第44話 セレンの弱音と狂気 そして物語へ
「あのさ・・・。」
「何?セレン。」
ある程度4人での話し合いが終わって数日後、夜空が広がるいつも話してる場所でのニアとの会話。
「コインホルダーって何?知ってた?」
「いや、知らなかったよ。」
「不老不死って何?冗談?」
「いや、結構そういう話は聞くわよ?セレンの元いた世界には無かったのね。」
「無いよ。」
「何か嬉しくなさそうな顔ね。」
「嬉しくないよ。そもそも僕はこの世界に居るべきじゃない。どうやってこの世界に悪影響を及ぼさないで一生を終えるかでずっと考えてたのに。死ねないとか・・・。ゴールは何処なのさ。」
「・・・。そんな事考えてたのね。ごめんね。」
「いや、心を読めるからって完璧では居られないさ。こちらこそ暗くてごめんよ。・・・けどさ。」
セレンの目からはうっすらと涙が見えていた。
ニアには分かった。自分だからこそ見せてくれている涙なんだと。巡り巡って留めていた心の波が溢れてしまったようだ。
「僕はそんな器じゃないんだ。心も弱くて・・・頭も悪くてさ。タイミングとか分からないし、センスも無い。見た目も良くないし、いつも口ばっかりで。それでさ、僕は実は・・・いや。」
「何?実は・・・何?ゆっくりでいいわ。」
「・・・。僕はね・・・。人が物凄く苦手なんだ。ただ無邪気で居たら誰かを傷つけてしまう。僕の根は凄い嫌なヤツなんだ。感情的になってそれが出てしまうのが怖い。だから僕は一人が好きなんだ。・・・けど、そういう訳にはいかないだろう?だから・・・だからあんなに馬鹿な程考えて人を理解しようと頭を巡らせて狂気な程になったんだ。」
「ん?凄いじゃない。」
「全然違う。極識眼?僕はそんなんじゃない。僕はただ頭がおかしいだけだ。それをあたかも有能者な様な呼び方で僕を一括りにするなって話だ。そりゃ評価されれば嬉しいよ?けどさ。違うじゃんよ。そんなの求めてないんだよ。僕は特別である器じゃないんだよ。僕がヒーローになってごらんよ。僕の本性が分かったら皆僕を蹴落とすんだ。僕には分かる。僕はさ・・・僕はさ・・・。僕の事が分かってくれる人が1人居るだけで幸せなんだ。それだけでいいのにさ。そんなに俺に背負わせないでくれよ。・・・分かったかい?僕がどれだけ底辺な人間か。コーガ、アリシア、ニアだって。君達は素晴らしい。何で僕なんだ・・・。ウアァァ・・・。」
「セレン・・・。」
ニアは知っていた。ここまでではないが、たまに彼が弱音を吐く事を。そして嬉しかった。彼の口から私にぶつけて来てくれた事が。
セレンは普段は気丈に振る舞いどこか抜けた表情をするのに、今は正面向かって弱音を吐いてくれている。ニアは彼の特別となれたような気がして嬉しかった。
そして何故か目の前で泣く男が弱いとは思わなかった。
わんわんと泣くその男は・・・ただの見た目通りの素直な相棒だった。
「何泣いてんのよ。ほら立ちなさい。」
「コーガとかにも皆に偉そうに色々言ってるけどさ。あれは僕が弱いから身を守る為の持論だったり知識なだけだ。僕が凄い訳じゃない。」
ニアは満面の笑みを浮かべセレンに呼びかけた。
「あなたが教えてくれたのよ?未来は変えられる。その為に自分を知る事が大事だって。」
「・・・はっ。」
セレンはニアを突き放すかのように鼻で笑った。
「アナタは自分の弱さを認めれる、とても賢い人よ?私はそう思うわ。あなたが私に話してくれたのはとても嬉しかった。そんな・・・そんなあなたも大好きよ。いつまでも一緒に居ましょうね。」
「あぁぁぁ!!!」
セレンは抱きしめてきたニアの胸の中で声を殺しながら泣いた。
ニアの胸の中で泣き、後ろまで届かない手でギュッと抱きしめた。
ニアの心臓の音が聞こえる。少し早い。
セレンはニアと少し離れ彼女の膝の上で呼吸を整えた。
