第22話 自分の中の答えと感謝 精霊覚醒
この世界の夜は相変わらず明るい。
そして星がほとんど見えない。
小便に行くときも外に行くのだし、小便に行っている体で辺りをウロウロしてみた。
けどまぁ足音が結構するので、部屋を出てすぐ近くでは余り激しい事も出来ないなという結論に至ったわけだが、どれだけ離れれば穴を掘る音が聞こえなくなるかが分からない。
んー。
どんな感じでやろうか。
辺りは静かで、部屋の中とは全く違った時間の流れを感じる。
城壁沿いに建ててある簡易所で寝泊まりしてるのだが、城壁を背にして右側にそれがある。
反対側の左側には林が広がっており、実家の裏の林と似たような感じだ。
似たような感じではあるのだが、あまり夜出歩かないのもあってさすがに少し怖い。
「この辺は魔物が出ないらしいからな。大丈夫だろう。」
いざと覚悟を決め林の方に入ってみる。
結論から言うと、そこまで怖くはなかった。
最初は流石に少し怖い感じはしたが、目が慣れて来ると、この林の中がやたら幻想的だと気が付いたからだ。
満月の2倍はあろうかという光が木の葉と葉の間から漏れ、光の柱が何本も数えきらない程立っている。
その光のせいであまり目立たないが、木の麓には青く光る謎のタンポポのような花を咲かせた植物もある。
月の光が当たっている時は普通のタンポポの花に見えるが、手で囲って暗くしてやれば、ぼんやり発光しているのが分かる。
よく辺りを見渡したら、黄色や赤の色で光る植物もチラホラ見えるな。
異世界の植物って事か。
元々植物に詳しいって訳じゃないが、この植物はこの世界特有のもだと流石に分かる。
アリシアもこういう景色は見慣れているのだろうか。
知らないのならこの場所を教えてあげたいな。
危ないよと言われそうだから言わないが。
案外絶景ってのは、下校中の夕暮れだったり、早朝出勤で見る朝日だったりするもんだ。
それに気付けない、余裕のない生活はしたくないよねって話。
その為にも今一時の成長が大事だよねと思う。
僕はしばらくここでボーッとする事にした。
思えば一人でこうして静かな所で思いにふけるのはいつぶりだろうか。
秘密基地、もとい穴を掘って地下室を作ろうという場所はおおよそ目処がついている。
最初は外から林の奥は見えなかったが、中に入って目が慣れてくると、奥の方に少し地面が盛り上がった場所があるのが分る。
近くに大岩がゴロゴロしている場所もあるし、あの辺で適当に横穴を掘れば雨水も入らない地下室を掘り進めれるだろう。
一応今日の目標は様子見だったからな。
今日のノルマはもう既に達成しているのだ。
明日も明後日も時間ならいくらでもある。
焦る必要は無い。
この場所に慣れたいってのと、異世界の花で少しテンションが上がってしまって。
それでちょっと引っかかるところがあるのでしばらくこの辺に留まって考えを巡らせる事にした。
「はぁ・・・。」
ため息が出てしまった。
人前では見せたくないものだ。
僕は一体何故こんな事をしているのだろうか。
僕は異世界のに来て心の底から楽しめたことが無い。
アリシアはもちろん好きだが、生前は嫁が居たからな。
何処かでやはり後ろめたさが抜けない。
家族が全員居なくなってしまったのだ。
僕だけが楽しんではいけないという気がしてならない。
何故こんな事になったのだろうか。
生前は色々と失敗もしたけど、いい目標も見つかって、色々あったけどいいパートナーに恵まれて、幸せな生活を送っていたはずだった。
それなのに・・・。
最近は泣く時も声を出さないで泣けるようになった。
ここでなら・・・。
大丈夫だ。
誰にも見られないで済む。
子供も3人。
上から娘ふたりと、に末っ子の息子がひとり。
3人共に可愛かった。
今頃どうしているだろうか。
僕の記憶が途切れた頃・・・、いや、死んだ時と考えるべきか。
その時は1番下の子がちょうど今の僕くらいだった。
そう思うだけで少し涙が出てきた。
小さな頃は、子供が初めてお使いに行くという番組がとてもつまらなく感じていたが、親になってみればあの番組が反則級に泣ける番組に化けるのだ。
