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コインホルダー 〜異世界で生きるガチなヤツ〜  作者: ノープラン
第一章 プロローグ
40/44

第40話 セレンの能力


 「セレン君が?」



 「そうだ。」



 「す・・・凄いじゃない、セレン君!!A級よ!A級!!!Sの付いた等級は特別なのよ!星付き!!」



 「アリシア、お前分かってねぇな。」



 「・・・何よ。凄い事なんじゃないの?」



 「違う、そういう意味じゃない。アリシア。まず君が君付けしているのが違和感でしかない。そしてそれがどういう事を意味するかだ。」



 「何よ・・・どういう事?コーガ。」



 「極識眼・・・、それもSA級ともなれば、当然SA級、更にはSS級の冒険者パーティーにも引っ張りだこ、国や貴族からも招かれ、"様"を付けられるレベルだ。」



 「・・・確かにね・・・。でも私とセレン君の仲だし・・・、別にいいじゃない。」



 「シアネェごめん。」



 「セレン君、どうしたの?」



 「先に謝っておこうと思って。その・・・ほら。」



 「小さい頃から一緒だもんね。・・・ん?・・・あ。そういう事!?あぁ〜・・・、あははは・・・。」



 アリシアはコソコソとセレンに近づくと、口を耳に近づけた。



 「・・・色々と、内緒よ!・・・ん?でもそれって・・・、どういう事?」



 珍しくアリシアが混乱し動揺している。

 オドオドしているアリシアもかわいいが、僕にはニアが・・・。



 「その〜、言いにくいんだけど・・・、シアネェ、ごめん。そしてコーガにも謝っとく。ごめん。ニアも。」



 「・・・。」



 三人は何事かと言わんばかりだ。

 セレンはニアに目線を送り、小さく頷くと、ニアもまた小さく頷いた。



 「しばらくして、僕は僕の秘密を話す。・・・命に関わる問題。・・・このまま黙っていて貰えればそのまま話す。それが嫌なら聞かないでほしい。。ちなみにその事をニアは知ってる。」



 「俺はいいぞ。話せ。」



 「・・・。何?・・・え?」



 アリシアはニアに目線を合わせた。



 「アリシア。ここまで来たら聞いておいた方がいい・・・と思う。」



 アリシアは目を瞑り深呼吸した。



 「あぁ、分かったわ。元より戦場に出てから覚悟は出来てるわ。」



 「・・・分かった。・・・アリシア、ありがとう。僕はその・・・、転生者って知って・・・るよね。異転者とも言うやつ。僕それなんだ。」



 「・・・。」



 三人とも読めない表情をしている。

 驚いているような、警戒しているような、悲しいような睨まれているような・・・。セレンはそんな気がした。


 

 「前の世界の記憶を引き継いでいる。僕がその洞察眼を持っているというのなら、それが理由かもしれない。」



 しばらく誰も動かないし喋らなかった。




 ーニア視点ー



 とうとうセレンが二人に正体を明かした。最悪の状況にはならないとは思うけど、私にこの先は読めない。

 ただ、セレンも信じることができるし、アリシアも勿論信じることができる。

 問題はコーガだけど、セレンがそう判断するのなら私は止める理由も無い。


 私が出来ることなら何でもやりたい。

 でも私に出来る事って・・・。


 二人の反応はどうだろうか、セレンはあぁ見えて時々弱い時がある。

 私とセレンがどうなるべきかは分からないけど、私はただ、前を向いて、やるべき事をやるだけだ。

 そうセレンからも教えられたし、私もそう思う。

 セレン。それでいいのよね。

 私は貴方を信じている自分が嫌いじゃない。

 ずっとこのままでいられたらいいのに。


 今から私はどうなるのだろうか。



 ーアリシア視点ー



 え?・・・転生者?異転者?