まばゆいばかりの月明かりが彼女を照らし、少しばかり目を腫らした彼女がとても可愛く、美しく、愛おしく、そして優しかった。
彼女の優しさに僕の心は壊れずに済んだ。
僕はこの日初めてこの世界に生を受けた気がした。
もちろんアリシアや家族との生活は楽しかった。けど、アレは僕じゃないんだ。僕がセレンを演じていたんだ。
けれど、僕はいまセレンになれた気がする。
彼女が僕を作ったのだ。
そして彼女は僕の全てを分かった上で近くに居てくれている。こんな喜ばしい事があるだろうか。
「・・・ありがとう、ニア。何か元気が出て来たよ。」
「あら、早かったのね。もっと泣いててもいいのよ?」
ニアは今の気持ちがどういう感情なのか分からなかった。
恋なのか、愛情なのか、母性なのか、同情なのか。
ただ自分の居場所はここなのかもなという気持ちが強いのは分かっていた。
「ハハッ・・・なら遠慮なく・・・。」
天邪鬼なセレンは泣いていいと言われ逆に落ち着いた。
でもしばらくこのままがいいと、2人で黙ってしばらくしてまた話を始めた。
「しかし爺さんがそんなコインを僕に渡してくるとはねぇ・・・。僕はどうしたらいいと思う?」
「思った通りにやっちゃえばいいんじゃない?失敗しても経験値は稼げるんでしょ?」
「まぁ、そうは言ったけど、失敗すると分かっててやるのは違わないかい?」
「それもそうね。ハハハッ。」
「いやぁ、しかしニアが可愛くて仕方がない。」
「あら、嬉しい事言ってくれるのね。早く大きくなってよ。私おばちゃんになっちゃうよ?」
「それもそれでいいなぁ。」
「うわぁ、いやらしい顔。ま、かわいいんだけどね。ちっこいから。」
「でもいいの?僕が大きくなったらブッサイクになるかもよ。」
「それならそれで女が寄ってこなくて丁度いいわ。」
「あら、あなた嬉しい事言うのね。」
「でしょ?好きになった?」
「そりゃもう。最初から。・・・いや、やっぱり今日が大きいかな。・・・ほんと、ありがとうねニア。」
「いつでもどうぞ。」
「何だそのいい嫁様。僕がいい旦那じゃないとおかしな事になるじゃんよ。」
「あら、いい旦那じゃないの?」
「・・・。」
「・・・。」
セレンは何かを考えるかのようにそらを見上げた。
「そうだよなぁ・・・。そういやさ。この世界について色々気になる事があるんだ。」
「気になる事?」
「うん。何か、色々と違和感があるんだよね。それが僕にコインを託された理由なのかなとか思ったりした訳だ。」
「違和感・・・、私は違和感とか無いけどね。確かにアナタが居た世界とは違うと思うけど。」
「まぁ、そうだろね。んー、何処から話していいものか。僕にも分からないんだけど・・・、最初に不思議に思ったのが、ここ安息地ハロルって場所だ。」
「え?ここの何が変なの?」
「最初に疑問に思ったのが、何で魔物が近付かなくなるのかって父に聞いたらそんなもんだって言われたんだ。僕もまぁ、魔物が嫌う匂いとか、磁気とかがあるのかなって思ってたけど、この前僕達が魔族と遭遇した時そいつが言ったんだ。」
「なんて?」
「アカミナが、お前、ここに近づけるのかって聞いた時に確か、ヤツ・・・名前は確かガル、そうガルはよく分からないみたいな事を言ったんだ。現に魔族はハロルに近付けてるし。」
「魔物と魔族は違うって事じゃない?」
「それなら戦争までして奪い合う必要ある?しっかりした城作って防衛した方が魔物だけが相手なら十分だと思うんだ。」
「あぁ、そうなるかなぁ。」
「魔物と遭遇した事ないけどね。まぁ獣が10倍位強くなったと思えばいいのかな?そいつらが暴走したとしても一日やそこら攻めて来るだけだったら総力を上げれば防衛出来そうだけどね。城壁もそれに対応させればいいだけだし。」