それが解ってからは涙腺が緩くなったものだ。
前世の世界も大変だ。
目に飛び込んでくる物も新しいものばかり。
怖い物も沢山あるし、嫌なことも沢山ある。
親の手を離れて冒険に旅立つのだ。
自分一人では何も出来なかったあの子が・・・。
今頃うちの子達も冒険を済ませ、社会の荒波に揉まれているのだろうか。
死んでから気が付いたらこの世界に居たからな。
どれだけの時間が経過したのかは分からない。
なるべく考えないようにしていたが、この際だ。
色々と整理をつけておこう。
まず、ここは何処なのかだ。
少なくとも僕が生前に居た世界では無いだろう。
さぁ、どう考えるのが正解か。
まぁ今を一生懸命生きるしかないのだが。
丁度座りやすそうな岩を見つけた。
岩の上にも3年っていうしな。
・・・いや、特に意味も無くふと思っただけだけど、僕はのっそりと岩の上によじ登り、座禅を組み目を閉じた。
背筋を伸ばし、鼻から大きく息を吸って口から息を吐く。
ゆっくりゆっくりと、長い時間をかけて。
思えば今までエロイベントのオンパレードだったからな。
雑念しかなかった。
・・・いや、アリシアを雑念とは思いたくないが・・・。
そうだな、超高級な雑念と言っておこうか。
まぁいい。
しかしこの場所は思いの外落ち着く。
まだ誰かに外をうろついているのが見つかって注意されるのではという不安はよぎるが、そのうち慣れてくるだろう。
この世界に居たら自分を見失う事が多々ある。
家族がどうとか、人がどうとか言う前に自分を知る事がまず最初だ。
自分は何者なのか。
自分は何をしたいのか。
自分はどういう人間なのか。
自分は何をするべきなのか。
自分は何が出来るのか。
自分はどう思うべきなのか。
自分はどうあるべきなのか。
自分はどう思われたいのか。
自分はどうなりたいのか。
それらを知る必要がある。
というのも、自分を知るという事が、この世界を知るという事よりも大事だからだ。
それはこの異世界でも元の世界でも変わらない。
自分を知るのは、ある程度この世界を把握出来つつある今がその時だろう。
自分を知ることがどれだけ大事か。
・・・そうだな。
例えばだ。
世界最高の図書館があったとする。
ありとあらゆる書籍が並んでおり、世の中で起きた事がほぼ全て網羅されている場所だ。
そしてその本の内容を全て理解していて、更にはありとあらゆる事を経験し、研究し尽くした寿命が無限にある大賢者の男女が10人居たとしよう。
僕はその人達に対峙しこう問うのだ。
「僕はどうすればいいですか?」
と。
色々と賢者な答えが返ってくるだろう。
全てを理解しているのだから。
その人達の言う事を聞いていれば間違いないと思うだろう。
確かにとても参考になるとは思う。
だが、最終的に決めるのは自分だ。
よく考えてみる事だ。
そんなバカな話はない。
ありとあらゆる本を読破して記憶している?
更にそれを研究し尽くしただと?
そんな人間に聞いて参考になる訳がない。
いわばもうその人達は別の生き物だからだ。
僕にそんな記憶力は無いし、本全てを読破しようという気概も無い。
例えばそうだな。
鳥に飛び方を聞けば、翼をこうやってこうやって飛ぶんだよと。
細かく優しくとても分かりやすく説明してくれるかも知れない。
だが僕には翼がそもそも無いのだ。
参考にはならない。
狼に獲物の捉え方を聞くならば、自慢げに話してくれるだろう。
まず匂いを嗅ぐんだと。
そしておおよその敵の場所を把握したら、群れで連携し、徐々に追い詰めるんだと。
そこで大事な事が一つだけある。
これだけは忘れるなって言われるんだ。
甘いフルーツの香りに騙されるんじゃないぞと。
誰に聞くべきなのか。
まずそれは誰でもなく自分に問い正すべきだ。
他人は自分ではないのだから。
経験上、アドバイスを請い、そしてそれが上手くいかなければその人のせいにして、自分は悪く無いと思ってしまう。
つまり人の言う事を鵜呑みにしただけでは、失敗しても成長出来ないのだ。
せっかく失敗したのに。
もちろん人の言う事を聞くのは悪いことでは無い。
