表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

転生

とあぷぐとはTRPGの略称である。


それはそれとして…


突然だが私は「竜姫伝説(エルドラド)3 〜黄金の竜姫の大英雄神話(ヒーローサーガ)〜」の中盤の一番パッとしない中ボス、悪役貴族令息「アリス・ワンダーランド」に転生した。

なんせこいつ散々小悪党ぷりを見せた後初見で瞬殺されて死んだからね。

基本的に多少暗躍していた事は知っているけどそれ以外は捨て子もにされたこととヒロインの一人の婚約者である事しか覚えていないとさえ言われていた。

そもそも覚えいていないからザマァのカタルシスもなかった程なのだ。なんだこいつ…なんでいるんだ?私だけど。

思い出したのは5歳くらいの頃だっただろうか。まあ如何でも良いが。

最初こそ絶望したり如何すれば死なずに済むか悩んだりしたがよく考えれば悪い事をしなければ良いだけだった。

貴族といっても我が家は割と真っ当なとこだったので姉も兄も弟も妹も優秀だし、私は表では適当にヘラヘラ笑いながらボンクラ次男を演じる事にした。


あとぶっちゃけるならそこまでこのゲームの事覚えていない。

他のゲーム世界転生の主人公記憶力良すぎない。

いや私が主人公じゃないからかもしれないけど。


結論付けた時点で今世は如何生きるか考えたのだが、一つだけ前世で叶えたかった夢がある事を思い出したのだ。

前世の私の夢それは”クトゥルフ神話TRPGのシナリオを作りGMをする事”…そんな事?と思うかもしれないが前世の私は金がない、遊ぶ友達がいない、一歩を踏み出さないのダメ高校生三拍子だったからね。


この時点で如何すればTRPGができるかと神シナリオの作れるかを考え始めた。

そこで私は思い出したのだ、悪役貴族令息「アリス・ワンダーランド」のゲーム時代の戦い方を!

この世界には天職(ジョブ)という生まれながらの祝福がある。

そしてアリス…私の天職は【召喚師(サモナー)吟遊詩人(バード)賭博師(ギャンブラー)】の下級職が3つ。最後に特別職が有るのだがこれについては今はいい。

因みに私の種族である普人族は下級職は3つ中級職は2つ上級職は1つのどれかになる。なお、今の我が家の中で下級職は私だけだ…原作で悪役に堕ちた理由はコレだろうな。私としては寧ろこの3つで良かったと思うが。

原作の私は召喚術と詩で悪魔を召喚する邪悪な禁忌の術師だった。もっともこれから私が召喚しようとしてる存在(もの)達の事を考えれば悪魔など可愛いものだが。


さてそろそろ私の計画について説明しよう。

私の計画は召喚術によってクトゥルフ神話の存在達(正確には”ようなもの”)を呼び出し、様々な存在に敵として立ち塞がる謎の黒幕ロールをする事。

これによりシナリオ作成能力・キーパリング能力の向上クトゥルフ神話の知名度拡大そして貴重な同好の氏を集めるのだ。

クックックッ…自分の才能が恐ろしい。おいおい天才かよ私(真性の馬鹿)


あれこれ結局悪い事してない?ままえやろ…バレなきゃ犯罪じゃないし死な安死な安。


とは言え、最初に事を起こしたのは一年後の6才からだったのだけどな。それまでは色々鍛えていた…裏で。

バレたら不味い計画だからね。しょうがないね。




◇◇◇◇◇




ローマン男爵領のとある森の浅瀬。

”初心者の森”と名高いその森に3人組の若い冒険者が歩いていた。

一人はボサボサの茶髪に鉄の胸板をつけた13才頃のよく言えば活発そうな別の言い方をするならばヤンチャそうな男の子だった。

一人は肩まで伸びる癖のないこれまた茶髪のローブを着た同じ年頃の魔術師なのだろう冷静そうな眼鏡をかけた少年。

一人はストレートの腰までの鈍い金髪のあどけない少女。十字架状の白い杖を持っているあたり僧侶なのだろう。


幼馴染である彼らは生まれ育った村から飛び出ると同時に近くの街で冒険者になり同じパーティーで順調に依頼をこなしていた。

今日はホーンラビットの討伐依頼を受けて森に行っていた。

彼らは才気に溢れていた…だからこそ()()()()()()()()として目をつけられた。つけられてしまった。


「…さっさと依頼を達成して帰ろ〜ぜ〜」


「初心者の森とはいえ油断するなバカが。…町の外では何が起きるか判らない。警戒を怠るなよ。」


「はぁ〜、ケイトは相変わらず真面目だなぁ〜。ダイジョーブだって、初心者の森だぜヨユーヨユー。」


「落ち着きなよ二人とも。アレイも真面目に聞きなさい。ケイトだって貴方の事を心配して言ってるんだから。」


「僕は別にこのバカの事を心配している訳じゃ………‼︎


「おいおい、ケイトお前俺の事心配してたのかよ…⁉︎


喋りながら歩いていた彼らの目の前に何時の間にか気づいたら誰かが居た。

不思議な事に目の前の黒いフードを着た人物の事が目で見ても一切判らないのだ。

顔も…性別も…種族も…唯一判るのは背上は普人族の5才時ほどである事だ。とは言え背の低い種族も多いそれだけではあの人物の年齢は判らないだろう。


「何者だてめえっ!」


アレイが吠える。すると黒いフードの人物は楽しげに言う。


「さあ、探索者(プレイヤー)試練(シナリオ)を始めようかっ!」


「シナリオ…何を言って…?」






どーも私です。さっそくテストプレイをしようと思いま=す。

と、その前に召喚の理屈を説明しようか。


召喚術には幾つか種類がある。

一つは契約した存在を召喚する「契約召喚」

一つは縁の繋がった存在を媒体などをもとに召喚する「縁因召喚」

一つ神やその眷属の精霊に別解釈を与え幻想で形造り強大な力を制限し召喚する「幻想召喚」


私が使おうとしているのは三番目の幻想召喚だ。

まずこの世界には属性を司る大神が存在する。

幻想召喚の例としてはとある部族が祀られてる土着神…土の大神に自らが辛抱する森の神の要素を見出し召喚する。この場合は森の神以外の力が発揮されることはない。

当たり前だが召喚には本人の実力によって呼べるレベルも変わる。

さらに言うならば呼び出す解釈に関連する媒体があると尚良い。

なお、召喚する存在と解釈が著しく間違ってると死ぬほど弱体化したり召喚失敗したりする。


因みに原作の私は幻想召喚に吟遊詩人の詩と生贄を使って悪魔を召喚していた。

まあ、今の私から、見たら練度が全然足りなかったけどな。


あと私の事を相手が何一つ理解出来ないのはそう言う装備を使っているから。


いや〜いいねぇ〜。ローマン男爵領の新人冒険者の中じゃ彼らが一番丁度良さそうだし。

私のテストプレイとして丁度良い。

悪いな若人達…殺しはしないので諦めてくれ。


さて…私は”ナニ”を呼ぶかな。

ああ…楽しくて仕方がない。

ふふふ…はーはっはっは!ふぅーっ!

これぞリアルTRPG…初めてのとあぷぐ!最高だぁっ!

確信できる。今の私は最高に輝いている!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