十八話 謁見
十八話 完成しました。
「リタ様、リタ様、起きてください」
私が目を覚ますと、レイチェルがそう言って私を起こしていた。
「ん、おはようですレイリェル」
「おはようではございません、すでにお昼ですよ」
・・・・・・・はい?
お昼?私なんでそんなに寝てるの?
え~~~っと昨日は・・・・・あ、マキちゃんと朝方まで『いちゃいちゃ』してたんでした。
それでこんな時間まで寝てたんですね。
全部このフカフカで広くて豪華なベットがいけないんです。
あれ?でも普通朝起こしに来ますよね?
「もしかして、私、朝起こされても起きませんでした?」
「いえ、朝は起こしにきていません」
・・・・・・・・・・?
「今、お城は大騒ぎになっていまして、今までリタ様がいないことに気付かなかったのです」
「大騒ぎって、何かあったの?」
「不治の病と思われていた、ティアノート様の病気が治りました」
「それは昨日、私から話したけど、何か関係があるの?」
「はい、あの後、国中の医師や魔術師が集められ、ティアノート様の診察に当たったのですが、何処にも異常は見つかりませんでした。ただ、魔力がすごく多くなっておられて、その原因がつかめなかったためずっと検査していたのです」
そういえば、ティアは私と『契約』したことで魔力とか身体能力とか前と比べ物にならないくらい上がってましたね。
「それでも、結局は原因がわからず、それならティアノート様の病気を治された方に話を聞こうということになりまして、それでリタ様がいないことに気付き、この部屋まで来たのです。まさか、まだ寝ているとは思いませんでしたが」
なるほど、なんとなく状況はわかりました。
つまり、私は今から医師や魔術師にティアをどうやって治したのか話さないといけないと言う事ですね。
(マキちゃんどうしましょ?『契約』したなんて言えませんし、何かいい方法あります?)
・・・・・・・・・・・?
(マキちゃん?)
あ、マキちゃんまだ寝てます。
とりあえず・・・レイチェルがここにいたらマキちゃん起こせませんね。
「レイチェル、お腹空いてるのでご飯の用意してきてくれません?」
「いえ、皆さんお待ちなのですぐ来て頂きたいのですが・・・」
「ご飯が先、じゃないと何も話しません」
「しかし・・・」
「しかしじゃないです。ご飯用意して、お願い」
「・・・・・・・はぁ、分かりました。ご飯食べたらちゃんと話してくれるんですね」
「うん、よろしくね」
初めは渋っていたレイチェルですが、私が頑なに「ご飯が食べたい」と言ったら折れてくれました。
なんか、私が食いしん坊みたいに思われたかもしれませんが・・・・・まぁ、いいです。
さて、レイチェルもいなくなりましたし、マキちゃんを起こしますかね。
「マキちゃん、マキちゃん、起きてください」
私はマキちゃんを揺すって起こしますが、なかなか起きてくれません。
仕方ないですね、ここはアレで起こしましょうか。
私は、マキちゃんの顔をこちらに向けます。
ちゅぅぅぅぅぅぅぅ
そして、思いっきりディープなキスをします。
「んっ・・・ん~~~~~~~~~~」
そうすると、マキちゃんは少しトロンとした顔をして、目を覚まします。
「マキちゃん、おはようです」
「ん、リタおはよう」
マキちゃんはそう言いながら目を擦ります。
「早速ですけど、相談したいことがあります」
「・・・・・?なんですか?」
私は、先ほどのレイチェルから聞いたことをマキちゃんに話します。
「っということで、何かいい方法ありませんか?」
「そうですね・・・・・『特殊な精霊に力を貸してもらった』と言うのはどうでしょう?」
「特殊な精霊?」
「そうです、リタはその精霊と『契約』していることにして、治し方はその精霊との約束で話せないことにします。魔力の増加は治療の際の副作用としいて、精霊についても言えないことにしましょう。ほんとにいるか聞かれたら私が適当にそれっぽいことをします」
「ふむふむ、いいですね。それでいきましょう」
トントン
私達の話が終わるとちょうどノックの音がして、レイチェルが戻ってきました。
私は、すぐに着替えて、食事をすると、謁見の間に案内されました。
ジロリ
私が謁見の間に入ると、皆さんに睨まれます。
まぁ、ご飯食べたいなんて理由でみんなを待たせたから仕方ないんでしょうけど・・・・・何か昨日より人増えてません?
