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6.山の国で

「も~子さ~ん♪」


 そういってモー子さんの豊なお胸にルハ〇ンだいぶする。


 そして直のみチューチュー。


「うまいもう一杯。」


 朝晩の日課である。


「聖女ちゃんはあかちゃんみたいですぅ。」


 そんなにバブみがあっただろうか。解せぬ。


 昼間は勤労聖女である。毎日が感謝の日でも良いのよ?


 具体的に何をやっているかというとまずは牛たちの管理。主に搾乳と魔法による疲労回復と牧草の成長促進。これが午前中の仕事。モー子さんの飲料として一日4リットルとして年間1.5トン。水換算なのでもう少し重いかな?それを最低10年分で15トン持って行きたい。その分の樽も必要なので制作依頼を出している。もちろんちゃんと代金は払う。


「花子は今日も元気だね。」


 そういって話しかけたのは私に妙になついている牛の花子(牝5歳)。なんとこの子は9作通してして初めて作者に本名がつけられたネームドキャラである。それはさておき疲労回復をしてくれるのがわかるのか私は牧場の牛に大人気だ。特に搾乳もしているためか牝牛にはモテモテである。ハーレム女王に私はなった。


 ここの牛たちは疲労やストレスが少ないせいか一頭当たり1日30リットルの生乳を出してくれる。


 目標の15000リットル÷90日≒167リットル。つまり6頭から絞ればいい計算になる。とはいっても機械がない状況だとものすごい大変。握力錬成にはなるけど自分にも疲労回復をかけないととてもやっていられないレベル。魔法があってよかった。


 牧草に関しては成長促進とともに土魔法で土壌改良なんかもやっている。そのおかげですごく育ちがいい。まあ放牧しているので元から土壌は良いのだけどね。


 午後は木こりや石工の人たちについて行って素材収集。モー子さんをもらい受けるにあたってきちんと村に貢献しなければいけない。私は奪うだけの量産型とは違うのだよ。


 集めた素材は水車小屋や住人の建築資材が中心。ある程度は今後何かあったときのためにもらっておく。石材や木材もトラックのないこの世界では運搬が非常に大変。牛や馬などを使うにとしても、今度はほかの作業が回らなくなる。馬車や牛車を使うための道も整備が進んでいないしね。


 一方で私は切り出しや伐採ができるほどの力はないのでもっぱらアイテムボックスを利用しての運搬。できないことに必死になるよりはできる仕事をやった方が喜ばれるだろうという考え。


 あとは生クリーム作り。口のあたりに紐をつけた瓶に牛乳を詰めて鎖鎌の分銅みたいにブンブンと振り回す。ある程度勢いがついたところで収納。放出すると運動エネルギーがなくなっているので口を上に向けて出しておく。水分が分離しているので水分だけを収納。簡易遠心分離機で新鮮な生クリームをゲット。


 そこからバターやホイップクリームの作成。砂糖は港町で大量にただで仕入れてきたし、小麦や卵もあったのでケーキを作ってふるまったら大変喜ばれた。モー子さんの胸も心なしか大きくなった気がする。


「モー子さんの胸は私が育てた。」


 モー子さんに比べて圧倒的に貧相な胸を張る。ちなみに今の生活はモー子さんと空き家を借りて同棲中。百合百合な展開ではなくて旅に出た時の打ち合わせや生活のすり合わせもかねてのこと。


「いや育てたのは俺と家族だから。」


「おや?モー子パパさんいらしたんですか。」


 牧場の入り口付近で収納可能なアイランドキッチンを使っての昼食の準備をしている最中に後ろから声をかけられた。


「良い匂いがしたからついな。」


 牛獣人の方は牛乳が主食?だけど、普通の食事もとる。といってもベジタリアンに近いらしい。卵なども材料としては使うけど、生やゆで卵などで使うことはないらしい。ちなみに今日のお昼はパンケーキだ。


「そういえば、ここの住人は巨乳美少女が多い男の夢を詰め込んだような場所ですね。誘拐されたりはしないんですか?」


 ちょっと気になったことを聞いてみる。私もたびたび誘拐されかけたわけだしね。


「昔はそういうこともたびたびあったな。特に女は奴隷狩りの標的にされていた。そんなもんでずいぶん人数が減ったんだが、ある時から対策を取ってな。今はそういうこともなくなった。」


「対策ですか?」


「ああ、まあお前はもう身内みたいなものだし話してもいいか・・・」


 出来れば話したくなさそうな口ぶりです。


「実は牛獣人は、同族、人間種以外にも、魔物であるミノタウロスと交配ができるんだよ。言葉も通じるしな。それでハーフで生まれてくる子供は乳牛種の我々と違って戦闘力の強い子供が生まれる。その子たちを中心に戦士を育成してそれで村の守備隊を作っているんだよ。」


