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コインホルダー 〜異世界で生きるガチなヤツ〜  作者: ノープラン
第一章 プロローグ
24/44

第24話 大人の階段 僕の正体とカウントダウン



 「ナニモノ?」



 2人には見えない場所に連れられて、小さな声で問い詰められている訳だが・・・とりあえずとぼけてみる。

 この感じだと、僕の事がバレていると思われる。

 焦るな。

 ここでボロが出れば取り返しが付かなくなる気がする。

 が、伊達におじさんではないのだ。

 一応ある程度は冷静に対応できると・・・と思う。



 「・・・とぼけないでねって言ったよね?」



 えーっと、どうしよ。



 「お姉ちゃん、可愛いね。」



 「・・・。」



 ダメか。

 んー・・・。



 「・・・ふっふっふ。バレてしまっては仕方がない。僕は・・・えーっと、正義の心を持った影の勇者セ・・・。」



 「真面目にやってよね。」



 どうすりゃいいのこれ。

 あ、そうだ。



 「・・・何で・・・そう思うの?」



 ・・・うん。

 そして冗談の通じない子だ。

 僕が何者かって?

 具体的に何を根拠にそう思って言っているんだろうね。



 「んー・・・。分かった。そうよね。・・・実は、私もアリシアや皆に秘密があるの。あんまり言いたくは無いんだけど、それを言わなきゃ説明出来ないし・・・、取り返しの付かない事になるかもだし。」



 「はぁ。」



 「・・・まず私は特異体質で、集中して触れればその人とどんな精霊がついているか分かるの。コレはアリシアも知ってるわ。」



 「・・・。」



 へぇ。

 そんな特殊能力的なのがあるのか。

 インチキじゃないの?

 前世でも霊能力者とか居たしな。



 「そしてここからは秘密にしててね。私は精霊を見るとき、その人の記憶の断片が少し見えたり聞こえたりするの。黙って見ちゃった事は謝るわ。でも今までは問題無かったから今回も大丈夫だと・・・。でも貴方の記憶は明らかに変よ。アレは何?何処から来たの?」



 「へぇ。」



 「・・・アリシア繋がりじゃなければ気にもしないけどさ、アリシアが関わっているのなら話は別よ。その・・・変だと思われてもいい。貴方は大人だわ。どうなの?」



 僕は少年の心は忘れないよ!

 とか言って誤魔化そうとしたけど無理そうだ。

 この子の真剣な眼差しを受け流す事は出来ない。

 何か確信に至るものがあるのだろう。

 実際当たってるしな。

 さて・・・どなるか・・・。

 逆を返せば僕も色々と情報が集まって好都合なのかもな。

 うん。

 大丈夫な気がして来た。



 「・・・分かった。どこで話そうか。ここで?」



 「!!・・・あぁ・・・そうね・・・そうか・・・。」



 ニアという子はどこか影を落としたかのような表情に変わった。

 どういう意味だ?

 やはり他人の過去が見えてしまっている自分への落胆か、僕が正体不明の少年だったからか。

 まぁいい。



 「正直僕としてもありがたい。この世界に来てからは戸惑いが多くて困ってたんだ。そういう人多いのかな。特異体質とは・・・。」



 「・・・多くはないわ。それに人それぞれだから、簡単には貴方の正体はバレないとは思うけど・・・。」



 「色々あるんだね。」



 「・・・。」



 「ここじゃ長々と話も出来ないだろうけど、どうする?」



 「あーっと、そうね・・・分かったわ。貴方・・・セレンだっけ。アリシアと一緒に寝泊まりしてるのよね。アリシアが話してたわ。」



 「そだね。場所とか分かるの?」



 「場所ならアリシアに直接聞くわ。・・・そうね。今夜遊びに行く流れで一緒に泊ろうって話してみるから。そしたら夜中皆が寝た後外で話しましょう。」



 行動力あるなぁ。

 まぁ、好きにやってくれ。

 来ないなら来ないでもいいし。



 「ちなみ、貴方の精霊は土の微精霊だった。」



 「あ、ありがとう。・・・あとさ、僕・・・嘘つくの苦手なんだよね。聞かれたら普通に応えちゃうかも。」



 「それはダメよ!!」



 !?