「ある程度の犠牲者が出ても戦争するよりかはマシって事ね?」
「そう。あと、その間僕らは村を半分捨ててコッチに来た。って事はここ以外の発展が難しいって事になる。安息地が何ヶ所あるかは知らないけどね。余計発展した安息地を奪い合うって構図が強化される。僕の村が簡単な建物が多かったから余計そう思ってね。」
「あぁ・・・。」
「一番厄介そうな魔族が近付ける。こんな安息地は安息地じゃない。大体4年に一度毎月明食が起きるって現象も意味が分からない。僕は天文学はそんなに詳しくないけど、多分論理が破綻している。もし明食が故意だとしたら・・・。戦争も操られているものだとしたら・・・。爺さんが言っていた。8000年前からこんな生活が続いているって。僕が話して来た人達は物凄く賢い人が多かった。いくら便利な魔術があるとしても、もう少し文明が発達しててもいいと思う。少なくとも8000年は変化が無さすぎる。」
「そうかな?大きな戦争も何回か起きて、国の名前が変わったり、8000年前より発展してるとは思うけどなぁ。」
「確かにそうかもしれないけど、僕達の世界に比べたらとても緩やかだ。ドワーフが居るのに石油とかも掘られてないし、他にも色々と・・・。」
「石油?」
「化石燃料の事だよ。確かかなり昔の生き物かなんかが集まってバクテリアとかに分解されて出来た油の事だよ。よく燃えてエネルギー効率が良かったり、搾りカスで道路を整備したり、色々使えるんだ。」
「昔の・・・色々・・・あぁ、魔素の事?マナっても言うかな?」
「ほう!!あぁ〜、魔素・・・か。」
「元素系じゃない精霊とかってさ、過去の記憶を持った精霊とかじゃない?その人達も相当昔の人達の魂だからそう思ったの。精霊になれなかった魂とか、元素系の魂もその化石・・・燃料?みたいに、私達がエネルギーとして魔術の源として使ってるって訳。」
「はぁ〜確かにね。魔素が化石燃料ってか。へぇ〜・・・。」
「なる程。なる程なる程・・・。あぁ、ちょ、ちょっと待っててね。頭の中整理する。」
「分かった。その間ギュッてしてていい?」
「いいけど・・・。」
ーーーー
「ミリダン。」
「おやセレン君。どうされました?そんな真剣な顔して。まさか娘をもう貰いに来ようと?」
「いや、それはまだまだ気が早いよミリダン。あと僕には・・・。」
「あら・・・それは残念だ。」
「ミリダン。僕の修行を手伝って欲しい。」
「おお、唐突ですね。ええ、いいですとも。何かあったんですか?」
「・・・あと、お互い何も知らない体でコレからも宜しくお願いしたいんだけど、どうかな?」
「おやおや。それは・・・。んー、前から思ってましたけど・・・。そうですね。セレン君はセレン君ですしね。・・・ってことは、これは内緒の話で宜しいのですかね?」
「うん。お互いにね。」
「・・・、・・・いいでしょう。セレン君の頼みです。快く受け入れましょう。・・・さて修行ですか。この前教えた剣の素振りとかでいいですかね?」
「・・・いや、僕は多分剣の才能は無い。反射神経も無いし、戦ってる時もあんまり考えれないと思う。戦いに興味が無いんだ。・・・でも強くならなきゃならない理由が出来ちゃってさ。」
「強くならないといけない理由?誰に勝ちたいとかあるのですか?」
「・・・魔王。当然ミリダンよりも強くなりたい。」
「戦いに興味が無いのに?」
「こんな世の中だしね。・・・その辺もふくめてお互い詮索は無しって事でどう?ミリダンの方から秘密を話してくれたら・・・話は別だけど。」
「・・・ふむ。まぁいいでしょう。強くなりたい事はいい事です。魔王より強くなりたいと願うのは子供の性というものでしょうし。そう言う事にしときましょうか。タイミングがあれば腹を割って話せれば良いですねぇ。・・・で、僕は僕の修行を君にさせるのではなく、君の修行を僕が手伝えばいいのかな?」
