八話(裏) ルームメイト(ティアサイド)
ティアサイドです。
今日、私は王立リーン学園にやってきました。
入学式からはすでに10日ほど経っています。
遅れた理由については、また今度、話すことにします。
私がこの学園に通うことを決めたのは、今から一月ほど前のことでした。
その日、私はある人から重大なことを聞かされました。
その話を聞いた私は、それならばと、お父様とお母様に、この学園に通いたいと言いました。
初めは、許してくれなかったお父様たちですが、私が『重大なこと』を知っていることを話すと、それならばと、渋々ですが了承してくれました。
私の家からこの学園までは、約10日ほどかかります。
ですが、お父様達が気を利かせてくれたのか、馬車での生活も特に不自由はしませんでした。
学園に着くと、ここまで一緒についてきてくれた、家の使用人が学生課まで案内してくれます。
門からは、少し遠いということなので、風の補助魔法を使って移動します。
学生課での手続きも、使用人が全部してくれました。
学生課で手続きが済むと、今度は寮に向かいます。
もちろん、このときも風の補助を使って移動します。
寮に着くと、管理人室に行って入寮の手続きをします。
入寮の手続きも使用人がしてくれました。
「それでは、私はそろそろ失礼させていただきます。後は、この管理人が案内してくれださいます」
手続きが終わると、そう言って私に学生証を渡し、使用人は一礼をして帰っていきました。
管理人さんの話によると、私が住むのは三階の301号室だそうです。
その部屋は2人部屋ですが、他の部屋よりは大きめに出来ているそうです。
これは、お父様がしてくれたことらしいです。
その部屋の人には、私が今日来ることを話していなかったらしく、管理人さんが一緒に部屋まで案内してくれました。
管理人さんが、部屋をトントンっとノックすると、中から「は~~い」という声がして、ドアが開きました。
驚きました。
なぜって?
部屋からは、黒い髪のすごい美少女が出てきたからです。
「こんばんわ、リタさん。この子はあなたのルームメイトで、ティアノート=フィル=ローラントです」
私が驚いていると、管理人さんは彼女に私のことを紹介します。
「は、初めまして、ティアノートです。え・・・えと、ティアって呼んで下さい。よろしくお願いします」
私は慌てて自己紹介をします。
「初めまして、リタ=ロスト=ケミアです。こちらこそよろしくお願いしますね」
「は、はい!!よろしくです」
私たちの自己紹介が終わると、「では、私はこれで失礼しますね」と言って、管理人さんは帰っていきました。
私が部屋に入ると、そこにはもう一人、金色の髪をした美少女がいました。
あれ?この部屋は2人部屋だと聞いていたのですが、違ったのでしょうか?
しかし、リタさんは何か考えているみたいで、その人を紹介してくれる様子はありません。
仕方ないので、私から切り出すことにします。
「あ、あの~~」
「あ、ごめんね、なにかな?」
「えっとですね、この部屋は2人部屋ではないのですか?」
「え?」
リタさんはすごく驚いた顔をしました。
間違っていたのでしょうか?
「あ、間違ってたらごめんなさい。そちらにもう一人いるんですが、紹介もなかったのでどうしようかと思いまして・・・」
私がそう言うと、リタさんは驚いた顔のまま黙り込んでしまいました。
私がどうしようかと悩んでいると、金色の髪をした美少女が話しかけてきました。
「も・・・もしかして、私のこと見えてます?」
・・・・・・・・・・・?
どういうことでしょうか?
私は良く意味がわからなかったのでそのまま聞いてみることにします。
「どういうことですか?」
すると、その質問には答えず、金色の髪の美少女は自己紹介をしてくれました。
「えと・・・・・初めまして、私は『黒衣 真貴』です。よろしくお願いします?」
「あ、ティアノートです。よろしくお願いします」
なぜ、疑問系なのでしょうか?
それにしても『クロイ=マキ』さんですか、変わった名前ですね、守護星も入っていませんし。
「クロイ=マキさんですか、変わった名前ですね・・・・・あ、すいません。ごめんなさいです」
つい、ポロリと考えていたことを言ってしまいました。
初対面の人に『変』なんて失礼にもほどがあります。
「あ、名前は真貴の方です。マキって呼んでくれていいです」
「マキさんですか、何度もすいませんです」
私の言葉は気にしていなかったようでよかったです。
「それで、マキさんもルームメイトなのでしょうか?」
「そ、それは・・・・・」
私がそういうと、マキさんは黙り込んでしまいます。
聞いてはいけないことだったのでしょうか?
「ティア、ちょっといいですか?」
「は、はいです。なんでしょう?」
私が困惑していると、リタさんが話しかけてくれました。
「マキちゃんはちょっと事情があって、内緒でここに暮らしてるんです。普段は『認識阻害』っていう魔法で見えないようにしてるんですけど、ティアにはそれが上手くいかないみたいなんです。管理人さんもマキちゃんには気付かなかったでしょう?」
「そ、そういえば、そうですね。紹介もありませんでしたし」
そういうことでしたか!!
なぜ私にマキさんが見えたのかは判りませんが、立ち入ったことを聞いてしまいました。
「だから、マキちゃんのことは他の人には黙っていてくれますか?」
「は、はいです」
私は、はっきりと答えます。
「ありがとう」
「い、いえ、こちらこそ立ち入ったこと聞いてしまって、すいませんです」
一通り納得すると、急に私は睡魔に襲われます。
「え、えと、それじゃぁ、私今日は疲れてるので寝さしてもらっていいですか?」
「はい、いいですよ。というか、ここはあなたの部屋でもあるんですから、私に断らなくてもいいですよ」
私の少し失礼な言葉にも、リタさんは笑顔で答えてくれました。
「そ、そうですね・・・・・すいませんです。おやすみなさい」
私は、そういうとベットに倒れこみます。
どうやら、リタさんはいい人みたいなので一安心です。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
ティアサイドどうでしたか?
誤字、脱字、感想など書いてくれるとうれしいです。
次回は『園外学習』です
え?聞いたことない言葉だって?
学校だと『校外学習』、ここは学園なので『園外学習』です。
こんな言葉、ほんとうにあるか知りませんけどね。