第4話 誕生日の掟と父親 二度目の二歳の誕生日
どうやら今日は僕の二歳の誕生日のようだ。
今その準備の終盤らしい。
今何をやっているのかと聞いたら母と例の彼女がそう教えてくれたのだ。
あれから僕はひたすらにまた乳を飲み大きくなった。
最近では感情をコントロール出来る様に瞑想したりしている。
家の中で出来ることは少ない。
残念な事に僕はもう離乳してしまって、母はもうポロリしてくれなくなった。
母のミルクは美味しいし、落ち着くのにな。
残念だ。
離乳したからか、例の彼女も、もう僕が寂しいからって吸わせてくれなくなった。
非常に残念だ。
そうだな。
これから成長するにつれ、幼少期特有の合法エロイベントは減ってゆくだろう。
まぁいいんだけどね。
歩いたり話したりはある程度出来る様になった。
フォークとスプーンもある程度使えるようになった。
文字通り自立したって話だ。
少しだけどな。
ちなみに最初の発した声は、ママでも当然パパでもなく、おっぱいだった。
いつもの妄想が具現化してしまったのだ。
これぞ一生の不覚となるのだろうか。
中身がおやじなのだから仕方が無いということにしとこう。
本当の意味での自立(精神)は・・・、まだもう少し厳しいだろう。
姉はというともう既に一人で外を自由に出歩いているようだ。
というか走っている。
うらやましい。
僕が姉程自由に出入り出来る様になるまではどれくらいかかるだろうか。
そんな姉も、母親と例の彼女とで誕生日の準備の中、朝から外に行ったり戻ったりで忙しくしている。
あの歳であれだけ動けるとは大したものだ。
誕生日会は大々的なものではなく、姉と母親と僕とそして例の彼女の4人だけでのささやかなもののようだ。
当然と言えば当然か。
僕を祝ってくれるのはこの人達位だろうし。
薄々というか、がっつり気になっている事だが、父親は何処だ。
誕生日に来ないって事は、そういう事なのか?
人生1回目なら気になってないだろうが、僕は2回目っぽいからなぁ。
コウノトリが赤ちゃんを運んでくる訳じゃない事を知っている。
気になる。
でも聞くのは今じゃ無いだろう。
何処かタイミングを見計らって聞かねば。
ケーキも無く、プレゼントも特に無さそうだ。
そういう文化が無いのだろう。
そんな気がする。
その代わりと言ってはなんだが、料理がいつもより少し豪華だ。
母親と、例の彼女が台所で当然のように作ってくれている。
愛情込めて作ってくれているのだろう。
今日の料理は特別美味しそうに見える。
「美味しそう!」
僕の口から思わず言葉が出てきた。
「今日はセレンの為に皆で一生懸命作ったんだよ?」
知っている。
ありがたいものだ。
「ねぇねぇねぇ、私も私も!!コレコレ!!鳥!!」
それは知らない。
今度は姉がコレコレとアリシアに主張している。
いつもはクールな姉だが、今日はやけにテンションが高い。
そして姉の指差す先、ピザ窯の様な調理器具のド真ん中に置いてあるこの鳥の丸焼き。
スゲェなこれは。
地味にデカい。
豪華だな。
こんなん生前でも食った事ないぞ。
しかし姉の言っている意味がよく分からない。
「お姉ちゃん、鳥、どうしたの?」
「セレン、この鳥。私が捕ったのよ!」
稀に見ぬドヤ顔である。
姉の威厳と言わんばかりにない胸を張って両手を腰にあてている。
でも、ちょっと姉の文法がおかしい気がする。
多分母親と一緒に買い物に行って姉が運んできたって事だろう。
『取ってきた』と、『取った』。