人の言う事を聞いて、自分の中で理解して、自分の責任でもって行動した本気の失敗ならばそれは宝になりうる。
悪い事ではない。
だが、鵜呑みではダメなのだ。
大賢者とは別の生き物だと言ったが、それは身近な隣の友人にでも言える事だ。
他人と自分では違うのだから。
大小違いはあれど、他人と自分では価値観も違うし、親から受け継いだ体や性格も違う。
当然目的地も違えば愛するものも違う。
最初は人の言う事を聞いてればいいと思うが、最終的には自分で自分なりのやり方を見出さなければならない。
少なくとも僕はそうだった。
人の言う事を鵜呑みにして良かった事がない。
人のアドバイスを聞く前に、まず自分を知る事が大事だと。
そういう話だ。
大体の場合、誰かが仮の目的地を設定してくれている。
親だったり、学校の先生だったり。
その人の言う事を聞いていれば大体大丈夫だ。
でも最後にはその仮で設定してくれた目的地を更新し、真の目的地として自分の足で歩まなければならない。
そんな時が必ず来る。
仮で設定してくれた目的地が、自分のやりたい事と一致すれば一番いいんだけどな。
だが、目的地が何処にせよ自分の道は自分で決めるってのが大事だ。
まぁ、この世界で自由が認められているかも分からんけどな。
「フゥーーー。」
息をゆっくり吐く。
月明かりの木陰に隠れた岩の上で座禅を組み目を閉じる。
しかしあのカオスな場所も慣れてしまった。
それもアカミナ達のお陰だろうか。
アカミナ達に虐められるかと思った時はどうなるかと思ったが、まぁこちとら大人だからな。
大したことはない。
相手を理解しようとする気持ちが大事だ。
渡る世間に鬼はなしって言うしな。
鬼と思える人にもにも鬼なりの事情があって、実は鬼じゃないって話だ。
自分の中で勝手にそう思っている。
・・・あのことわざの解釈は合っているのだろうか。
合っていなければ持論になるが・・・。
アカミナ、キエラにミエル。
皆将来楽しみだ。
他にも沢山の子供達が居るのだが、ぱっと見アカミナ達程話せる子供達は居ないと思う。
多分だけど。
正直他の連中にあんまり関わりたくないってのが本音だ。
付き合ってみれば面白いのかもしれないけどな。
せめてもう少し年上なら・・・と、思うのだが、12歳とかの子供になると、また別の場所で勉強やら訓練やらやってるらしい。
よってこのカオス会場で話せる人間は少ないと思う。
まぁ姉とかアカミナにも色々教わってるしな。
現状維持で大丈夫だろう。
姉に僕はどうしたらいいか聞いてみたらどうなるだろうな。
姉に聞けば剣を振りなさいと言うだろうか。
アカミナも同じ回答だろうか。
アリシアに聞けばどうなるだろう。
魔術の練習をした方がいいと言うかもな。
父に聞いたら穴を掘れとか言われるのだろうか。
人それぞれに目的があり、手段、方法、やり方もまた別々だ。
その人達の経験を元にアドバイスをくれる可能性が高い。
正直当たり前の事なのだが、その事が分かっていない人間が多過ぎる気がする。
集団教育の悪しき副産物なのだろうか。
個性を伸ばさず、一定の教育を義務とし押し付ける傾向にあるって事だ。
悪い事だとは言わないが、それが全てだと言うのならそれは違うと言いたい。
そういったしがらみが僕には生前の世界からまとわりついている。
自分を見失わないようにどうしたらいいかが大事になってくるだろう。
あれはこうだ。
こうしなさい。
ああしなさい。
もっとやりたい事を尊重させるべきだ。
そうでなければ、やりたい事を見つけれない、見つけれたとしてもやり方が分からない。
空っぽ。
言われたことしか出来ない機械人間になるのだ。
毎日自分という芯を持ち、誰からも惑わされず。
時には迷う事も、失敗する事も、悩む事も、後悔する事もあるだろう。
その葛藤こそが人生の醍醐味だというのに。
もったいない。
勿論誰かの知恵を借りる事も大事だ。
自分の中だけで完結させようとするとどうしても世界が狭くなるからな。
だが何度も言うが最終的な答えは必ず自分の中にある。
自分で決めなければならない。
ヒントなら外にあると思うが、答えは中にしかないのだ。