「リタ殿、良くこられた。まずは、娘を助けてくれたこと感謝しよう。良くやってくれた、ありがとう」
そう言って、王様が頭を下げます。
すると、周りがざわめきます。
まぁ、王様が私みたいなのに頭を下げたんですから当然かもしれませんけどね。
「いえ、私はただティアを助けたかっただけですから」
私がそう言って微笑むと、ほとんどの人が表情を和らげますが、一部の人は私を睨みます。
なんか、王宮のドロドロしたのが見えて嫌ですね。
「それでは、早速だがどうやって治したか教えてはくれまいか?」
「はい、っと言いたいところなのですが、それはちょっと出来ません」
その言葉に、また、みんなの視線がきつくなります。
「実は、私はある特殊な精霊と『契約』していまして、その精霊との約束で話すことが出来ないのです」
「なに?特殊な精霊とな?」
「はい、治ったことを見ていただければ分かりますが、これはあまりにも大変な技術で、精霊が言うには、人に広がると色々な弊害が起こるかもしれないとのことです」
「なるほどの・・・・・確かにこれほどの技術が広がれば悪用しようと考えるものがおるかも知れん」
「そういうわけで、話せなくてすいません」
私は、すまなそうにする。(演技だけどね)
「いや、よい。すると、娘の魔力が上がっているのもその精霊が何かしたのか?」
「はい・・・・いえ、したといえばそうなのですが、それは治療の際の副作用です。もちろん副作用と言っても特に害はありませんのでご安心ください」
「なるほどの、いや、とにかく娘が元気になったのだ詳しいことまでは聞かぬことにしよう」
「ありがとうございます」
ふぅ、これで一段落かな?
「王様、おまちください!!」
ん?なんか宰相がいきなり叫びだしましたね。
「宰相よ、どうしたのだ?」
「はい、王様。先ほどこの小娘が『特殊な精霊』がいるようなことを言いましたが、そのようなものの存在は確認されておりません」
ム・・・・・いまこのおっさん私のこと小娘とかいいましたか?
「しかし、現に娘は治っているのだぞ?」
「確かに、ティアノート様は治ったかもしれませんが、それでそんな『特殊な精霊』がいるという証拠にはなりません。その小娘が技術を独り占めするための嘘かもしれないではないですか。それに、このほどの技術があれば、我が国はもっと豊かになれますぞ」
「しかしだな、宰相よ・・・・・」
「王様、しかしではありません、もしこの技術が他国に知れているとしたら、大変なことになりますぞ、しかも、その小娘はリーン王国の出身、あの大国が動き出したら我が国もただではすみますまい。もし本当にそのような精霊がいるのなら見せてもらおうではありませんか。それほど強力な力を持つ精霊ならば姿を現すこともできるはずです!!」
宰相がなにやらさわいでます。
うざいですね。
(マキちゃん、このおっさん黙らせれます?)
