十一話 園外学習の罠(後編)
今回はティアが・・・・・
朝の涼しい風が、髪をなぜます。
ゆっくり目を開けると、マキちゃんが私を見下ろしていました。
どうやら私は、マキちゃんに膝枕されているようです。
朝日に照らされて、マキちゃんの金色の髪がキラキラ光っています。
あぁ、マキちゃんはなんて綺麗なんでしょう。
「リタ、おはよう、ちゅっ」
今日のキスは、いつもより、少し甘い気がします。
「マキちゃん、おはよう、ちゅっ」
少し名残惜しいですが、私はマキちゃんの膝枕から起きて、朝の挨拶とキスをします。
・・・・・・・・・?
そこで、私はどこかから視線を感じました。
視線を感じた方を見ると、ティアが目を丸くして私達を見ていました。
そういえば、昨日の夜に、私、アリス、ティアの順番で火の番をすることに決めたのでした。
つまり、早朝の火の番はティアです。
視線が合うと、ティアは真っ赤になって、慌てて目を逸らします。
「ティア、おはよう。見てましたか?」
「リ、リタ・・・・お、おはようございます。え・・・えと・・・・・・ごめんなさい」
私が聞くと、ティアは目を合わせずに答えます。
「ティア、おはようです。どうしたんですか?目が泳いでますよ?」
「マ、マキさん、おはようございます。そ・・・そんなことないですよ」
私に続いて、マキちゃんが追撃します。
反応が面白かったので、私はマキちゃんを手招きで呼ぶと、
ちゅぅぅぅぅぅぅ
っと思いっきりディープなキスを、ティアの目の前でしました。
それを見たティアは、さっきよりも、もっと顔を赤くしましたが、興味はあるのか、私達を『じーーーーー』っと見つめていました。
「ティアもします?」
「い、いえ、いいです、どうぞ続けてください」
私が冗談めかして言うと、ティアは動揺しているのか、そんなことを言いました。
ふむ・・・・・ティアの許可も出たことですし、もう少し『いちゃいちゃ』してますか。
その後、私とマキちゃんは、ティアの目の前で、アリスが起きるまで『いちゃいちゃ』していました。
アリスが起きたので、私達は保存食を取り出して食べ始めました。
「恋人って言うの、冗談じゃなかったんですね」
「信じましたか?」
「あんなの見せられれば当然ですよ」
・・・・・・・?
「何の話?」
「い、いえ、なんでもないですよ、気にしないでください」
・・・・・・・・??
アリスは、顔に疑問を浮かべてましたが、私達は楽しいひと時を過ごしました。
私達が保存食を食べ終わると、オヤジがテントからちょうど出てきて、「そろそろ出発するぞ、遅いやつは置いてくからな」といって、テントを片付けると、みんなの準備が出来るのを待たずに出発しました。
それから5時間、私達は山の中腹にある目的地に着きました。
「それじゃぁ、お前ら、これと同じものを一人30枚集めて来い」
オヤジはそう言って一枚の薬草を見せると、その場に布を引いて、お昼を食べ始めました。
仕方ないので、みんな薬草を探しに散らばります。
「そうそう、この辺には魔物もいるから、食べるものがないやつは、それ捕まえて食っとけよ」
私達が薬草を探しに行こうとすると、そんな声が聞こえました。
まったく、このオヤジは・・・・すでに、もう何人か探しに向かちゃってますよ。
私達は、1時間ほどで3人分の薬草と、『角ウサギ』となぜか一匹でウロウロしていた『森ウルフ』を捕まえて、オヤジの所に戻りました。
「リタ=ロスト=ケミア、ティアノート=フィル=ローラント、アリス=ピュア=リューン、3人とも合格だ」
「「「合格?」」」
「そうだ、これも授業の一環だからな、集められなかったやつは単位なしだ」
・・・・・・・・・・・
そういう大事なことは、ちゃんと言って置いてくださいよ。
「ほら、お前らはもう終わったんだからさっさと向こうへ行け」
そう言って、オヤジは手で、シッシッとしました。
まぁ、とりあえず、私達は単位もらえるようなので、その場を後にしました。
報告も済んだので、私達は昼食の準備を始めます。
まずは、昨日のように火を起こして、次は捕まえてきた魔物を解体して捌きます。
ティアは顔を青くしていましたので、私とアリスで捌きました。
なんでそんなことできるのかって?
入学の時、30冊も買わされた教科書の中に『魔物の料理法』っていう本があったので、一応読んでおいたんですよ。
しばらくして、準備も出来たので、私達は少し遅い昼食をはじめます。
私達が焼いている、魔物の肉の匂いにつられたのか、そこらじゅうから、お腹がなる音が聞こえます。
まぁ、それは気にしないで、おきましょう。
「あ、あの・・・」
「ん?」
私達が昼食を食べていると、昨日とは違う、女の子が数人、話しかけてきました。
「私達にも、少し分けてくれませんか?昨日のお昼から何も食べてなくて・・・」
そういって、その子たちのリーダーっぽい人がお願いしてきました。
「いいですよ」
私は、そう言って捌き終わっている魔物の肉をいくつか分けてあげます。
「あ、ありがとうございます」
女の子達はそういって、頭を下げると、喜んで戻っていきました。
その女の子達が戻っていくと、それを見ていた、いくつかのパーティの人たちが『私達にも分けてくれませんか』と、お願いに来たので、分けてあげました。
中には、『魔物は捕まえられたけど、捌けないので教えて欲しい』というパーティもいて、アリスが手伝いに行っていました。
ちなみに、男子や昨日私達に絡んできた子達もいましたが、謝ってくれたので、ちゃんと分けてあげました。
昼食が終わるころには、ティアもアリスもマキちゃんも私もみんな笑顔になっていました。
さて、今日も一日が終わり、夜がやってきました。
今日の火の番は、アリス、ティア、私の順番です。
私は、リュック(亜空間)から毛布を出して、アリスに渡します。
アリスに毛布を渡すと、私達は3人固まって寝ました。
寝る前に、私とマキちゃんが、こっそり『おやすみ』のキスしている所をティアは見つけて、顔を赤くしていました。
早朝、ティアと火の番を変わった、私とマキちゃんが、『いちゃいちゃ』しながら念話で話していると
ドーーーーーーーン!!