 そんな怖い顔しなくても。



 「絶対にダメ。後で理由は話すから。絶対よ?」



 「・・・分かった。」



 何だ?分からない。

 脳の処理能力がどんどん低下していくのが分かる。

 考えても仕方がないな。


 そんな僕とは違って ニアは物凄く考えを巡らせているようだ。

 危機迫るというか、青ざめているというか。



 「お姉ちゃん、顔色わるいよ?」



 「分かってるから少し黙ってて。」



 「・・・。」



 僕が何かしただろうか。

 申し訳無さが込み上げてくる。

 僕が・・・何かしただろうか。


 すると彼女は自分の中でなんらかの答えが出たようで動き出した。



 「・・・そうよね。・・・ふぅ。・・・行こうか。」



 彼女は僕の手を取り元の笑顔でアリシア達に合流した。



 「凄いのね。この歳で精霊持ち。土の微精霊だったわよ。」



 「あら、セレン君良かったね。カックイー!・・・でもさっき二人で何してたの?」



 「あぁ、その・・・トイレよ。ほら2人共食べてたし、セレン君がね。」



 「あらそうなの?悪いわね。言ってくれれば私が行ったのに。」



 「ほら、その・・・ライバルの事はチェックしとかないとだしさ。実は子供好きだし。」



 「そうだったんだ。へぇ〜。ニアがねぇ?」



 「何よその目は。失礼ね。シリルもそう思わない?」



 「あら、貴方がアリシア以外の個体に興味を示すのは新事実ね。興味深いわ。今度提出する論文のテーマにしようかしら。」



 シリルは本を読みながら片手間に返事をしている。



 「え、シリルまで。ひどいなぁ〜。」



 ニアはさっきとは別人のようだ。

 いや、さっきのが別人だったのか。

 ちょっと無理しているように見えるが、大丈夫だろうか。

 それの原因が僕なのだと思う辺りがなんとも言えない。

 一体僕が何をしたというのだろうか。



 「御三方、お揃いでご機嫌麗しゅう。」



 は?

 誰だこの何かをとって貼り付けたようなヤツは。



 「イヤイヤ、御三方のその冷ややかな目。心にグッと刺さるものがございます。」



 「何しに来たのアートニー。」



 ニアがぶっきらぼうにそのアートニーとやらに言葉を放った。

 3人の話に気を取られていたが、廊下の方からこちらを見つけてフラリと男が現れたのだ。

 金髪でカッコいい髪型をしているが、顔をよく見たらそんなにかっこよくない男だ。



 「いや、僕は綺麗な花を愛でに来ただけにございます。そしてアリシア。君は・・・僕が・・・護る。」



 「ん、ありがと。またね!」



 「そんな、淡白な。そして先程の授業から居るそこの少年は一体?」



 「セイレーン君ね。あ、廊下はあっちよ?アートニー。」



 「え?・・・あ、はぃ。あー!廊下はあっちか!!ありがとうアリシア。じゃぁまた!!さらばだセイレーン!!」



 ・・・何だ?いつもこんな感じなのか?



 「相変わらずバカなのね。けどあぁ見えて戦闘実技の成績がかなり上位なのは違和感でしかないわ。正直羨ましいわ。」



 「この前の模擬戦の時の成績何位だっけ?」



 「・・・何位だったの?」



 「確か3位よ。コーガが1位だったかしら。」



 「コーガねぇ〜。アイツ知ってた?いつも城の上の屋根で寝ながら授業サボってるのよ?」



 「2人とも黙ってればいい男ってウワサだけど、どちらにせよ私はパスね。何も感じないわ。」



 「シリルは厳しいねぇ。ねぇアリシア。貴方のタイプな男の人ってどんな人なの?」



 「え?何?私?えー。そうだなぁ。じゃぁ・・・年上で護ってくれる人かな?」



 「アートニーじゃん。」



 「そ・・・そういう事なの?確かに少し年上だったかしら。さっき護るって言ってたし。まさか・・・アリシアあなた・・・。」



 「違う!!違う違う違う違う!!えーっと・・・分かんない・・・かな。ハハハ。じゃぁ、セレン君で。」



 じゃぁってなんだよ、じゃぁって。

 ・・・この陽気な会話に調子が狂う。



 「あ、ずるーい。」



 「そ、そういう事なの!?」



 「シリル・・・冗談だって。」



 ・・・普段なら冗談混じりで返事をしたい所だが、さっき変な話をしたばかりだ。

 とてもそんな気にはなれない。

 ニアはよくもまぁ明るく振る舞えるもんだ。

 いや、僕が重く捉え過ぎてるだけか?