似てるもんな。
まだ6歳かそこらだろうから言葉がつたなくても仕方がないか。
僕もある程度喋れるようになった。
頑張ればもう少し流暢に喋れるとは思うが、変に思われないようなるべく子供っぽくふるまっている。
「お母さんと買い物?運んだの?」
「んーん。お買い物じゃないよ。こうやってこうやって獲ったの!」
話す方はまだまだだが、リスニングはほぼ完璧なはずだ。
分からない単語や文章も多多出て来るが、聞けばいいのだ。
常識や倫理観も、日本とは随分違うところがあるだろう。
聞けばいいのだ。
『何それ?』と。
『どうして?』と。
この魔法の言葉を二つ覚えれば全ての日常情報が集まると言っても過言では無い。
生前、その魔法攻撃を受けていた立場の僕は知っている。
この魔法の言葉はダメージが半端ないのだ。
精神魔法 ナニソレ
精神上級魔法 ドウシテ
子供は全員魔術師なのだ。
恐ろしい。
まぁ僕は頑張って子供達からの魔法攻撃を全部受け止めていたけどな。
「こうやって、こう?」
「違う。こうやってこうよ。木の棒でね」
情報収集は、毎日の激務だ。
ほぼ毎日新しい知らない単語や表現が出てくる。
疑問も絶えない。
今回もその一種だろう。
ちょっと姉が何を言っているのか分からない。
「セレン、リン、出来たわよ!食べましょう!アリシアちゃんも座りましょう」
ちなみに僕の名前はセレンで合ってるようだ。
フルネームも分かっている。
セレン・アース・ロードというらしい。
僕の名前だ。
ちなみに姉はリン・アース・ロード、母はセリーヌ・アース・ロードというらしい。
例の彼女の名前も分かった。
アリシアというらしい。
度々耳にする響きだったので多分そうだろうなとは思っていたが、いつからかそれが彼女の名前だと確信している。
アリシア。
美しい名前だ。
フルネームは知らない。横文字な名前は初体験であるからして、苗字とか、名前とかがどういう関係なのかは解らない。
コレもまたタイミングを見て聞いてみよう。
皆が席につこうかという頃。
さっきまでピザ窯の様なオーブンの中で焼かれていた主役っぽい鳥の丸焼きも、テーブルの真ん中に母の手によって運ばれてきた。
本当の今日の主役は僕なんだけどね。
「大地の恵みに感謝を。大地の神に敬意を。命を頂き命に変え命に愛を」
その後、数秒黙祷の様な時間が流れ、母がまた言う。
「いただきます」
「「「いただきます」」」
テーブルを皆で囲み母が念仏の様なものを唱えた。
僕達も母に習い手を組み最後の言葉だけ皆で口を揃えた。
大体いつもコレをやってから食べる。
どっかの宗教か何かだろうか?
色々と何か変な感じがするが・・・まぁいい。
僕は流れに任せて、いつもの様に見よう見真似。
長い物には巻かれろって言うしな。
「今日はセレンの誕生日よ。カシナのジュースを2人が用意してくれたわ。2人で仲良く飲みなさい。アリシアちゃんもありがとうね」
「いえいえ。リンちゃんも一緒で楽しかったですし。セレン君も、もう少し大きくなったら一緒に集めに行こうね」
母は相変わらず優しい声だ。
誕生日だからとでもなく、いつも優しい。
アリシア様の声を僕の中で何度も何度も反芻する。
君の為なら世界の裏側にでも迎えに行くよ。
「はい、どうぞ」
アリシアがジュースを木製のコップにジュースを注いでから僕と姉に差し出した。
どうやらアリシア姫と姉様が頑張ったらしい。
「これ、美味しいよ!」
姉は一口も口にせず言葉にした。
もう既に味見したって事か?