その為の瞑想だったりもする。
瞑想の中で自分に問い正し、見つめ直し、自分を再確認する。
「スーーー、ハーーー。」
目を瞑り、息を吸って息を吐く。
時には無心で、時には考えを巡らせて。
今の気温はちょっと肌寒いが、震えるほどでもなく、頭がスッキリして丁度いい。
ある程度この世界のことも把握出来た。
まだまだ不可解な点は多いが。
どうやら僕の性格は生前とあまり変わらないようだ。
無駄に考え過ぎる所は変わってない。
運動能力も生前とさほど変わらないと思う。
まだ4歳だから何とも言えないが。
母や父の血を引いているのだから、父は置いといて、母は成績優秀だったみたいだからな。
その辺は期待できるのかもしれない。
けど実は父の血の方が興味あったりする。
ドワーフの血。
穴を掘るだけに特化したような勝手な印象だが、1ヶ月近くも剣を打ち続けることの出来る体力。
ドワーフにも個人差はあるだろうが、あれはなかなかのものだと思う。
物作りには生前から興味あるからな。
それに特化した種族ってのも面白い。
穴を掘ることだって面白いと思う。
父は結構雑に穴を掘っていたが、壁、床、天井を綺麗にすればいろんな事が出来そうだ。
その流れで秘密基地を手始めに作ろうかって話だけど、僕らしくていいと思う。
しばらくはこの方向でいいだろう。
正直魔術やら剣術やらは興味が薄い。
人と争うのは苦手なのだ。
ある程度自分が見えてきた。
またしばらくしたら軌道修正して目指すべき自分を改めればいいだろう。
自分の事はこれくらいにして、生前の世界がどうなのか気になる。
あっちは今どうなっているのだろうか。
一応、自分が死んでも家族が守られるよう、金銭的な準備はしていた。
むしろ僕が死んだ方が金銭的に裕福な筈だ。
その分を子供達の教育に当ててくれていればいいのだが、まぁ大丈夫だろう。
あの子達はきっと大丈夫だ。
僕の子供達は小さいながらもこの世界の子達と負けず劣らずしっかりとした目をしていた。
自分で考えて、自分で決断をし、失敗を恐れず、失敗しても人のせいにせず、次をどうしたらいいか考える。
事ある毎に面白おかしく、時には真面目に例えを交えながらそういう事を伝えていた。
子供達の力を信じ、なるべく自由に、時には厳しく。
嫁も色々とあったが、人一倍頑張り屋だった。
僕が居なくなって、より一層頑張ってくれるタイプだと思う。
頑張り過ぎて体を壊さないかが心配ではあるが、それはまた本人が気が付いて改善すべき事だろう。
周りにも頼れる人間が居たし・・・。
そうだな。
子供の成長が見たいとか、孫の顔が見たいとか、言い出したらキリがないが、前世の世界に未練は無い。
そういう事にしとこう。
未練は無いという事にしたとしてもだ、忘れる訳にはいかない。
せっかく記憶を引き継いで転生してきたのだ。
生前の家族に恥じないような生き方をせねばなるまい。
そして僕は・・・そうだな。
感謝の気持ちを忘れないようにしよう。
生前の家族を守ってきた自負はある。
死んでからも残した財産で守れている筈だ。
家族からは感謝してくれていると思いたい。
そして、それ以上に僕は家族に感謝しているという事だ。
家族が居なければ今の僕はおらず、腐っていた事だろう。
それを僕は忘れてはならない。
家族の為に。
だがそれは同時に自分為でもあるのだ。
その事を忘れてはならない。
親切や人を助ける事も同じ。
人の為にではなく、自分の為にやるべきだ。
傲慢にならない為にも。
ちなみに僕の中で、人の為にやる親切は偽善だ。
何にしても、親切は自分の為にするべきだと思っている。
まぁいい。
とにかくだ。
生前の家族達よ。
ありがとう。
ありがとう。
僕に関わってくれている。
関わってくれた人に心を込めて。
「・・・・・・!!」
何だ?
僕じゃない。
何かが聞こえた気がする。
気のせいか?
周りに誰かが居るのかと辺りを見渡したが誰も居ない。
なんだ?
声が風に乗って聞こえて来たのか?
どうだろう。
この世界では精霊やら魔術の世界だ。
幽霊とかが居てもおかしくない。
幽霊か?
いや、今のが精霊か?