「そうだね。・・・ありがとうミリダン。今日はもう遅いし、また後で色々相談する!!」
「まぁ、よく分からないですけど、またパンネルと遊んであげて下さい。」
「もちろん!」
ーーーー
「そろそろ整理ついた?」
「多分ここは地球だ。僕の居た世界と同じ地球。明食の時星座を見たんだ。僕の知ってる並びだった。・・・って事はここは地球なんだ。」
「・・・?」
「そしてある筈の場所に星が見えなかった。・・・これはあくまで仮定だけど、ここは僕の居た地球より遥か遠い未来の地球。・・・だとすれば辻褄が合う。」
「・・・よく分からないわ。」
「・・・まぁあくまで仮定だから。けど・・・だとすれば・・・なるほど。まぁそれは置いておいていいだろう。・・・それを踏まえてカラエルの意思を考えておきたくて。」
「カラエルさんの意思・・・。」
「カラエルは僕が明月を見つけた時、伝統を守るのが大事だと言っていた。だがそれを自分の命を投げ出してまで変化を求めたんだ。守るべき伝統を守れてる筈なのに。という事はその逆。その伝統を否定したいという意味になる。」
「現状維持を解いたって事は・・・確かにそうかも。」
「そしてカラエルは僕が異転者だと見抜いた上でコインを譲渡したのだとすると、異転者としてこの世界を見定めて欲しいという事になる。」
「・・・。」
「まぁ、そりゃそうだ。ずっと避難生活が続いてるんだからな。これが普通って人も居るだろうが、それは真綿で首を絞められているようなもんだ。生死の境を彷徨うと生きてるだけで満足みたいな感覚にも陥るだろうからな。分からんでもないがもしそれが意図したものだったら・・・。」
「意図したもの・・・。一体誰が?」
「分からない?ニア。魔族だよ。魔王に属してるのかは知らないけど。」
「ま・・・魔族・・・。セレン君は会った事・・・あるのよね?それでも・・・?」
「コインを託されたけど、爺さんの為じゃない。悪いけどニアの為でもない。僕は自分の為にしか動かない。だって寝つきが悪いだろ?って事にするんだ。それにさ、色々と気が付いたのに見て見ぬふりして生きていた方がいいってのかい?最初は僕も見て見ぬフリをするつもりだった。・・・正直いい迷惑だよ。僕と関係の無い所でバチバチやってればいいのにさ。けど・・・。」
「けど?」
「一回しか会った事ない爺さんだけどさ。あんな渡され方されたんじゃ、期待に応えたくなるじゃん?あぁいうのにやる気出ちゃうんだよね。どちらにせよ異転者の件で魔族に話を聞きたかったし。魔王に話をつけに行く。それがとりあえずの最終目標だ。コインを託された僕は義務と責任を果たすだけだ。そのあとにニア達との本当の幸せな生活があるんだと思う。」
「・・・ほ・・・本気なの?」
「まぁ目一杯やるさ。あまり期待しないでおくれよ?」
「・・・期待も何も、現実離れしてて・・・。このままじゃ・・・ダメなのかな?」
「実際悪くないよねこの生活。とりあえず魔王と話をして、それから決めればいいかなって。どの道異転者としても追われるし、コインホルダーとしても何かしらに巻き込まれるって確定したようなもんだ。どの道今の生活は続かない。ポジティブに捉えると自分がどれ程の人間か、どこまで行けるか。楽しみではあるよね実際。まぁ、怖いけどさ。あとはそうだな。ニアの旦那として、カラエルの後継者として、君と爺さんの目が狂ってない事を証明せねばなるまいて、思う訳さ。それに好きな人の期待には応えるのは楽しいと思うのだがね。ニア君。」
「そ・・・そうね!!魔王なんかぶっ飛ばしちゃってさ!!」
