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コインホルダー 〜異世界で生きるガチなヤツ〜  作者: ノープラン
第一章 プロローグ
21/44

第21話 友達と恋愛の境界線 子供達の過去と秘密基地


 アリシアの卒業報告の会食からしばらく経った。

 あの日からの一日のルーティンは単調で、朝起きて飯食ってカオス広場行って飯食って帰って飯食って寝るだけ。

 昼の飯がまた単調で、パンや穀物、豆などがカオス広場にて支給される。

 味付けはあまりされていないのだが、素材自体の味が濃く、個人的には好きだ。

 それに考え方を変えて考えてみるとだ。

 贅沢な食事にも飽き、巡り巡って素材の味を楽しむって事にすれば、最早この食事ははセレブの行き着く食事だ。

 そういう事にしとけば不満も何もない。

 自分を自分で洗脳し、都合のいい様に捉えるのだ。


 普段、朝食、昼飯はアリシアや母が用意してくれるのだが、この飯のためにリネイルや母、アリシアも働いてくれているのだと思うと感慨深いものがある。

 僕達がカオス広場に行っている間、母は何処かへ行っているようだ。

 ちなみに父は簡易所にたまーに帰ってくるくらいだ。


 夜になると大体アリシアが僕らの面倒を見てくれている。

 たまに母が夜残ったり、ほんとたまに父と母と一緒に寝たりもした。

 昼は何かしら働いているとして、夜も居ないとは?

 あぁ、そう言えば私達もっ・・・て言ってたな。

 私達も子供が欲しいって意味だったろうから、夜の営みでもしてるんだろうか。


 あれ、妊娠すればいいんだけど、授からなかった時のストレス半端ないんだよな。

 生前の僕がそうだった。

 最初の子を授かるのに3年掛かったからな。

 その間自分はもしかしたら種無しなのかもとか、嫁はもしかしたら妊娠出来ない体なのかとか色々不安がついて回ったのを思い出す。

 それを一回経験したら、出来ちゃった結婚も全然アリだよなって思うようになったものだ。

 頑張れリネイルとセリーヌ。

 もう子作りは生活の一部となってしまってエロいという概念が無くなった僕。

 まぁ結婚生活が長いとこんなんが普通だろう。

 知らんけど。

 あぁ、何かエロいことないかなぁ。

 娯楽が無いからな。

 エロい事しか楽しみが・・・。


 カオス広場では姉と僕とあの3人組とで集まることが殆どだ。

 そのお陰様か一日が過ぎるのが早い。

 基本、姉とアカミナが剣で打ち合い、僕とミエルとキエラとでよく話をしている感じだ。


 2人共7歳でもう少ししたら8歳になるそうだ。

 キエラ、ミエルと話すのがとても楽しい。

 気が合うってのもあるが、情報が集まるから楽しいという感じでも楽しい。


 色々あってこの周辺では母子家庭が多いらしい。

 戦争で父親を無くしたとかだろうか。

 その中でもキエラは母親すら居ないのだそうだ。

 うっすら母親の記憶もあるそうだが、物心ついた頃から孤児院に居たのだとか。

 だがここ2年で孤児院を抜け出し、ちょっと死にかけたが今ではアカミナのお見つけ役としてお小遣い程度の給料でだが側に置いてもらっているらしい。

 この子はもうこの歳で自立している事になる。

 僕としてはかなり評価が高い。

 尊敬に値する。

 ちなみに、キエラは賢いのだが愚痴が多い。



 「大体さぁ、この広場は誰が考えたんだ?何も考えずにボーッと遊んでるだけで目標が無さすぎるんだよ。こんなんじゃ大人になっても魔物に食われて死ぬだけってのが分からんのかね?そう思うだろ?」



 「そうだね〜そうだよね〜。キエラちゃんは色々考えてるんだね〜偉いね〜。」



 ミエルはキエラの話をいつもほんのり聞いている。

 ミエルは極度の人見知りと挙動不審と行動が皆よりワンテンポ遅いのが特徴だ。

 そしてキエラから聞いた話によると、八歳以下で魔術が使える人は殆ど居ないらしい。

 