という音がしました。
その音でティアとアリスも目を覚ましたようです。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ」
今度は、音がした方から悲鳴が上がります。
私達は、自分の持ってきた武器を手に取ると、悲鳴のした方に向かいます。
悲鳴がした場所に着くと、そこには体長5メートル、高さ2メートルほどもある、巨大な魔物がいました。
近くを走っていたクラスメイトに、「先生はどうしたの?」と聞くと、「それが、いないんです」という答えが返ってきました。
「・・・・・土喰いオオサンショウオ?」
アリスがポツリと漏らします。
私はそれを聞いて、学生証で魔物を検索します。
『土喰いオオサンショウオ
この魔物は、ランクCに登録されています。
名前のとおり、土を食べていきている魔物で、性格が比較的おとなしいのでランクCとなっていますが、その実力はランクBの魔物にも引けを取りません。
また、魔物にしては珍しい、『土』と『水』の二つの属性を持っていて、身体も柔かく、倒すのはとても難しいでしょう』
私が学生証に書かれているのを聞くと、ティアが「土喰いオオサンショウオ』に向かって走っていきました。
それを見て、私達も慌てて、ティアを追いかけます。
「あぁ、大気に渦巻く風の精霊達よ
すべてを包む緑の衣となりて
我が、ティアノート=フィル=ローラントの願いを聞き入れたまえ
シルフコンチェルト!!』
私達がティアに追いつくと、ティアはなにやら呪文を唱えていました。
(上級補助魔法!?)
マキちゃんが驚いて、私に念話で教えてくれます。
ティアが呪文を唱え終わると、クラス全員を風の衣が包みます。
風の衣に包まれると、みんな少し落ち着いたのか、パーティに分かれて『土喰いオオサンショウオ』と対峙します。
「「ファイアー」」 「「サンダー」」 「「アイス」」 「「ウィンド」」 「「アースロック」」
みんな、自分の得意な魔法を唱えると、『土喰いオオサンショウオ』に放ちます。
しかし、『土喰いオオサンショウオ』はすべての攻撃を弾いて、暴れまわります。
・・・・・・・・・ドサッ
私も、攻撃に加わろうとした時、ティアが倒れました。
「「「ティア!!」」」
私とアリスとマキちゃんの声が重なります。
私が抱き起こすと、ティアは青い顔をしていました。
「す・・・すいません・・・リタ、私・・・大魔法使うと・・・いつもこうなるんです」
そう言って、ティアはぎこちなく笑います。
(これは・・・リタ、リタ!!)
なにやらマキちゃんが慌てた様子で私を呼びます。
(マキちゃん、どうしたの?)
(ティアの寿命がもう少なくなっています!!)
(どういうこと!?)
(ティアは元々寿命が少なかったんだと思います。それが、今の魔法で残りの寿命が一気に少なくなってしまったんです)
(そんな・・・間違いないの?)
(はい、私の姿が見えていたのもそのためだと思います)
(どうにかならないの!!)
(とりあえず、今は落ち着けるところで、安静にした方が言いと思います)
(わ、わかりました)
ドーーーーン
その時、『土喰いオオサンショウオ』が大きな音を立てます。
まずは、あいつをどうにかしないと・・・・・
(マキちゃん、大魔法教えて、それならきっとあいつも倒せます)
(リタ、待ってください、あれは基礎属性耐性がかなり高いです。なので大魔法より光属性魔法のほうが効くはずです)
(なるほど、やってみます)
「大地を照らす光よ
一筋の束となりて
我が敵を貫かん
レーザーライン」
私がそう唱えると、収束した光が、一条の線になって『土喰いオオサンショウオ』を貫く。
ドドォォォン
私の魔法を受けた『土喰いオオサンショウオ』はその場に倒れる。
周りがしばらくシーーーンと静かになって、その後大歓声が響きました。
みんなの喜ぶ声が聞こえますが、私はそれどころではありません。
「ティア、ティア、終わりましたよ、だから安心してください」
私がそう伝えると、ティアは薄っすらと笑って眠りました。
ティアが眠ったのを確認した時、上級生を連れたオヤジがあらわれました。
「いやぁ、今年の一年はすごいな、まさかあれを倒してしまうとは・・・正直びっくりだ」
オヤジはそう言って笑っています。
・・・・・・・つまり、これは仕組まれたこと?
私はそのことに気付くと、オヤジを全力でぶん殴りました。
オヤジは吹っ飛んで木をなぎ倒すと、大量の血を流して気絶しましたが、そんなことは知ったことではありません。
私は優しくティアを背負い、強化魔法を最大で使って、学園まで走りました。
もちろん、ティアには負担が掛からないよう、マキちゃんに支援魔法をありったけ掛けてもらいます。
着くまでに、1日半掛かった道のりを、私は1時間足らずで走り抜けました。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
誤解してる人がいるかもしれませんが、ティアは死んでないので安心してください。
誤字、脱字、感想などあったら、書いてくれるとうれしいです。
次回は『契約』です。
楽しみにしていてください。
え?いいから早く続き書けって?
すいませんすいません