(もちらんです、少し驚かせて上げましょう)
「愚かな人間よ、我のことが信じられぬともうすのか?」
マキちゃんが低い声で言います。
何処からともなく聞こえてきた声に宰相は驚きます。
宮廷魔術師達も、本来なら見れずとも感じることくらいは出来るはずの精霊の気配を感じることが出来ず、困惑しています。
「我は、そこらの精霊とは違う、探そうとも我を感じられるのは我が認めたもののみだ」
宮廷魔術師たちがマキちゃんを探ろうとしていたのに気付いたマキちゃんが言います。
そして、マキちゃんは宰相の服を切り刻みます。
「今回はそれで勘弁してやろう、しかし、次に主を疑うならばその首跳ねてやろう」
マキちゃんはそういって、裸の宰相が震えてるのを確認すると、私のところに戻って来てクスクス笑いました。
「宰相さん、すいません、私も『契約』していると入ってもそれほど『高位な契約』ではないので、この精霊の行動までは制限できないんです。ですから、あまりこの精霊を怒らせるようなことは言わないでください」
私はそう言っておきますが、心の中では大爆笑しています。
ふと、王様のそばにいるティアを見ると、ティアも肩を震わせて、笑うのを堪えていました。
「わ、わるかった、宰相のことは私からも謝ろう」
王様がそう言って宰相をかばいます。
「大丈夫ですよ、精霊も今回だけは許すと言ってますから」
王様が謝まったので、私は慌ててそういいます。
「うむ、わかった」
私の言葉を聴いて王様はホッとしたようです。
「さて、色々あったが、そなたが娘を助けてくれたことには違いない、何か褒美を取らせようと思うのだが、何か望むものはあるか?」
王様がそう言って私に聞きます。
欲しいものですか・・・今のところ特にありませんね。
お金も盗賊から奪ったのが大量にありますし・・・・・あ、そうです。
「王様、それではお言葉に甘えて、一つお願いしてよろしいですか?」
「うむ、何なりと申してみよ」
「実は、私は学園を卒業したら家を出ようと思っているのですが、もしよろしければ、この国に家を一つ用意してくれませんか?」
「ほう、家とな、それくらいは良いが、そなたはリーン王国の出であろう?なぜ我が国のような小国に住みたいのだ?」
王様が不思議そうな顔をします。
「この国にいれば、いつでもティアに会えるじゃないですか、リーン王国からでは早くても馬車で3日は掛かりますから、なかなか会えなくなってしまうんです」
私がそういうと、ティアが驚いた顔をしています。
「ほう、そなたは娘のためにこの国に住みたいと申すのだな?」
「はい♪」
「よくわかった、この国に住むことを認めよう。これからも娘のことは頼むぞ」
「もちろんです」
「うむ、ではこれで今回の謁見を終了する」
王様がそういったので、今回の謁見は・・・というかティアについての説明は終わりました。
(リタ、私この国に住むなんて始めて聞いたんですけど・・・・・)
マキちゃんが少し不満そうに言います。
(私も、さっき決めたところですよ。家は出ようと思っていましたが・・・というか私を捨てた家なんて帰る気は最初からありませんでしたけどね)
(それに、ティアのためにこの国に住むって言うし・・・)
あ、もしかしてマキちゃん焼いてます?
(大丈夫ですよ、もしティアとそういう関係になってもその時はマキちゃんも一緒ですから)
(それならいい・・・・・え?そういう関係って、浮気宣言!?)
(違いますよ、浮気じゃないです、マキちゃんも一緒にって言ったでしょ)
(どう違うんですか!!)
(浮気は私が一人でティアとそういう関係になることでしょ、私が言ってるのは、三人で仲良く恋人になろうって言ってるんです)
(リタ・・・・・そんなことできると思ってるのですか?)
(マキちゃんはティアのこと嫌い?)
(そんなことはないですけど・・・・・)
(なら大丈夫ですよ)
(それとこれとは違う気がしますけど?)
(いいじゃないですか、それに、もしティアとそういう関係になるとしたらですよ)
(まぁ、確かに『もし』の話なんてしてもしょうがないですけど・・・)
(そういうことです)
(はぁ、何か誤魔化されたきがします)
(気にしない気にしない)
私達が念話でこんなことを話していたとき、知らないところである計画の準備が着々と進んでいたのでした。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
本当はもう少し先まで書く予定だったんですが、思いのほか長くなってしまったのでここまでにしました。
しかも、話をしてるだけで終わってしまった気がしますが気にしないでください。
誤字、脱字、感想など書いてくれるとうれしいです。
次回はこの続きです。
楽しみに待っていてくださいね。
え?ちゃんと続きが何か言えって?
すいませんすいません、でもいいません。あ、物を投げないでください。