 「精霊さんとはお友達なの。」



 仲が良さそうで何より。

 そういう人はたまに居るらしい。

 大体八歳の誕生日が来る年の明食の終わり際に、祭りやら儀式やらをやるのだそうだ。

 降霊の儀、昇霊の儀、覚醒の儀だったか。

 そんな感じの儀式をするらしいのだが、その中の降霊の儀でそれぞれ精霊を授かるそうだ。

 キエラが教えてくれた。

 キエラは死にかけた経験もあってか、情報は命だと言わんばかりにとてもよく知っている。

 その儀式を受けずに精霊を従えているのは適正値が高い証拠なのだとかも教えてくれた。

 ミリダンも似たような事を言ってたっけな。


 3人の話を聞くにつれ出会った時テキトーに言った、アカミナが指揮官でキエラが軍師、なんだかんだでミエルが一番強いってのが本当にそうなのかもって感じがしてきた。

 嘘から出たまことってヤツだろうか。

 実際あながち当てずっぽうって訳でもないんだけどな。

 顔を見たら大体分かるつもりだし。



 「魔術?そうねぇ。精霊さんとお話しするのは楽しいですよ?仲良くなって、お約束が出来る様になったら魔術が使えるようになるの。仲良し〜仲良し!フフフッ。」



 ・・・楽しそうで何より。

 魔術の事を聞いたら大体こんな感じでよく分からない。

 感覚派なのだろうか。

 僕も人に教えるのが苦手だから分かる。

 僕が教えるとしたら、コレがこんな感じでこんな感じ!分かった?

 みたいになるんだ。


 ミエルの事はキエラがまた色々教えてくれた。

 ミエルは第二夫人の5人兄弟の末っ子らしく、のんびりほんわり放置気味で育てられたのだとか。

 なんでも、一夫多妻系のお偉いさんの家系では、第一夫人、第二夫人と番号の若い順に家族の中で幅を利かせるのが常らしい。

 らしいのだが、それとは関係無く、より子供を多く産んだ方が偉いみたいな所もあるそうなのだ。

 確かに第一夫人の子供が1人で、第二夫人の子供が10人なら第二夫人の方が愛されてるんだろなってなるかな、確かに。

 だからか、母親は第二夫人の立場をより強くする為に子供を多く産んだのではというキエラの推測。

 しかし派閥争いみたいだな。

 時々女って意味の分からない所に意地を張る。

 人からの目線でしか自分を測れない人とかも多いのではなかろうか。

 偏見かもしれないが、偏見でないのなら、それで幸せが掴めると思っているのだろうか。

 まぁ人それぞれか。


 もっともミエル本人はポカーンとして全く気にしていないようだが、兄弟姉妹から虐められる事無くとも、遊んでもらうとかも無かったようで、1人で遊んでいるうちにいつの間にか精霊と会話出来る様になっていたのだそうだ。

 ちなみに既に魔術が使える事は親兄弟には内緒にしているらしい。

 地位の為に産まれた子だから愛されていない。

 魔術の才能があると分かればいいように使われてボロ雑巾の様に捨てられるのがオチだ。

 っていうキエラ入れ知恵らしい。

 ちなみに大人になったら自分の店を開くという夢というか、野心があるのだとか。

 何の店かと聞いたらどうしよーかなぁと言っていた。

 あやふやな所はあるが、皆将来の事を考えていて偉いと思う。



 カアミナとミエルは親同士に付き合いがあり、その流れで大体一緒につるんでいるって話らしい。


 3人共親の愛情を受けていない代わりに反骨精神で頑張ってるって感じか。

 強かなものだ。



 アカミナと姉のリンはあれからお互いに教え合って、また一つ強くなった気がする。


 姉は自分の練習相手に強くなってもらいたくて、今の狙いはこうだったとか、このフェイントはこの振りへ派生するのを実は狙っているのだとか。

 僕には姉のアドバイスがチンプンカンプンだが、アカミナは乾いたスポンジのように吸収し、力に変えていたように見える。


 アカミナはアカミナで、惜しげもなくリンが教えてくるので、負けじと自分もと、知っている事を話していた。

 自分の流派とリンの流派の違い、構えの違いや、それぞれの利点、不利点等を解いていた。

 こちらの話も僕には理解出来ないが、それを姉は楽しそうに聞いている。

 まぁ、無表情だから他の人にはつまらなそうに見えるかもけどな。


 真面目だなぁ2人共。



 突然だが、僕の中での友達ってのは結局、損得勘定の関係だと思っている。

 自分の都合のいい人は友達、都合の悪い人は友達じゃないってなふうに。

 極論だが。


 友達だよねって言っておきながら、掘り下げていくと、周りからの目を気にしての事だったり、暇潰し相手だったり、情報が欲しいだけだったり、思想が似ていたり、住んでいる場所が近かったりする。