 まぁ。

 3人仲が良さそうで何よりだ。



 ーーー



 それから3日後、日の暮れる前にニアが遊びに来た。



 「じゃぁ、私は仕事行ってくるから。今日も宜しくね。ニアちゃんも今日は来てくれて助かるわ。」



 母はいつものように夜の仕事へ。

 水商売ではない。

 この安息地、城都ハロルでは常時警戒体制が敷かれているそうだ。

 実感は沸かないが。

 実感が湧かないのも母や父が陰ながら頑張ってくれている成果なのだろう。


 中には孤児な子供達や、明食の被害にあった人達の手当て、城壁の外の警戒等、常に人手不足なのだそうだ。


 実際のところは魔獣の警戒もあるだろうが、何年か前に、隣の国の難民が徒を組んで攻め込んできたことがあるらしく、僕らの居る南門周辺ではなく、国境側になる北門を中心に警戒しているらしいのだ。

 母は病人の世話や、ボランティア的な父母会などでいつも引っ張りだこなのだそうだ。

 しかも24時間体制を3交代で維持しているらしく、ここに来てからは母と生活しているという感覚は無い。


 隣の家の家族はそうでもないようなので、母だけが特別なのかもしれない。

 アリシアは社会人にはなるけれど、まだ特別学生扱いなのだそうで、母程忙しくはしてなく、決まった時間に職場や学校に行き、決まった時間に帰ってくる。

 まだ新人扱いで本格参入してないのかな?

 多分まだ学生の延長みたいなものなのだろう。


 ニアも特別学生の一人で、将来を有望視されているって話だ。

 特異体質絡みな気がするが、そこはあまり触れないようにしている。

 なんとなくだが。



 「お構いなく。楽しみで来ましたから。」



 「アリシアちゃんも寂しいだろうし、毎回お願いしちゃおうかしら。なーんてね。冗談よ!ゆっくりしてってね。」



 ニアと母は知り合いのようだ。

 まぁ不思議ではない。


 そんなこんなで夕食を済ませ、3人で就寝する事になった。

 3人でだ。

 ここ1週間、リンを見ていないのだ。

 そのせいでアリシアと最近行動を共にすることが多いのだが・・・姉は何をしている?

 聞いても仕方がないと思いつつも、姉の事を聞くタイミングを逃してしまっている自分が居る。

 ・・・まぁ、母やアリシアの表情を見るに大丈夫なんだろう。

 僕が気にすることではない。

 今はニアだ。

 さて。

 どうなるか・・・。



 ーーー



 僕はいつものように真夜中ムックと起き上がった。

 彼女はここに来るとは言っていたが、それからどうするかを詳しく話してはいない。

 僕もアリシアに不自然と思われないように集中というか、なるべくその事は考えないようにしていた。

 だがアリシアが寝静まった今、考える時だ。


 ・・・さて。

 どうするか。


 ニアまでもが寝静まってしまっている。

 この女、何しに来たんだ?


 ちょ待てよ?

 コレは合法セクハラし放題ではないか?

 アリシアには毎回癒されてはいるが、こういうシチュエーションはいろんな意味でドキドキする。


 アリシアはどうだ?

 ・・・寝ている。

 肌けた肌が相変わらずエロい。

 そして二人は僕を挟んで寝ている訳だが、ニアもなかなかに無防備だ。

 僕が大人って忘れたのか?

