一話 これまでの私、これからの私
サブタイトル変えました。
記憶まで持っていけなかったです。
今日は、私の14歳の誕生日を迎えました。
けれど、私の心はいつになく暗いのでした。
私、リタ=ロスト=クロスロードは、名門貴族のクロスロード公爵家に生まれながらも、なんの才能にも恵まれていません。
魔法では、歴代の記録を塗り替え各属性値でオール1を叩き出し、剣術では今年7歳になった妹に負け始めました。弓術では、矢がまっすぐ飛ばず、10メートル先の的ですらカスリもしません。馬術では、そもそも10回に1回くらいしか馬に乗れないうえ、走らせれば必ず落ちるというありさまです。それでも戦術学ができればまだ救いはあったのですが、呼ばれてきた家庭教師全員にさじを投げられました。
そして、今日ついに私は父に呼び出されて・・・
「お前も今日で14だ。知ってのとおり12になればこの国では結婚することができる。しかし、お前はあまりにも出来が悪すぎる。このままでは結婚させることすらできない。わかってるか?政略結婚させようにも、お前では我がクロスロード家に泥を塗りかねないのでさせられないといっているのだ!!」
「そこでだ、お前には王立リーン学園に通ってもらうことにした。知ってのとおり、この学園は優秀な生徒を多く輩出している。よって、国中の下級貴族から名門貴族まで、多くの人が集まってくる。しかし、才能のないものは進級することすらできず、卒業するころにはほんの一握りの生徒だけになっている。お前はみごとこの学園を卒業してみせろ、それまでクロスロードを名乗ることは許さん。もしできないようなら二度と私にその顔をみせるな」
言い終わると、父は私を無理やり学園行きの馬車に乗せたのでした。
私がそんな難しそうな学園を卒業する?
できるわけがありません。
そもそも、進級すら絶望的です。
もしかして、私は捨てられたのでしょうか?
暗い顔でしばらくの間うつむいていたのですが、馬車が揺れた際に一つの手帳に様なものが足元に落ちてきました。
拾い上げてみると、それはどうやら学生証のようでした。
中を開けてみると、そこには『リタ=ロスト=ケミア』と書かれてありました。
私はその日、ずっと馬車の中で泣いていました。
馬車に乗ってから五日、そろそろ夕方になるというころ、私は王立リーン学園につきました。
この五日間はほんとうに最悪でした。
町にも寄らず野宿の連続で(一応馬車の中で寝させてもらいましたが毛布一枚で固い床に寝ました)なんでこんなに急いでるか聞いたら、「できるだけ早く私を学園まで連れて行け」との依頼でした。
食事も一日二食で、それもこれまで食べたことがないような、まずいものばかりでした。
正直、学園について少しほっとしています。
馬車は私を降ろすと、さっさとどこか行ってしまいました。
仕方ないので、私はとりあえず学園の中に入ってみることにしました。
学園の門の前には、怖い顔をした門番がいて、私が学生証を見せると無言で門を開けました。
私が門を通り抜けると『ガチャン』という音がして門は閉められました。
この学園はすごく広いです。
門から、正面の建物(校舎?)まで20分ほどもかかりました。
建物(校舎?)に入ってもまったく人に出会いません
10分ほど人がいる場所を探したのですが見つからなかったので、門の所まで戻ることにしました・・・・・したのですが、いくらたっても外に出れません。
そういえば、私は極度の方向音痴でした。
それから三時間、私は見事に迷子になりました。
窓から外を覗くと、外はもう真っ暗になっています。
遠くには他の建物の(校舎?)の明かりがいくつか見えます。
今日は、ここで寝ることになるのでしょうか?
お腹も空きました。
まさか、学園に来てまでこんな目にあうなんて思いもしなかったです。
「お譲ちゃんこんなところでなにをやってるんだい?」
私が、当てどもなく歩き続けていると、(彷徨っている?)後ろから声をかけられました。
振り返ると、そこには40代くらいの、人のよさそうなおばちゃんが立っていました。
廊下で寝る覚悟を決め始めていた。(教室?には鍵が掛かっていました)
私はその声が天使のように聞こえました。
私が学生証を見せて迷子になっていたことを話すと、おばちゃんはガハハと豪快に笑いながら「おぉ、今年一番目の迷子かい!!」と豪快に笑いました。
私はおばちゃんに学生課へ連れて行ってもらい、入学手続きを済ませました。
手続きの間、おばちゃんは待っていてくれて、ついでだからと学生寮にも案内してくれました。
案内されていると、人が全然いないことに気が付きました。
なので、おばちゃんに、「そういえば、人が全然いないけど、どうしたんですか?」と聞くと「そりゃぁ入学式までまだ一週間あるからねぇ、この時期にいるのは気の早い新入生か、実家に帰らなかった学生くらいだよ」とい言われました。
このおばちゃんは、そんな人のために学園に残っている人の一人で、校舎の夜回りをしていたところ、私を見つけたそうです。
寮に着くと、おばちゃんは入寮の手続きまで手伝ってくれたました。
そして、「普段は食堂にいるので、今度食べにおいで」といって去っていきました。
私の部屋は3階の301号室になりました。(寮は8階建てでした)
私は部屋に着くと、すぐにベットに倒れこみ、そのまま寝てしまいました。
人にこんなに優しくされたのは何年振り・・・・・初めてのことでしょう。
ここまで読んでくれてありがとう。
誤字、脱字、おかしい所あったら報告してくれるとうれしいです。
次回は『記憶』、プロローグの男のことがわかります。
え?タイトルでバレバレだって?その辺はスルーでお願いします。