まぁいい・・・
「・・・!!」
また聞こえた。
やはり気のせいでは無い。
前世の世界では気のせいだで済ませていたが、この世界ではそうもいくまい。
どうしたものか。
しかしあれだな。
元々幽霊とかは怖くないのだが、まぁやっぱり全く怖くない。
むしろ不思議と懐かしい感覚さえ覚える。
・・・もう聞こえない。
何だったんだ今の。
前にもこういうのあった気がするが、・・・まぁいいか。
僕はしばらく何も考えずに心を落ち着かせ、またアリシア達の所へ戻る事にした。
外に出てからどれだけの時間が経っただろう。
感覚的には3時間とか経っている気がするんだけど、実際30分しか経ってないとかかもな。
今の所、時計を見たこと無いこの世界で、太陽を見ずに時間を測るのは難儀だ。
あぁ、月で見ればいいのかな。
夜の経過時間は。
なる程。
とか思いながらアリシア達が寝ている簡易所に戻って来た。
アリシアは毛布で体を包み横向きで寝ている。
寝顔が可愛い。
リンはというと寒くないのか、また毛布を蹴散らし隅の方で丸まっている。
大丈夫なのかと体を触ってみると、だいぶ手足が冷たいのが分かる。
風邪ひくぞ。
僕ももう4歳だ。
ある程度の力はある。
そして僕の体質的に冬は手が暖かく、夏はひんやりっていう、謎体質。
流石に外に出ていたのもあってまだ手は冷たいがじきに暖かくなるだろう。
出来ればこの子達の体を温めてあげたい。
ちなみに謎体質の他にショートスリーパー的な症状も生前から受け継いでいる。
生前は3時間も寝れば十分だったが、この体は今のところ7時間寝れば大丈夫だ。
7時間と言えば子供にしては短い方だろうし、大人になれば3時間睡眠で普通に生活出来そうな気がする。
成長期にしっかり寝ないと背が伸びないとかあるとは思うが、元々ドワーフの血でそんなに大きくはならないのだから正直そこまで重要視はしていない。
ちなみにこの世界の人間は大体太陽が沈めば寝る支度をし、太陽が上がれば起きる感じだ。
都会では違うのかもしれんが、我が家ではそうだった。
って事で大人でも10時間以上寝るのが普通っぽいからな。
その中で7時間睡眠は大人と比較しても短い方だろう。
そして夜中寝れずに暇だろうからと考えたのが穴掘り計画だ。
ふと横を見てみれば毛布で丸まっているのにもかかわらずアリシアが寒そうにしていた。
触ってみるとやはり手と足の先がだいぶ冷たい。
リンは毛布を掛けていなかったから冷たいのは分かるが、アリシアは毛布でくるまってても冷たい。
冷え性か。
背中とか首元とかから冷えているのだろうか。
本当は背中から体全体をギュッとエロい感じで温めてあげたいのだが、まだまだ体が小さいのでやはり厳しい。
色々と試行錯誤したのだが、リンとアリシアを横並びにしてふたりに僕の毛布が掛かるようにした。
僕はどうしようかと考えて、二人の間に入って寝ようかとも思ったが、アリシアはいいとしてリンと抱き合って寝るのは生理的に受け付けない。
まぁ、リンは普通に美人だとは思うのだが、姉だからか何故か生理的に受け付けない。
色々と考えていたらいつの間にか姉がアリシアの足に抱きついている。
羨ましい感じに。
まぁこれでお互いに暖かいだろう。
2人共年上なのだが、生前からしたら子供のようなものであるからして、どうしても保護者目線が抜けない。
複雑な気分だ。
僕は、2人はもう寒さ対策もしたし大丈夫だと踏んで寝る事にした。
僕が何をせずとも最初から大丈夫なのかもけどな。
大きなお世話なのかもけどな。
まぁ自己満足だ。
さてと。
どこで寝るか。
んー、アリシアの手にでも抱きついて寝るか。
結構冷たかったし。
僕はもぞもぞと毛布の中に入り、アリシアの手を取りギュッと温めながら目を閉じた。
うん。
やはり寝れない。
しかしさっきの声・・・。
幽霊とか精霊の類だよな。
俺にもそんな精霊の声が聞こえるとかの体質があるって事だろうか。
僕は手のひらを大きく広げたまま天井へ突き出した。
大きく広げた手はとても小さかった。
この手で何が出来るというのだろうか。
無力だ。
この手が大きくなれば何でも出来ると?
いや、違う。
違う違う。
手の大きさは関係ない。
やりやすいかやりにくいかの差だけだ。
出来ないと思いやらないだけだ。
やるか、やらないか。
そう。
やれば出来る。
そう。
ヤれば出来るんだ。
・・・アリシアもいいけど、ミエルとかも大きくなったらどんな子になるのだろうか。
何気に好きかもなぁ。
まぁ、アカミナもキエラも普通に好きだけどな。
男の本能ってヤツだ。
それにしてもアレだな。
子供って大変だ。