 ニアの胸は大人しめで頑張れば谷間が出来るって感じなのだが、谷間というかもはや先っぽが見えそうだ。

 パンツも普通に見えている。

 そういうのは見えないからこそいいのだが、この子は分かっていない。

 説教せねばなるまいか。

 正直エロくない。


 僕は彼女を犯すため。

 あ、間違えた。

 起こす為、おでこをツンツンと指で突いた。


 ・・・起きない。

 この子・・・いや、ダメだ。

 でもまぁ純粋無垢な少女だろうし、流石にそんな事はしない。

 アリシアは同意の上で色々あれだが。


 強めに肩を揺すってみるが、彼女はムニャムニャと言って幸せそうだ。



 「アリシア・・・ちょっとこっち来いよ・・・。むにゃむにゃ・・・。」



 この変態女が。

 さっき純粋無垢とか思ったけど撤回するわ。

 大人の前で無防備になるとどうなるか教えてやるか。

 僕はこの子を変態認定したその瞬間からスイッチが入ってしまった。

 コリコリコリ。



 「あぁん。アリシア。・・・もっと。」



 はいはい。

 モミモミモミ。

 ツンツンツン。

 ニアはクネクネ気持ち良さそうな顔をしている。

 お客さん、気持ちいいですか〜?


 はぁ。

 そろそろ起なさい。

 時間ですよ。

 実はさっきまでギリギリ起きない程度に気を遣っていたが、そろそろ時間的にも起こした方が良さそうだ。

 肩を叩いたり揺すったり。



 あ、起きた。

 と、思ったら体を引き寄せられてギュッてされた。

 確かに夕食の時の話は皆で盛り上がったし、楽しかったけど、こんなに好意を抱かれる程なものだったか?

 女心は分からんが・・・。



 「あったかい。ちょっとこうしててもいい?」



 「まぁ、いいけど。」



 断る理由も無い。

 まぁ、誰にでも人肌恋しい時もあるからな。



 「ねぇ、あなた大人なんでしょ?」



 こんな所で喋って大丈夫か?

 と、思ったが多分アリシアは起きない。

 アリシアは寝るのも早いくて起きるのも早い。

 そして途中起きたことが一回もない。

 規則正しいのよね。



 「大人だけど・・・子供かもね。」



 「何よそれ。・・・ねぇ、さっき何してたの?私に。」



 「ん?ばれた?」



 「・・・もうしないの?」



 「して欲しいの?」



 「ん〜。信じてもらえないと思うけど、私あなたのこと結構好きよ?」



 「ん?ありがとう。でも言っとくけどね。その格好でかわいい君がそんな事言ったら襲われても文句言えんよ。」




 エロくはなかったけど普通にエロいし、可愛いのは本心だし、まぁ、難しい所だ。

 しかしなんだ、適当に返したが、好きと言われて嬉しいの前に疑問が浮かんだ。

 ライクなのかラブなのか、それにこのくらいの子は純粋に性とかにも興味あるんだと思う。

 そんなに僕のいたずらが気持ちよかったのか?

 たいしたことやっとらんぞ?



 「ねぇセレン君・・・。」



 「ん?」



 「・・・。」



 「・・・。」



 「・・・。」



 女の人ってずるいよな。

 同意の上だとしても、大体自分が不利になる事は言わない。

 決定的発言はしない。

 相手に言わせて自分が有利になるように仕向ける。

 いいの?と言って、いいよとは言わない事が多い。


 今回もそのパターンだろう。

 時間にして5分か10分か。

 まぁ、単純な動きの連続だからな。

 下着の上から色々やってビクンビクンと痙攣させてやるところまでやってやった。

 まぁ、慣れたもんだ。

 力の加減が難しかったが、まぁ彼女も経験が浅いからか、感じやすいのだろう。



 「ハァハァ。」



 彼女あれから言葉を口にしておらず放心状態だ。

 彼女もまた大人の階段を登ったようだ。

 まぁ僕が登らせた訳だがな。

 歴代の彼女数人と嫁から金取れるって言わせた技だ。

 蝶々結びは出来ないけど、コレなら出来る。

 まぁ腕も鈍ってはいなさそうだ。

 息子の方はまだ小さくて使い物にならないからな。

 僕の方としてはフラストレーションが溜まって仕方がない。

 子供は辛いぜ。

 次から金取ろうかな。


 そしてアリシアもそうだが、この世界の人間は死を間近に感じているからか、生に対しても性に対しても貪欲な気がする。

 いい事だと思う。

 正しい知識が無いと恋愛も子供も結婚生活も上手く行かないからな。

 知識欲や興味を抱く事はいい事だと真面目に思うが。

 奥手な方が評価されていた前世な気もするが、そっちの方は生物として欠陥ではなかろうか。


 ・・・というか、彼女にとっては刺激が強過ぎたか。

 でもそんなに時間かけてる暇ないしな。

 んー、どうするのが正解なんだ?