 私はパニックになった。

 そもそも私はパニックになりやすいところがある。だからこそ勉強に勉強を重ね心の武装をしてきた。

 でもそうね、セレン君やリンちゃんが居てくれて、私はしっかり者として頑張れだ所もある。リネイルから褒めてもらったことで、頑張る楽しさも分かった。どれだけ辛い事をやろうとも、リネイルからの一言で私は全て報われたのだ。

 私は私だけど、そういった事もあり、私はセレン君も含めて私なのだ。彼の正体がどうであれ、嫌いになれるはずが無い。


 ・・・思えばセレン君と、ちょっといやらしい事もしてしまった。今でも後悔とかはないのだけれど、彼が異転者だというのなら大人なのだろうか。恥ずかしいような、大人の階段をいつの間にか登っていたという事になるのだろうか・・・。


 彼がもし処刑対象とされるような言い伝えのような異転者なのだとしたら、私は既に洗脳されているという事になるのだろうか。だから私は彼が好きなのだろうか。

 そしてニアは大丈夫なのだろうか。


 そしてコーガが言っていたそのコインって何?


 ・・・私は皆のおかげである程度は優秀で要られていると思っていた。

 だけど今の私は置いてけぼりだ。


 コーガは全然違う世界の住人のようだし、ニアはこっそりとセレンと・・・、仲良くしてたのは知ってたしいつの間にか二人が居なくなってたというのは気が付いてはいた。

 私が関与する場面でもないと思ったし、本当にニアは子供好きなんだなとも思った。まさかこんな関係性だとは思ってもみなかったけど・・・。


 ただ、私を思っての事だとは思うけど、私に内緒でこっそりと動いていたのだろうけど、そうだとしても心の何処かで嫌な気持ちが拭えない。

 感情のブレが治らない。何処から感情を整理させればいいのか分からない。


 世界は私にどうしろというのか。



 ーコーガ視点ー



 コイツは想定するべきだった。確かにそれなら全て合点がゆく。

 カラエルのジジイは見えなかったとだけしか書いてなかったが、さらにその先を見越してジジイはコインをコイツに託したんだ。生半可な覚悟じゃなかったはずだ。じゃないとコインが譲渡された理由が付かない。極識眼持ちで異転者、更にはコインホルダーと来たもんだ。コレをジジイは望んだってのか・・・、妙に納得いく自分が不甲斐ない。


 ジジイは世界を嫌っていた。魔族には気をつけろとも言っていた。異転者と魔族。どちらが厄介な存在か・・・。

 異転者の多くは感覚がおかしいと聞いている。カラエルだからこそ回ってくる情報なのだとは思うが、言われてみたら確かにコイツ、セレン・ロードはおかしい。


 そもそも最初に面識を持った時からおかしかった。シュナイダーにふっかけられた時も、武器が欲しいと思っていたら気がついたら何故か手元にあったし、さっきだってそうだ。体をボロボロにされた後もパンしか口にしてなくて、何か違う物を食いたいと、無意識に思っていた矢先にコイツは魚の食べ掛けだったが差し出して来た。

 差し出されてすぐさまコレだと思ったのだが、セレンは俺すら分かっていなかった"食いたいもの"事を見抜いていた、見抜かれていた。今思えばつい先日まで骨もバキバキだったからな。無意識に欲していたのかもしれない。


 しかしコレからとんでもねぇ事になりそうだ。ただーー、相手がSA級だろうと、俺自身が目を曇らせてちゃならねぇ。

 仲間になるのならそれでいい。だが、だからこそ厳しい目で見るのだ。何が変な事しやがったら容赦はしねぇ。

 ホルダーのカラエルの側にずっと居たんだ。ぶっ殺す以上に苦しめる方法を何度となく模索してきたからな。

 一応だがアリシアとニアは守らなきゃならねぇ対象でもある。


 さて・・・、セレン・アース・ロード。

 どう出るか・・・。



 ーーーー



 「ごめんなさい。私が最初に気が付いて・・・。」



 「ニアとは色々話して皆をなるべく巻き込まないように計画してたんだけど。バレちゃったらどうなるか分からないし。アリシアとコーガ・・・。君達なら、今この状況なら分かってもらえると思って。その目の事を追求されてしまったら思うと、自分から言うのがベストだと思ったんだ。」