「・・・話聞いて?・・・いや、まぁ、似たようなもんか。とりあえずそうだな。この世は力が全て、結果が全てってのがあるみたい。まぁ当然っちゃ当然だけどね。だから、話を聞いてもらう為にも対等に話せる立場にならないととして、手っ取り早いとは思わないけど、その一つの手段が強くなる事。魔王と対等に戦える程に。」
「・・・。私に出来ることって・・・あるかな?」
「あるとは思うけど、僕には分からない。」
「・・・そう。」
「そんなに落ち込まなくても。一つ言えるのは、僕が魔王と対峙する時が来たとしても、ニアには僕と肩を並べて居て欲しいって事だけ。・・・まぁ、今は僕の方がお荷物だけどね。ある程度戦えるようになれるとは思うんだけどなぁ。」
「あのさ・・・正直に話すね。」
「うん。」
「・・・魔王に勝てると本気で思ってるの?」
「んー、何か違うんだよな。勝てるかどうかじゃなくて、勝たなきゃならんのよ僕は。どうにかして。結果的に勝てないとかはそりゃ魔王なんだからあるとは思うけど。理想としては魔王をデコピンで倒せるって所まで強くなりたい。正直この世界ではそれが出来ると思ってる。正確にはそう思わないとダメなのかなって思ってる。」
さっきまで泣いていた少年がとんでもない事を言い出したとニアは思った。ニアは今までこの世界の人間が当然の様に諦めていた事を諦めない彼に恐怖を感じる部分もあるが、彼の記憶をほぼ網羅している彼女はその話に希望の光を見た。さも当然の様に天地をひっくり返して来るのだ。彼はいつも闇に埋もれている時にヒョイと私を引き上げてくれる。
私は分かっていた筈だ。彼の過去を散々観たのだから。実際彼と何度となく苦難を乗り越えてきた自負がある。
それなのに私は彼に初めて出会ったかの様な高揚感にさいなまれた。
「なんか、そう当たり前の様に言われたらそう思っちゃうよね。」
「いや、当たり前じゃない・・・とは思うよ?ハッハッハ。」
「そこは共感しときなさいよ。」
「ハッハッハ。とりあえずダメージが伴っても冷静で居られるようにとか、僕結構根性論好きだからさ。アリシアにお願いして何処かの箇所の骨を毎日10回折って直してを繰り返してもらおうかなとか思ってる。死んだらどうなるかとかも試してみたいね。不老不死なら1年間何も食べないとどうなるのかとかも試したいけど・・・。とりあえず自分を使って色々実験かな?・・・お、何かやる気出てきた!」
「・・・え?」
その後セレンは定期的に精神を病んだ。
病む度に正式となったアリシアも含めたアリシア、コーガ、ニアの3人の眷属達を招集し、ミリダンも交え死線を往復した。治癒術師であるアリシアも居るからしてその作業は戦闘担当のコーガもすこぶる捗ったものだ。
正常なときも病まないために死線を超えては戻ってきた。失敗から学ぶの究極形だとセレンは言う。何度も何度も死ぬのだ。スパルタの域を超えている。地下に掘った訓練場で数日経過した頃、コーガは死ぬことに違和感が無くなった。ただ、生き返る度に目の前にいるアリシアの笑顔に対し湧いてくる感情を押し殺ているのは内緒だ。
何も考えたくないセレンは強くなったという事で精神を安定させ、強くなる作業で精神を安定させ、そして眷属をも巻みそれらを強くすることで自分の精神を安定させた。
セレンとミリダンは通ずるものがあるらしく、ミリダンはセレンの意図を組みいつもニコニコと協力した。
コーガはセレンの連れてきたミリダンという謎の男の異常な強さに疑問を覚えると共に、そのニコニコに恐怖を覚えた。当然これも内緒である。
数日後、闘技場で起きた事件はそのスパルタを数倍加速させ、その闘技場で起きた事件をきっかけにセレンの運命が大きく動き出す。
そんなセレンの生前の時代から40億年後の物語。
地球が生まれ変わった世界での物語
そう、コインホルダーの異世界で生きるガチな物語
そんな 記憶の 物語。 ~プロローグ完~




