5.山の国へ
「お嬢さんを私に下さい!一生大事にします!」
え?冒頭から何をやっているのかって?
土下座ですよ。DO☆GE☆ZA。いわゆる一つのジャパニーズ土下座ですよ。
また量産型につかまったのかよ。ジ〇ン軍の追跡もしつこいね?
ことの発端は1週間前にさかのぼる。
港町で荷物を積んだ船を待ちながら食事をしていると発見してしまったのですよ。前の世界よりおいしい食事。味付けは塩だけだったんだけど思わず背景の火山が噴火するレベルの超絶品シチュー。それで店主に理由を聞いてみたんです。
どうもこだわりの料理人だったらしくて、厳選された産地直送の新鮮野菜、高級岩塩、ふんだんに使った香辛料。確かにそれぞれこだわりが見えたけど、それだけであの味は出ない。そう思って聞いてみるが答えてはくれない。まあ対価も無しにレシピを教えてくれる方がおかしい。自分の研究成果を差し出せと言っているようなものだからね。
そこで店主に
「しばらく香辛料が高騰すると思いますけど、私なら格安で譲って差し上げることが出来ますよ。」
とにっこりとほほ笑み合計二樽分ほど出してみると、しぶしぶ理由を教えてくれた。どんだけマッチポンプなんだよとか言わない。私がこの町にいる限り商人の倉庫に香辛料が残ることはないのだ(どやぁ
小売りからまでは取り上げていないからそろそろ隣の港で積み荷を降ろして陸路で運んできたりと小細工をしそうだけど、それはそれで運賃も上がるし私に見つかれば取り上げられるからね。
話を戻して秘密の材料だけど、なんでも北にある山の国から特別なミルクを輸入しているとのこと。少し飲ませてもらったけどすごくおいしい。すぐさま予定を変更して山の国に出発しましたよ。この国にくる積み荷はしばらく運び込ませてから一気に奪えばいいわけで、この国に長期間留まる必要はあまりないからね(ゲス顔)。
そしてやってきました山の国。
牧場があると教えられた村に直行し、発見した第一村人は巨乳で角の生えた美少女でした。
「こんにちは。」
「こんにちはですぅ。」
美少女の笑顔プライスレス。
「ひょっとしてこの牧場のキャンペーンガールですか?」
「キャンペーンガール?よくわからないですぅ。」
白と黒のまだら模様の服を着ていたのでそうかと思ったら違うらしい。
「牛に似た格好をしているので牧場の広報をかねてそんな姿をしているのかと思ったのですが?」
「あっ、これは自前ですぅ。」
そういうと自分の角を触って目線を上の方に向けている。
「ひょっとして牛系統の獣人さんですか?」
「そうですぅ。乳牛系の牛獣人なんですぅ。」
(牛獣人キタァァァァァァぁぁぁ!!!!)
これで長年の疑問に回答を得られる。ファンタジーを愛する君たちなら一度は疑問に思ったことがあるはずだ。すなわち
『牛獣人のオチチは牛乳なのか?』
その回答が目の前に。中国4千年の神秘が目の前に。王〇人もびっくりだよ。
ということで。
「あのつかぬ事をお願いしますが、おっぱいを吸わせてもらっていいですか?」
男性ならセクハラであるが同性なら問題ないはずだ。
「セクハラですぅ。初対面なのに変態さんですぅ。」
む。さすがに初対面ではまずかったようだ。もう少し仲良くなってからにしよう。私は反省出来る聖女だからね。あきらめるという選択は絶対にない。なぜならあきらめを踏破した先におっぱいがあるのだから。我ながらいいこと言ったなぁ。それはともかく
「失礼しました。実は・・・」
水の国の港町の料理屋で絶品のシチューを食べて原料の牛乳の産地がここであると知ったこと。自分はおいしい食べ物を探して旅をしていること。何とか私も仕入れられないかということを丁寧に説明する。
「あそこの料理屋さんですかぁ?あそこのなら私のミルクですぅ。」
「おお!あなたの牧場でとれたミルクということですか?」
「違いますよぉ。私のオチチですぅ。それをわかってて先ほど直接吸いたいと聞いたんじゃないんですかぁ?」
おお、神よ。感謝します。牛獣人のオチチは本当に牛乳だったよ。
でも彼女は巨乳といっても身長160センチほど、しかも結婚しているようにも子供がいるようにも見えない。そんなにオチチが出るのか?