 「・・・いつからなの?」



 「僕の精霊を見てもらった時あったでしょ?あの時。」



 「確かに急に仲良くなったなとは思ったけど・・・。」



 「アリシア、勿論悪気があったとかじゃないのは分かってくれる・・・よね?私・・・アリシアを巻き込んじゃうのが怖くて怖くて・・・。黙っておくしか無かったの。」



 「大丈夫よニア。ありがとう。心配してくれてたのよね。」



 「分かってくれる?・・・良かった・・・。」



 ニアはホッとしたようで、座り込んでしまった。



 「しかし異転者ってよく分かったな。」



 「そ・・・それは。」



 「・・・ニア。全部話そう。コーガとアリシアもかなりの洞察眼持ちだ。どうせすぐバレる。それにこういう時はバレないとしても嘘はダメだと僕は思う。話しておいた方が後々の為になる。」



 「・・・全部?」



 「全部。ニアが嫌なら僕から話そうか。なんなら・・・。まぁ僕がそう思ってるだけだし。言える範囲だけでもいいとも思うし。・・・とりあえずその事に対しての返事は時間が欲しい。二人ともそれでいい?」



 「・・・、私は・・・.。ごめん・・・。」



 「・・・。」



 「・・・コーガ、ごめん、さっきの異転者として何故分かったのかって質問には後で答える。ニアの特異体質にまつわる事だ。・・・ここまでは言っていいと思う。けど、ちょっとデリケートな問題なんだ。それと誤解させてしまう可能性が高い。コーガと・・・アリシアにも。どうしてもと言うなら今からニアと話し合って僕から話そう。・・・コーガ、どう思う。」



 「あぁ、そこまで深刻な疑問じゃねぇ。その内に答えてもらう場面も来るかもしれねぇが、まぁそれは今じゃなさそうだ。」



 「ニアの特異体質、またなんか分かったの?」



 「それは・・・その・・・。」



 「アリシア。その事は悪い事じゃない。けど、盲目的にいい事でもないんだ。後でアリシアにも相談する。この話はもう置いといていいかな?後でしつこく僕に言い寄ってもらってもいい。君達二人なら分かってもらえると思って話しているけど。」



 「・・・、俺はそこまで気にしちゃいねぇ。ふとした疑問ってヤツた。・・・ニア、お前も色々あるんだな。」



 「私もいつか話してくれるまで待つわ。正直、何の事かさっぱりだし。」



 「あ・・・ありがとね。」



 ニアは頭がパンク寸前だ。自分の守ってきた秘密、信じれる人、そうでない人。審判の瞬間。嫌悪される恐怖。自分の嘘の代償。

 自分が想定し得る恐怖が全て今に収束している気がした。



 「ニア。・・・今なら分かると思う。僕はね。嘘はダメだと思うんだ。それが今はいい事へ繋がるとしても、甘んじて罰を受けてでも言わないといけない時がある。・・・また後で話そう。・・・大丈夫。未来は明るい。」



 「・・・セレン・・・。」



 「それよりも今は僕の話だと思う。アリシアには嘘はついていないし、自分の本能に従って動いていたつもりだけど。」



 「本能ねぇ・・・。まぁ、可愛かったしなんでも良いわ。・・・私も現状を理解出来てないし、話してくれれば私も嬉しい。」



 「ありがとう。僕も何処から話して良いかは分からないけど、今この現状で話さないといけないのは僕だと思う。」



 「まぁ、そうだろな。そもそも異転者は何なんだって話だ。俺らは異転者は処刑対象としか見てないから恐怖の対象でしかない訳だが・・・。俺は元より死ぬ覚悟は出来てる。だがお前に巻き込まれて犬死はごめんだ。その為に話す義務はあるだろうよ。」