 ん、彼女も少し落ち着いて来たようだ。

 さて。

 そろそろか。



 「外行こうか。」



 「え?外でも?」



 「いや、話せないでしょ?」



 「あぁ・・・そうか。」



 我ながらとんでもない事をしているなとも思ったが、まぁ彼女の方から求めて来たんだ。

 文句言われる筋合いは無い。

 しかも少し残念そうにしてるし、まぁ問題無いだろう。



 彼女が来なかった数日間、一応準備はしてみた。

 まだ風は冷たいし、ある程度声を出して会話しても外に漏れないようにするにはどうしたらいいか。

 同時にそんな場所を用意しても不自然では無いようにするにはどうしたらいいか。


 結論から言うと穴を掘った訳だが、父が実家で掘ったような洞窟みたいなものじゃなく、大きな岩をどけた跡のような、なるべく自然な雰囲気の窪みの様な場所を作った。

 上に木の枝や葉っぱを被せれば秘密基地兼、落とし穴の完成だ。

 中は案外暖かく、4人入っても大丈夫な広さはある。

 深さは大人が正座して頭が出ない程度、僕が立っても頭が出ない程度だ。

 穴を掘る事は楽しかった。

 筋トレにもなるし、汗をかくってのがまた楽しい。

 ドワーフの血が騒ぐのかもな。

 正直かなり大変だったが。



 僕は外は少し寒いからと言って上着を羽織る様に言ったが、ニアは大丈夫だと言う。

 まぁ、好きにすればいいと思いつつ、僕は上着と毛布を一つ両手に持ち外へと出た。



 「ここ。」



 僕は前もって掘って木を置き、座れる場所を用意していた。

 あえて横並びに座る様にしてある。

 人は対面したら意見も対立するらしいからな。

 逆に横並びだと共感を得られやすいとかだったか。

 まぁ、一応そういうにわかな意図がある。



 「へぇ〜。いいね。ここ。」



 「頑張って掘ったんだよ。ドワーフだし。」



 「へぇ〜。」



 興味が無さそうだ。

 まぁ、女が穴を掘る事に興味は無いか。

 腐女子でもなかろうし。



 「・・・。」



 「・・・。」



 僕から特に喋る事はない。

 さっきのは気持ちよかった?

