内心『ばれたらどうしよう』ってドキドキしてたんですよ」


「そうだったんですか、リタのことだからみんなの反応みて面白がってるものだと思ってました」


マキちゃんがそう言って驚いています。


いったい私を何だと思ってるのでしょう?


確かに面白がっていなかったと言えば嘘になりますけど・・・これでも本当に緊張してたんですよ。




トントン


私達がそんな話をしていると、ノックの音がします。


また、レイチェルでしょうか?


「は~い、どうぞ~~~」


「リタさん、お疲れ様です」


そういって、ティアは部屋に入って来るなり、いきなり私に飛びつきました。


「わっ」


私は驚いてつい声が出てしまいます。


普段おとなしいティアがいきなり飛びついてくるなんて、いったいどうしたんでしょう?


「ティア、いきなり飛びついてくるなんてどうしたの?」


「あ、ごめんなさい。その・・・・・うれしくてつい・・・・」


ティアはそう言って顔を赤くします。


「うれしい?」


「はい、リタさん私のためにこの国に来てくれるんですよね?」


なるほど、そういうことですか。


「学園を卒業したら、ですけどね」


「はい♪」



っとそこで、なにやら不穏な空気を感じて後ろを振り向くと、マキちゃんが睨んでました。


これは・・・怒ってる・・・・・というより、すごく嫉妬してますね。


「もちろん、リタさんがこの国に来てくれるなら、マキさんも来てくれるんですよね?」


私がマキちゃんを見ていると、ティアが笑顔でそう言います。


「う、うん、もちろんですよ」


「ありがとうです」


ティアは今度はマキちゃんに飛びつきます。


ティアが飛びついてきたので、マキちゃんはどんな反応をしていいのか困っています。


「ふふふ」


私はつい笑ってしまいます。


「あ・・・ごめんなさいです」


私の笑い声でマキちゃんに飛びついたことに気付いたティアが、また顔を赤くします。




「それで、ティア、何か用事があったんじゃないの?」


一段落ついたところで私はティアに尋ねます。


「あ、そうでした、リタさん達にお城を案内するために来たんでした」


「なるほど、今から行くの?」


「はい、リタさんたちの準備が出来たらいつでもいけますよ」


「なら、すぐに行きましょ」


「はい♪」


私とマキちゃんはティアにお城を案内してもらうことになりました。






まず、ティアの部屋に案内されました。


広くて豪華ですが、あんまり私物のない部屋です。


ティアにそのことを聞くと、学園に行く時に片付けたそうです。


ちなみに、同じ階に王子様と王女様の部屋もありましたが、立ち入り禁止です。


入ったら捕まって牢屋行きだそうです。



次に図書室に案内されました。


ここは許可さえあれば出入り自由です。


後で来て片っ端から読むつもりです。



この後、食堂、広間、兵士の訓練場、と案内されて、今は庭にいます。


庭師の腕がいいのでしょう、とっても綺麗です。



「む、そこにいるのは『漆黒の魔術師』どのではないか?」


ティアと笑いながら歩いていると突然そう声をかけられました。


「あ、ニアお姉さま」


そういえば、食事の時にいましたね。


やっぱり、ティアのお姉さんのようです。


それにしても、『漆黒の魔術師』って呼ばないで欲しいです。


「ティアも一緒だったか、城の案内でもしてたのか?」


「はい、お姉さまは何をしていたのですか?」


「ん?私か?私は少し剣の稽古をしていたのだ。訓練場では何かと兵士達が気を使うのでな」


「そうだったんですか。あ、リタ、こちら私のお姉さんでニアっていうの」


「ふむ、改めて挨拶しよう、ティアの姉で第二王女のニア=ティル=ローラントだ。よろしく頼むぞ『漆黒の魔術師』どの」


「リタ=ロスト=ケミアです。それと、『漆黒の魔術師は』は恥ずかしいのでやめていただけませんか?」


「ははは、わかった、リタ殿と呼ぶことにしよう。」


「はい、よろしくお願いします、ニア・・・・・・さま?」


「ニアでいい、こちらこそよそしくたのむ」


ニアはそう言って笑います。


ティアもそうですけど、みんな気さくな人ですね。


「ところで、リタ殿、これから一手お手合わせ願えないだろうか?」


ティアのお姉さんはいきなりそういいました。


「ちょっと、お姉さま、いきなり何を言ってるんです?」


ティアが驚いてニアに詰め寄ります。


「何って、勝負を申し込んでいるのだよ」


「そういうことじゃないです。なんでいきなり、リタさんに勝負しかけてるんですか!!」


家族が相手だからでしょうかね?ティアが珍しく叫んでいます。


「うむ、なんでもリタ殿は『残虐の悪魔』を潰したそうではないか、私も腕には自信があるのでな、ぜひ勝負してみたいのだ」


ニアは『勝負するまで逃がさない』って顔で私を見ます。


「もし、断ったらどうなるんですか?」


たぶん無理だと思いながらも私はそう聞いてみます。


「もちろん、この城にいる間、何度も挑戦するさ」


・・・・・どうやら戦わないと付きまとうみたいですね。


「お姉さま、いい加減にしてください」


ティアが怒っていますが、ニアは何処吹く風です。


「はぁ、分かりました。一回だけですよ?」


仕方ないので私はそう答えます。


「リタさん・・・・・いいんですか?」


「ティアのお姉さんの頼みですからね」


「わがままな姉ですいません」


ティアはそういって謝りますが、どこかうれしそうです。


「では、早速訓練場に行くとしよう」


「負けても文句言わないでくださいね」


このまま素直に応じるのも癪なので少し挑発しておきます。


「ははは、もちろんだとも。だが、私も負ける気はないぞ」


全然動じていませんね・・・・・まぁいいです。









「兵士諸君、悪いが今から試合をするので少しどいてくれたまえ」


ニアは訓練場に着くと兵士をどかします。


「リタ殿、武器は好きなのを使うといい、私はこれを使わせてもらうがな」


ニアはそう言って、庭で使っていた剣を出す。


「なら、私はこれでいいですよ」


私はそう言って『レッドキャンパス』を亜空間から取り出す。


「む・・・リタ殿、今、その剣何処から出した?」


「秘密です」


さすがに、何処からともなく剣を出したのには驚いたようですね。


「審判は僕がやらせてもらいますよ」


声がしたほうを見ると、昨日の食事の時に見た王子様がいた。


どこから沸いたんでしょう?