 「・・・、わたしは・・・。まぁ、そうね。」



 アリシアはセレンにしか分からない程度だが少し影を落とした。

 何か思うことがあるのだろうか。

 セレンはこの流れを良い流れだと判断した。そして言葉が溢れてきた。



 「やっぱり君達はすごいと思う。まだ16とかでしょう?何でそんなにしっかり者なのか。僕の前いた世界では全然だったよ。」



 「あ?・・・まぁいい。お前は前世ではどんなヤツだったんだ?歳は?」



 「34で死んだんだと思う。正直最期の記憶が曖昧なんだ。今が4歳とちょっとだから、精神年齢的には38とかだと思う。」



 「・・・!!そう・・・なんだ・・・。」



 「アリシアには面倒見てくれてとても感謝している。けどね、けどさ、この体と感情コントロールがすんげぇ難しいのよ!!わかる!?本能剥き出しというかさ!!そうなるのよ!!あんな可愛い子が近くに居たら制御不能になるのよ!!」



 「ちょっとあんまり言わないで!・・・そうね。ハハッ・・・、まぁ色々あったけど、楽しかったのは事実よ。それとさっきの聞いて少しスッキリというか、頭にあったモワモワが晴れた気もするから大丈夫よ。38か・・・。」



 セレンは星付きの極識眼の持ち主だ。意図していない場面でその能力を発揮する時も多々ある。そして今がその場面だ。

 アリシアは僕の本当の年齢を聞いて喜んでいる。アリシアが少しニコリとしたのを見てセレンはそう確信した。そして今まで気持ちの全てを故意にニアに注いでいたセレンの気持ちが動いた。

 すんげぇ脈ありだなと。

 モテる男は辛いなと、こんな場面なのになと思いながらもこの場が収束する可能性が高いと踏んだセレンは話を繋げた。



 「おじさんでごめんね。気持ち悪いでしょ。僕自身がそう思うんだから。」



 「そんな事はない!!そんな事は無いよ。セレン。ニアもそうなんでしょ?」



 「う・・・うん!全然、全然。あと・・・抱き心地がいいのよね。アリシアわかる?少し筋肉質でさ、肌がすべすべでさ、何かいい匂いがするの!」



 「あ、わかる!!ほんと可愛いのよね・・・。あぁ、でも確かにあの時の目は鋭かったわ。そんなに他の赤ちゃんを見たことが無かったからそんなもんだと思ってはいたんだけど・・・。」



 「・・・。」



 「コーガも居るし、僕も居るし。その話は後で二人でゆっくりしてもらってもいいかな?気持ち悪いでもいいし。」



 「あ、はーい。」



 「アリシア、・・・ヒヒ・・・。あ、アリシア。言っとくことがあるの。」



 「え?何?」



 「セレンはわたしの旦那さんだから。宜しく。」



 「おっとぉ?」



 セレンだ。



 「・・・。」



 「ちょ・・・ちょっと待って。もうそんな所まで行ってるの!?」



 「へへへ・・・セレンの精霊とも契約して、その条件みたいなもんでもあるの。つまり公認。そしてアリシアを第二夫人として迎える準備があるわ。」



 「あ、アリシア。コレはニアの暴走だから。・・・旦那って所は本当だけど。」



 「何!?・・・ニア!!私が好きなんじゃないの!?いつもそう言ってたじゃない!!」



 「もちろん好きよ?だから第二夫人として迎えたいって言ってるんじゃない。・・・あ、セレン、もう私言っちゃうね。私精霊だけじゃなくてその人の過去も見えちゃうの。」



 どうやらニアのエンジンが点灯したようだ。それもエンジン全開だ。僕は第一コーナーでクラッシュしないようにサポートするのが自分の役目なのだと、そうセレンは察した。



 「過去?・・・精霊を見る時に過去が・・・見えちゃうの?」



 「そうみたいなの。さっき言ってたセレンって子が変だなって気がついたのはその体質のせい・・・というかおかげかな?」



 「どういう風に見えるの?」



 「最初はあんまり記憶を覗くってのが嫌だったから映像でしか見えて無かったけど。今ならある程度その本人の感覚も認識出来るわ。あ!でも大丈夫。セレンに何回も試して本人が拒否すれば私も入り込めないみたいだから。私はなるべく触れないようにするけどさ。触れられた時私に心を許さなければ大丈夫よ。問題あるかしら?」