 とか聞くのも変だろう。

 一応時間はある程度ある。

 僕は彼女が口を開くのを待った。



 「・・・、色々調べたんだけどさ。魔族の生まれ変わり・・・じゃぁ無いよね。」



 「違うね。」



 「ホビット族の病気の一種で、もうこれ以上成長しないとか?」



 「それも違う。さっきドワーフって言った。」



 「・・・じゃぁ、元大賢者で、若い体に転生させたとか・・・は?」



 「・・・。」



 「まぁ、違うよね。」



 「・・・。」



 「じゃぁ・・・。全く違う世界からやって来て、この世界に赤ん坊の頃から生活してる・・・とかは?」



 「・・・。」



 僕が無言でコクリと頷くと、楽観視していた彼女の顔色がまたこの前のように悪くなった。



 「それはね。世間一般で、異転者って呼ばれているわ。まさかアリシアの近くに居たなんて・・・。」



 彼女の言葉もそうだが、彼女の仕草、声質、雰囲気。

 ある程度察しが付いた。

 僕は異端者で、この世界から歓迎されていない存在なのだと察した。

 その理由は分からないが。



 「あまりいい事じゃなさそうだね。」



 「そうね。異転者に対して昔から災いの元になると言い伝えられて来たの。今回の件でまた少し調べて来たんだけど。」



 はぁ。

 僕の胸が急に窮屈になり、押し留められ、自由を失った気がした。

 絶望を覚悟する準備が必要か・・・。



 「北と南、東と西の国で色々言い伝えが違うんだけど。この国では異転者は災いを招き、辺りの人間を洗脳し、世界を滅ぼすとされているわ。」



 「まさか。」



 「貴方が成長したらどうなるかは分からないけれど、異転者だとバレれば問答無用で処刑される。」



 あぁ・・・。





 ある程度死ぬ事は常に覚悟していたつもりだが、・・・正直辛い。

 俺の人生終わったのか。

 まぁ、拾った命だ。

 色々と目標立てて頑張ろうとかは思ってたけど仕方がない。

 迷惑にならないようにしないとな。



 「そ・・・それでさぁ。」



 彼女はボロボロと崩壊するかの如く泣き出した。



 「多分・・・アリシアも処刑されちゃう。・・・そして私も・・・貴方に関わった人皆・・・処刑されちゃうの!!」



 「え!?なんで?」



 最悪を想定していた筈が、更にその最悪を突き抜けてしまった。

 血の気が引いていくのが分かる。

 少し考えて冷静になったかと思えば余計に頭がグラグラしてきた。


 一晩じゃ時間が足りない。


 息をしろ息を。

 呼吸が出来ない。

 考える事が出来ない。

 どうすればいいかをどう考えればいいかも分からない。


 僕は一瞬フラッと倒れたが、すぐに立ち上がる事が出来た。


 まず受け入れろ。

 全員死ぬ事を。


 ・・・、出来るわけがない。

 でも受け入れなければ冷静に判断出来ない。


 落ち着け。

 まずは呼吸せねば。

 呼吸を整えるんだ。

 吸って、吐いて。



 「私が死ぬのはまぁ、いいんだけどさ。アリシアが死んじゃうのは・・・。」



 「・・・。」



 落ち着け落ち着け。

 理解が追いつかなくて涙すら出ない。

 目の前が真っ白に何度も何度もなった。

 膝が震えて立ってられない。

 何なんだ。

 くそ。

 俺が何したって言うんだ。



 「そうよね。そんな決まりがあるのがおかしいよね。でも昔からある掟なんだ。これは多分変えられない。8歳になったら学校の入学式に極識眼持ちの人が何人か来てね。そこで多分バレちゃうと思う。」



 「学校に行かなければいいとかじゃ・・・ないんだね。」



 何とか言葉を振り絞れた。



 「そうね。学校に行けない子は後日町ごとで見られる。異転者を逃さない為らしいわ。」



 ニアの言葉からは全てを諦めているのが伝わって来る。



 「普通にやってても逃げられないって事か。」



 「そうね。」



 ・・・。

 しばらくニアと距離を置いて座り、考えた。

 何処から考えていいのかも分からず、死の恐怖すらない。

 しばらく黙って考えて、ふと思った。



 「ん?それはもしかして、ニア姉さんがその極なんとかって眼を持っている人に見られてもまずいの?」



 「そうね。私はもう君が異転者だと分かっちゃったし。見られたらアウトよ。極識眼ね。」



 「マジか。」



 極識眼・・・厄介だな。



 「誰がその眼持ってるの?」



 「精霊騎士団の団長クラスの上位は大体持ってるわ。あとは、先帝賢者の人とか。あとは先天的に特異体質で元々持ってる人達ね。私の知る限りはそんな所よ。」



 「あんまり多くないって事ね?会った事は?」



 「私は無いわ。遠目で見たことくらいはあるけど。」



 「どこで?」



 「終焉祭の祭典の時の開会式とか、表彰式とかね。」



 「アーデールって人は?」



 「あぁ、アリシアの親父さんよね。あの人は師団長だし、かなり強いって話だけど多分持ってないと思う。個人的な情報は伏せられているから持っててもおかしくないけど。」



 「離れた所から見られてもバレるのかな?」



 「それは分からないわ。」



 「・・・そう。」



 色々と考えを巡らせていたのだろう。

 ニアは僕の質問に被せるように答えた。



 「でも条件があると思う。触れてないとダメとか、血が必要とか。魔術ってそういうの多いから。」



 そうかもしれないが、楽観視は良くないだろう。

 血は違うだろう。

 眼だから見てどうにかするんだろし。

 さて・・・。

 さて・・・。

 どうするか・・・。

 あ、いい事思いついた。



 「だったらさ、僕とニア姉ちゃん・・・。」



 「ニアでいいわ。」



 これが希望の光だ。

 全てが上手くいく。



 「うん。その・・・僕とニアの二人でさ。」



 「うん。」



 「今ここで死ねばいいんじゃないかな?」

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