「ありがと」
僕は大人だからな。
その辺の疑問はスルーして、なるべく子供っぽく振る舞い、感謝の言葉を述べた。
「さぁ、冷めないうちに食べましょう」
母親の一言で、皆豪華な料理に手が伸びる。
「シアネェ!鳥!鳥!!」
姉は最初から今まで鳥の事が気になって仕方がないらしい。
「ちょっと待っててね。でもセレンが最初よ?」
「うん」
アリシアは随分手慣れた様子で鳥をほぐしていく。
器用なもんだ。
鳥はひたすら柔らかい。
2人は余程料理上手なのだろう。
女神に僕も料理されたい。
身も心もほぐしてもらいたい。
僕はカシナのジュースとやらを一口飲んでみた。
ほう。
グレープフルーツに砂糖をぶち込んだような。
それでいてパインの一番美味しい所の風味もある気がする。
確かに美味いな。
グビ。グビ。
喉越しも良い。
うめぇ。
栄養価も高そうだ。
気がつくとカシナのジュースも残り一口になってしまっていた。
少し飲み過ぎたか。
姉の視線は鳥をほぐしているアリシアの手元に集まっている。
母親のセリーヌはというと、取り皿が無いことに気が付いてすぐ脇にあるキッチンに向かっていた。
「美味しいね、このジュース」
「でしょ?頑張ったんだよ」
姉は僕が喜んでいる所を見て嬉しいようだ。
あまり見ない姉の笑顔が見れた。
姉の目線は料理の主役の鳥から今日の主役の僕に移り、僕の手元にあるコップにもチラリと移った。
すると姉は一口も口をつけていない自分のジュースを半分以上分けてくれた。
「いいよ。私、集めながら少し食べたし」
姉は誕生日の何たるかを理解しているようだ。
誕生日にはケーキもプレゼントも本当は必要無いと僕は思っている。
少しだけ、少しだけでいいから特別でありたいのだ。
他と比べて少しだけ特別でありたいのだ。
しかし滅多に飲めないであろうこんなに美味しいジュースを半分くれるとは。
出来た姉を持ったものだ。
コレで僕は姉よりもジュースの量だけ、ほんの少しだけ特別になった訳だ。
これだけで今日は十分満足出来ただろう。
生前、少年だった頃。
誕生日だからと言って外食に行き、兄弟皆同じものを食べ、兄弟皆パフェを食べた。
確かにいつもより贅沢な食事だったと思う。
が、これじゃ誰が誕生日か分からないではないか。
そんな理由で泣き出し親を困らせてしまった事を思い出した。
僕はただ特別になりたかっただけだ。
豪華な料理なんて要らなかった。
少しだけ皆と差別化して欲しかったのだ。
そういう事を知っているのかどうかは分からないが。
リン・アース・ロード。
ホントに出来た姉を持ったものだと思う。
「セレン、鳥、来たよ」
「ありがとう」
ジュースのやりとりをしている間にアリシアが鳥を取り分けてくれていた。
僕の取り皿には一番大きくて食べやすい部位が盛られていた。
姉にも同じように反対側の部位を渡していたが、そちらには飾り付けを少し控えめにして、全体的な量も減らしている。
年頃が不安定な今の僕の年齢だと、人の持っているものが欲しくなったりするものだ。
アリシアもまたその辺の事を理解しているのだと思う。
素晴らしい気遣い。
子供が好きなのだろうか。
そしてアリシア姫はいつも麗しい。
僕に視線がやたら集まる。
僕が食べないと皆が食べれないって雰囲気だ。
そんなにプレッシャーは無いのだが、そんな雰囲気だ。
特に姉の目線が厳しい・・・と、思ったがそうでもない。
あぁ、姉は好きな物は最後に食べるタイプだったな。
実はジュースで少し腹が溜まってたりする。
まだ2歳だからな。
タンクが小さいのだ。
いいリアクションが出来るか少し心配だ。
僕は小さな手で大きな肉の骨の部分を掴み、小さな口を大きく開けて肉にかぶりつき小さな歯形を残した。
柔らかい。
薪でじっくり焼かれて、表面はコンガリ、中はジューシーに焼けている。
味付けは塩だけかと思ったがどうやらそれだけではないみたいだ。
隠し味だろうか。
なんの味付けか分からない。
とりあえず美味しい。
僕もある程度料理はするが、とてもコレには敵わないだろう。
「んーんー!!」
口いっぱいに幸せが詰まっているため「おいしい」と言いたいのだがうまく言葉が発せれない。
が、僕の表情やニュアンスで美味しいという意図は伝わったようだ。
人類は今、言葉の壁を超えたのだ。
姉はまた僕の顔を見てとても喜んでいる。
兄弟だから特に何も思わないが、彼女が赤の他人なら僕はどう思っているだろうか。
男子にモテたりするんだろうか?