「カイト兄様か、よろしくたのむ」


ニアが審判を任せます。


「よろしくお願いします」


私もとりあえず挨拶しておきます。







「両者、準備はいいですか?」


「「はい」」


「では、始め!!」


王子様がそう言って試合が始まります。



「はぁぁぁぁぁ」


ニアが叫びながら突きを放ってきます。


キンッ


私はそれを何とか剣で防ぎます。


なんか、すごく早かったんですけど・・・・・一瞬消えたみたいに見えました。


『無影剣』


ニアがそう言うと、見えない斬撃が無数に私に襲い掛かります。


ちょっ、手加減なしですか・・・。


そちらがその気なら、こちらも本気で行かせて貰います。


『幽凪』


私の身体が一瞬霞んで、斬撃が身体をすり抜けます。


実は、マキちゃんには魔法だけでなく、剣術や武術も教えてもらっていたりします。



・・・・・・・・!!



剣がすり抜けたのに驚いて、ニアが一旦後退します。


「今度はこちらから行きますよ、『闇歩』」


『闇歩』とは、名前のとおり闇を歩き、光の反射を避けながら歩きます。


ニアには私が消えたり現れたりしながら近づくように見えてるでしょう。


「むっ!!はぁっ」


ニアが後ろに剣を振るいます。


キンッ


流石ですね、ニアの前で姿を消した後、後ろに回りこんで攻撃したのですが、見事に防がれてしまいました。


けど、これならどうですか?


『揺剣』


私の二撃目はニアの腕を浅く切ります。


『揺剣』は剣先が揺れて剣の間合いを読み違えらせる技です。


「くっ!!」


『突牙』


ニアは痛みに顔を少し顰めましたが、すぐに鋭い突きを放ちます。


甘いですね。


しかし、私はすでにそこにはいません。


まだまだ行きますよ。


『夢想』


今度は私の分身がいくつも出来ます。


『波撃』


ニアは分身に数体向かって魔力で出来た斬撃を飛ばしますがすり抜けてしまいます。


どうやらニアは焦りだしたようですね、無茶な攻撃をしてきます。


『爆影』


ニアの前に真っ黒な私が現れます。


これは冷静に対応しないと大変なことになりますよ?


『双牙』


明らかに怪しい攻撃ですが、焦っているニアは気にせず真っ黒な私を攻撃します。


二つ同時の突きが真っ黒な私を貫きます。



ドドーン



その瞬間、真っ黒な私は爆発を起こします。


「がっ」


まともに爆発を受けたニアは、倒れて気絶してしまいます。


「それまで、勝者リタ!!」


王子様が私の勝利を宣言します。




少し、やりすぎたかな?


ニアはそこらじゅう怪我をしています。


「ヒール」


私は魔法でニアの怪我を治してあげます。


「うっ・・・・いたた・・・・」


するとニアが気付きました。


「いやぁ、負けました。リタ殿は強いですね」


目を覚ましたニアは冷静さを取り戻しているようです。


「あはは、面と向かって言われると照れてしまいます」


私は『強い』なんて言われ慣れてないので顔が赤くなってしまいます。


「それにしても、リタ殿の剣術は何処のものですか?見たこともない技で手も足も出ませんでした」


「秘密です♪」


私はそう言って誤魔化します。


いくらなんでも『死神の剣術です』なんて言えないですしね。


「リタ殿は秘密が多いですなぁ~」


「ごめんなさいね」


秘密が多いのは本当なので素直に謝る。


「いや、いいですよ。けれど、また今度戦ってはもらえませんか?その時までに私も強くなっておきますゆえ」


「はい、いいですよ」


「うむ、では私はこれで失礼しよう。時間を取らせてすまなかったな」


「いえいえ、それではまたです」


そう言ってニアはその場を去っていきました。


ふぅ、嵐のような人でしたね。


「リタさん、怪我はありませんか?」


ニアが去っていくと、ティアが来て心配そうに聞きます。


「大丈夫ですよ」


「まったく、お姉さまはいつも強そうな人を見ては勝負を挑むんですから・・・」


私はそう答えると、ティアはホッとしてそんな愚痴をいいました。


愚痴を言ってるティアなんて始めてみたので私は目を丸くします。


「・・・・・・ハッ・・・・・・わ・・・・・忘れてください~~~」


しばらくブツブツ言っていたティアですが、私が目を丸くしているのに気付くと顔を真っ赤にしました。











その後、私達は、お城の案内の続きをしてもらい、一通り見終わると、今度はティアの部屋で夜までお話をしてそのまま寝てしまいました。(夕食などはちゃんと王様達と食べましたよ)











そうそう、試合の後片付けなどは王子様がしてくれたようです。



ここまで読んでくれてありがとうございます。


今回は剣での戦いでした。

上手くかけてるかな?


誤字、脱字、感想など書いてくれるとうれしいです。


次回は、『パレード』になる予定です。

楽しみにしていてください。


え?なんのパレードだ?って?

それは読んでのお楽しみです。

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