「え?こんな美少女達を魔物に差し出しているんですか?」


 戦闘系牛獣人とかどこかのナ〇ック星人みたいな話が出てきました。状況から言って仕方ないのかもしれませんが、ちょっとそれは許されませんよ。


「馬鹿言うでねえ。女子供を守るために若い女差し出してどうするんだ。本末転倒じゃねえか。」


 それはそうですよね。良かった。さらわれる巨乳美少女はいなかったんだ。いえ微小女ならいいというわけではありませんよ。


「ミノタウロスに差し出すのは男に決まってるだろう。男一人差し出せば年間10人からの戦闘系牛獣人が産まれる。女だったらその分10倍からの人数がいるんだ。不幸になるのは少ない方がいいだろう。」


 そりゃそうだ。女でその数をまかなったら種族が絶滅しかねない。


「なるほどもっともな話ですね。それにしても選ばれた男は大変ですね。」


「まあその辺は民主的に決めているからな。」


 そこはかとなく嫌な予感がします。


「民主的って?」


「成人の日にミノタウロスのところに差し出す男を投票で決めるんだ。」


 それって功利主義?いや陶片追放といった方がいい話ではないでしょうか?


「去年選ばれたのは『巨乳は見飽きた。巨乳女には飽き飽きだぜ!』って憎まれ口をたたいた男だったな。小さいころから女の子には優しくしろよって口を酸っぱくして言っていたんだがな・・・。もてない男のちょっとした憎まれ口だったのかもしれないが、女たちはそれを許さなかったのさ。」


 そういって遠い目をしていた。気が付いた時には取り返しのつかないことって世の中にはあるよね。


「それは仕方ないこと・・・かも?」


「牛獣人の家庭は基本的に一夫一妻制だからな。そういうわけで基本的には女が余るんだ。モー子の歳の子は特に女の方が多くてな。今のところは彼氏のいる様子もないし、聖女について行ってもいいというのはそういう理由もあるんだ。」


 モー子さんは性格も穏やかな巨乳美少女ですが、この村では同じ属性の子が多いですからね。必ずしもモテるというわけではないようです。


「そうだったんですね。それでは心置きなくモー子さんは頂いていきます。大事にしますから安心してください。」


「そうしてくれると助かる。それとできればいい男がいたらそれとなく応援してくれるとありがたい。」


 その辺は安心してほしい。クズ男は絶対に近づけませんが人の恋路を邪魔するつもりもありません。馬に蹴られてではなく牛に轢かれて死にたくはないですからね。モー子さんの尻に敷かれる気は満々ですけどね。実はモー子さんは胸だけではなく尻もすごいんです。ぐへへ・・・


「わかりました。モー子さんには素敵な旦那を見つけますね。それにしてもミノタウロスに婿入りする?男は哀れですね。」


「追放されるのは大抵ひょろっこい男だからこの村にいてもなかなか嫁もらえねえし、ある意味ハーレムを作れるんだからいいんじゃねえか?ミノタウロスは貧乳だしな。」


 そういえばモー子さんもがっしりした感じの男が好みだとか言ってましたね。


「ミノタウロスの女って貧乳なんですか?」


「貧乳というより大胸筋だな。巨乳に飽きていた男にはちょうどいいだろう。連中は男も女も腰蓑一つで歩き回る連中だしな。ミノタウロスの女もひょろっこい男のほうが『イケメン王子みたいで素敵』っていう美的感覚らしいし需給のマッチングってやつじゃねえか?」


「イケメン王子なら仕方ないですね。イケメンの有効な活用法といっていいでしょう。」


 こんなところに量産型の利用法があったとは驚きと納得の牧場生活です。今度現れたらミノ踊りの刑にしてやるといいかも。


「パンケーキも焼けましたし、モー子さんも呼んでお昼にしますか。」


 そうして楽しい食事が始まったのでした。




 ちなみに後で聞いた話では、守備隊の面々は牛獣人に手を出すことはないそうだ。戦闘系牛獣人よりミノママのほうが圧倒的に恐ろしく下手なことをするとシバかれるらしい。そしてお勤めが10年を過ぎると戦闘系同士で家庭を持つらしい。まあ中には追放されたイケメン王子のハーレムメンバーになる戦闘女もいるらしいけど。


 良かったな、イケメン。暑苦しそうだけど君はもう立派なハーレム王子になったのだ。

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[一言] 私は聖女、名前はまだ無い。
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