相手はきっと幸せになれると思う。
気持ち悪いからコレ以上は想像やめとこう。
あ。
僕は閃いた。
アリシアはまだ腹6分と言った所だろう。
おそらくカシナのジュースも飲みたいに違いない。
僕はあくまでも良心を持ってしてアリシアに声をかけた。
「シアネェ、一口あげる」
僕は、姉によってジュースが少し満たされたコップを彼女に差し出した。
姉もアリシアがカシナのジュースを飲んだ感想を聞きたそうだ。
「あら、セレン君優しいのね。じゃぁ一口もらおうかな」
一口じゃ飲めない量をコップに残し、一口どう?と言うのがポイントだ。
でもそれは、おいしいジュースを彼女に飲んでもらいたいからであるし、最後の一口を残して一口どうぞと言うのもおかしな話であるからである。
やましくない。
「ん・・・ん・・・あぁ美味しい!はい!ありがとセレン君。リンちゃんもありがとね!」
僕は見ていた。
コップの淵を。
彼女がコップの何処に口を付けたのかを。
僕はしっかり見ていたのである。
そして彼女はその場所を。
何故か僕の目の前になるようコップを返してくれたのだ。
間接キスを意識していると言わんばかりに。
僕の中で妄想が広がってしまう。
抑えるんだ。
感情を。
あれからある程度感情のコントロールも出来る様になった。
まだ油断は出来ないが。
整理しよう。
1、無意識でやっている。
1番可能性が高い。
2、わざと僕に間接キスさせようとしている。
俺の事絶対好きだろ。
惚れてまうやろ。
3、わざと僕に間接キスさせようとしている。
俺の事絶対好きだろ。
惚れてまうやろ。
こうなってしまってはもう、飲む時にコップを回して飲んでも逆に不自然だ。
そうだよな。
だよな。
そして、アリシアから返却されたジュースをすぐにまた飲むのも変だ。
そう思う。
しばらく放置。
それがセオリーだ。
無心になるのだセレン。
お前ならやれる。
不自然じゃないよう、クールに振る舞うのだ。
母親を見てみると、準備やら僕の面倒を見たりやらであんまり料理を味わえていないように感じる。
それもボチボチ一段落したようだ。
母もようやく鳥に手をつけれた。
パクリと一口。
「んー、美味しいわね!」
一口食べて、少し目を丸くし、姉を見た。
「ちょうどカシナの実を集めてた時に見つけたんだっけ?よく見つけれたわね」
「そうだよ!見つけてね。そーっと近づいてね、こうやってね、こう!」
どこぞの名探偵も言っていた。
真実はいつも一つ。
ほぼ間違いないだろう。
姉はこの鳥を仕留めている。
それも木の棒で。
はぁ。
そんなことあるのかね?
出来た姉をもったものだ。
「結構簡単だったよ」
世界は残酷なのだ。
僕は改めて知った。
この辺の田舎はこれが普通なのだろう。
「お父さんみたいには出来なかったけど」
ほう。
父親は居るには居るようだ。
その事は以前から気になっていたが、タイミングが無かった。
どうやらそのタイミングが来たらしい。
さて。
父親が今何処で何をしているのかが知りたいのだが、どうやって誘導しよう。
あまりガッツキながら聞くのも変か?
興味無いけど知らないから聞いたみたいにすれば自然か?
時間を開けて聞けばそれこそ不自然になる。
なるべく早いタイミングで、余裕を持ってかつ自然に聞かねば。
何かしながら聞くのがいいかもしれない。
無意識にコップに手が伸びた。
そうだな。
何か飲みながら聞けば不自然ではないような気がする。
少し自信無いが。
というのも実は最近何が自然で不自然か分からなくなっている。
2歳だった経験の記憶とか無いし。
まぁ大丈夫だろう。
ジュースを飲もうとしてコップに口をつけた。
ん?