詳しく聞いてみると、乳牛系の牛獣人は12歳くらいから妊娠しなくてもオチチが出るようになるらしい。出る量は飲んだ牛乳の半分程度。濃縮してさらにおいしくしているそうだ。そのため牛飼いをしながら自分のオチチを売っているらしい。金額的には元の牛乳の5倍くらいになるらしいので付加価値としては十分。ただし一日に飲める量は4リットル程度らしい。出来上がりは2リットルということはかなりの貴重品。
大量生産できないなら彼女自身をゲットするしかない。そう思った私は
「お嬢さん!私と世界のすべてを見て回りませんか?」
「え?世界を見て回るですか?」
そういって速攻で口説きにかかったのだ。
「はい。私は世界中を見て回っておいしいものを作ったりしようと思っているんです。お金は十分にありますし、聖女なので結界や魔法を使ってあなたをお守りすることもできます。」
「でも私は牛乳がないと生活できませんよぉ?」
「その点はご心配なく。私はアイテムボックスのスキルを使えるので搾りたてのまま収納しておけます。ちなみに容量は58万トンです。さらにスキルレベルアップを3回残してあります。」
実際に調べたことはないけどまだまだ余裕はありそうだからそれくらいは大丈夫だと思う。モー子さんもフ〇ーザ様の上位互換だと知れば納得してくれるはず。
「わかりましたぁ。ただ私は成人したての16歳なので父さんの承諾がいるんですぅ。一緒に話を聞いてもらいたいですぅ。」
おお私の一つ下でしたか。私の前世28→召喚で13→現在17なので、精神年齢は32。ちょうど半分ですけどね。そろそろ一人旅にも飽きた来たことだしね。旅の伴侶が欲しくなってもきていたのでちょうどいい話だね。
そして冒頭に戻る。
そう、土下座はさせているのではなく、私がしているのだ。
「お嬢さんを私に下さい!一生大事にします!」
モー子さんを連れてモー子パパのところに挨拶に来ている。ちなみにモー子さんというのは第一村美少女の名前。本名ではないらしいけど。
「くれといわれても物じゃねぇしなぁ。」
「そこを何とか。彼女に苦労は掛けません。必要なら食料などの物資や王冠、聖剣だって差し上げます。何卒!何卒お願いいたします。」
そういってひたすら地面におでこをこすりつける。なんでも牛獣人の女の子は乳母としての需要がありたまに人さらいに会う事があったのだとか。そんな理由もあってまとまって暮らしているらしい。
「まあうちは子沢山だし、本人が良いって言えばいいんだが、見ず知らずの旅人にやるわけにもいかねぇしな。ちゃんと守れるのかも心配だし。ちなみにさっき言ってたものは特にいらねぇ。」
「では何が必要ですか?そうだお仕事に役立つ技術をお知らせするのはどうでしょう。生クリームを作る際に使える遠心分離機まで行くかはわかりませんが、ギアの概念はお伝え出来ますし、風車小屋とか作るのはどうでしょうか?石材や木材の運搬などアイテムボックスでちょちょいのちょいですよ。」
モー子さんのオチチは生クリームまではいかなくても乳脂肪分が凝縮されているのでしょうね。それにうまみというかそういうものが加わって得も言われぬ味です。ここでしばらく住み込みで働いてもいいかもしれません。
「そうか。それならまあ三か月くらい手伝ってもらってその働きぶりで判断するってことでいいか?」
「もちろんです。」
信用というのは一朝一夕で手に入るものではありませんからね。
「それじゃあ聖女ちゃん。これからよろしくお願いするのですぅ。」
「はい。モー子さん。よろしくお願いしますね。」
こうして私は牧場の臨時従業員になったのでした。
ぐへへ。これでモー子さんのおっぱい独り占めだぜ!
え?別に私は変態じゃないよ。変態だとしても淑女という名の変態だから!