 「・・・まぁ、最初から問題があるわけじゃ無いけれど、納得はしたわ。・・・仲良いのね。」



 アリシアの対してニアは胸を張った。



 「仲?良いわよ??それでセレンの記憶をを何回も何回も探ったんだけど・・・。」



 セレンはニアが雌の香りを漂わせながら寄ってくるのを肌でも目視でも感じた。セレンはなるべく無心で受け入れた。それが最適解だと根拠もなく自分の脳内CPUが判断したのだ。

 ニアはセレンの腕を取り、そして首をとり足をとった。ギュっと抱きしめニアはセレンに頬を擦り寄せた。

 セレンはニアの胸やら何やら柔らかのもが当たってニヤける顔を我慢するのでやっとだ。

 アリシアだけならまだいいが、コーガも居る。我慢せねばなるまい。



 「この子が大好きになっちゃったって訳。アリシアを好きな気持ちは変わらないわ。けどね・・・ハァハァ・・・この・・・。分かるでしょ?」



 「分かんねぇよ。」



 「コーガ、助けて。」



 「黙れ小僧。お前は後で八つ裂きだ。」



 「あ、はーい。って事で離れてくれる?ニア。」



 「えー。コーガあんた・・・いや、何も無いわ。」



 「チッ、どいつもこいつも・・・。」



 「ニア・・・、セレン君って・・・、抱き心地いいよね。」



 「だよね!?分かる?さすがアリシア。分かってくれると・・・。」



 「はいはいおしまい。それはまた後でね。」



 「・・・はい。」



 とは言いつつも、セレンはこの場にいい空気を呼び込んできてくれた事も併せてニアに絶大な感謝を抱いた。



 「けどまぁ、アレだ。コーガ以外はこの場の空気がとても良くなった気もするし、色々話してくれてありがとう。あとまた不快なことがあれば二人はすぐに言ってくれると助かる。」



 「俺は不快だ。」



 「あー、はいはい。今度いい人紹介するわ。」



 「あなたがいい人ならね!!」



 アリシアとニアによってコーガはKOされた。言葉の暴力ってやつだ。

 そしてコレからはというもの、コーガは夜な夜な思い出しては枕を濡らしていたという事はまた別のお話だ。



 「お前が極識眼持ってても言わなきゃ駄目なのか?俺があの場面で、不快にならない訳ねぇだろ。」



 「だってよ。ニア、アリシア。」



 「はーい。でもね・・・。」



 「分かってるよ。ありがとね。」



 「うん。」



 あぁ二人が可愛い。何より表情がいい。

 僕はそれを守らなければな。



 「正直僕は極識眼ってのが何か分かってない。そしてその判断が全て正しいとは思っていない。例え僕の目、能力が優れた極識眼であったとしてもだ。それと集中力と体力の消耗の問題もある。それにそんなもの今は使わなくてもいいっていう僕の君達への信頼を預ける行為でもある。」



 「・・・あぁ、本当に・・・、異転者・・・転生者なのね。」



 アリシアはセレンの言っている事の半分程しか理解出来なかった事に対してそう思った。



 「そうだね。アリシア。ごめん、そして・・・まぁ、その、ありがとう。不快なら言ってね。出て行く覚悟は出来てる。」



 「大丈夫!大丈夫よ。あと、もうその自己犠牲やめてくれる?これからどうすればいいか戸惑ってるだけ。大丈夫。自分でどうにかするわ。」



 「アリシア、私も居る。アリシアが嫌な思いをするのならセレンと話し合って別れるわ。・・・アリシアが好きなのはセレンも同じだし・・・。」



 「・・・ありがとう。」



 「おーい、そろそろいいか。その話はもう腹一杯だ。」



 コーガは悪態をつきながら耳をほじりながら言った。



 「じゃぁ・・・そうだな。自己紹介を兼ねて僕の秘密基地を案内しよう。時間が無いけど、大丈夫でしょ。」



 「・・・ん?秘密基地ってあのいつも話してた場所でしょ?」



 「あぁ違う。おっきい方。ニアにも教えてないヤツ。行こうか。」



 ニアの頭にハテナが浮かぶ中、暗くなった夜空に明るい月が出ていた。

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