少し甘酸っぱい、ヌルッとした感じがある。
あ。
忘れていた。
間接キスのヤツだ。
僕はコップに口をつけた後、不自然に一時停止してしまった。
これはジュースの味では無い。
恋の味か。
僕コップを少しだけ遠ざけ、口をつけた所をじっと見た。
あ、これも悪手だ。
不自然だ。
コップに口紅のあととかは無いのだが、さっきガッツリ見ていた木目の場所からして間違い無いだろう。
僕は大人の階段を登ったようだ。
まぁ誰も見ていないだろう。
と、たかを括っていると、横から視線を感じた。
ヤバイ。
これはやってしまったヤツだ。
じわり、じわりと、コップのフチから姫の座っているであろう席に目をやる。
アリシアと目線が合ってしまった。
やたらニヤリとしている。
かわいい。
おそらく不自然に一時停止してからの一連の流れを全部見られているだろう。
そして僕はまたじわりじわりと誰もいない方に目線を動かした。
アリシアは、僕が目線を晒した事をどう思ったのか、目を細くすぼめ、少し口を尖らし、指でほっぺを突ついてきたのが横目で見えた。
そして指でつつかれた。
痛気持ちいい。
しかしなんだ。
アリシアは間接キスされて嬉しそうだ。
プロポーズか?
ごめんよアリシア。
僕はまだ子供を産ませれる体じゃないんだ。
準備が出来たら迎えに行くよ。
僕は困ったようなハニカミ顔でまた彼女を見た。
彼女は何かを見つけたかの様なニヤリ顔の笑顔を浮かべてまだこちらを見ていた。
いかん。
誤魔化さねば。
「あー、お父さん?って?」
とっさに精神攻撃魔法を放った。
本意では無いが、父親の事も聞きたいし、アリシア姫のハニートラップを誤魔化す為にもまぁ丁度いいだろう。
「お父さんはね・・・、お父さんよ」
母に、あのねあのねと武勇伝を語っていた姉が、答えではないだろう答えを答えた。
アリシアは、少ししてやられたと言ったようなニヤリ顔に代わり、何事もなかったようにまたニコリと笑った。
そして。
お母の父さんという言葉で笑顔が無くなった。
「お父さんはねぇ・・・」
母が返答に少し困っている。
これが精神攻撃魔法の効果である。
ふう。
またいくつかの攻撃魔法を使って情報を集めた。
ある程度状況が把握出来た。
ついでにアリシアの母親と父親の情報も得ることが出来た。
僕がアリシアの体を最初にチュパチュパしたあの日。
僕の父とアリシアの両親の3人は、戦争に向かったそうだ。
姉と母は、幼い僕をアリシアに預けて3人を見送りに行ったそうのだ。
それで思ったより帰りが遅くなってしまった為、宿で一泊してから帰って来たのだとか。
そんな感じで合っていると思う。
母は大丈夫だと言う。
僕に言い聞かせてきてくれた。
にしても父親が不在ならば、父親の話題を普段からしておくべきだ。
当然ながら僕に父親が居るという実感が全く湧いていないからだ。
そうするべきだ。
そうするべきではあるが、それは当事者の気持ちになってみないと何とも言えないのかもしれない。
母親も不安なのだろうか。
もし父が返ってこなかったら、最初から居ないものだとしていた方が良かったと判断したのか。
母が何を思っていたのか、さすがに聞けない。
「お父さんは元気で帰ってくるから、大丈夫よ!大丈夫。大丈夫。ね、ほら元気出して」
母は僕にそう言い聞かせてくれた。
僕は全然心配していない。
ほぼ他人だからな。
むしろ母を心配しているのだ。
僕には、母の言う大丈夫を聞く度。
母が自分に言い聞かせいるようにしか聞こえなかった。
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