 そういう意味でいけば、リンとアカミナの2人は友達になったと言えるだろう。

 リンにも友達が出来たようで少し安心した訳だが・・・まぁ、この先ちょっと心配ではあるけどな。


 友達。

 僕は基本友達は要らないんだけど、このカオス広場において1人だとやれる事が少な過ぎるし、暇すぎるからこの3人は友達だよねって感じになる。

 パソコンやスマホも無いからな。

 情報を集めるのにも友達は大事だってのもある。

 

 友達って何なんだろうな。

 3人の過去を聞いていると、生涯通して僕が力になれないかと模索している自分が居る。

 そういった感情が好きって事に繋がるのかね。

 友達と恋愛の境界線か・・・。

 損得感情は置いといて、好きだから友達。

 まぁそれが一番理想で美しい関係だわな。

 リンにもそんな友達が居てくれればいいが。

 まぁ、余計なお世話だろう。



 話は変わるが、夜、色々と面白い事ができないか考えている。

 エロい事ではない。


 ズバリ秘密基地計画。

 幸いにも、僕らの夜の就寝場所は林に1番近い場所にあるからして、夜こっそり抜け出して林で何かしててもバレないだろうってスンポーだ。

 ここに来てから2ヶ月程経過したが、明食の際には皆で城壁の中に入って、建物の中でただひたすらじっとして過ごすという退屈なものだった。

 明食中は、アリシアや騎士団か護衛軍か、呼び方は知らないが、武装した大人達が警戒してくれているのもあって安全そのものだった。

 と思う。

 何かが起きる気配が全く無い。

 それは明食の無い普通の日でも同じようなものだ。

 夜、見回りでカチャカチャと鎧の音を鳴らしながら歩いてる兵士をたまに見るが、僕らの居る末端の簡易所まで来る事は今まで無かった。

 そしてアリシアも、ある一定の時間を過ぎれば眠りが深くなる事が分かった。

 そして朝まで起きない。

 エロいイタズラをし続けた結果分かった副産物だ。

 父から貰ったスコップもあるし、外は基本月明かりで明るい。

 最近夜によく目が覚めるし、その時に行動出来るだろう。


 問題はアリシアに見つかった時や、来ないとも限らない見回りに指摘された時だ。

 と言っても一応解決策はある。

 最悪のパターンは・・・そうだな。

 アリシアに見つかって外に出られないように鍵付きの扉を設置されるとか?

 説教されるとか、心配だったんだからとアリシアに泣かれるとかか?

 見回りに魔物と間違われて殺されるってのがヤバいかもな。


 けど、ここに来てから魔物の気配は一切無い。

 定期的に討伐隊がクエストを発注して駆除しているっぽいし、超絶目の悪い頭のおかしいヤツが見回りをしていない限り、魔物を見つけなければとピリピリしてるって事は無いだろう。

 普通の場合は危ないぞとかって注意されるだけだろうしな。

 言い訳としては、小便に行っていたとか、スコップは糞を埋める為とかテキトーに言えば大丈夫だろう。


 つまり、最悪のパターンは回避する必要すら無いって事だ。

 そしてとりあえず何があればごめんなさいって言っとけばいいのだ。

 何か新しい事をやろうとする時、最悪のパターンを想定する。

 問題無ければやれるし、問題があれば回避しながら行動すればいいだけの話だ。

 それにまぁ子供のやる事だしな。

 許してくれや。


 よし。

 考えがまとまった。

 今晩作戦決行だ。

 最初の夜は下見かなぁ。



 「セレン、ちょっとこっち来い。」



 「何?」



 アカミナから呼び出された。

 聞けばどうやら姉を2人で切りかかるって話の様だ。

 腹いせに姉をボコボコにするのか?



 「実戦じゃぁ敵が周りにいっぱい居るしな。そんな感じでやってみよう。俺とリンが打ち合ってるから、セレンはリンを打ち取れると思ったら攻めてくれ。」



 「セレン、出来る?思いっきり来なさい。」



 んー。

 姉を背中から攻撃するとか出来ません。

 けどまぁ、それも姉を鍛える為だと思えばやらなくもないか。



 「あ、うん。」



 最初はアカミナと姉が普通に打ち合っているのだが、その中で横から後から僕はゆっくりと打ち込んでみた。

 姉は重心を引くしたまま僕とアカミナとの距離をはかり、僕の木剣をバチンと弾く。

 最初はへーと思っていたが、結構マジで切りかかっても姉は同じように対処してくる。



 「セレン、上手ね。もっと色々やってみて。」



 上手というのは、僕の剣の腕ではなく、練習の意図を汲んで動けている事を上手と言っているのだろう。

 僕はなるべくアカミナとの打ち合いの中のリンの隙を狙って打ち込むのだが、リンは優しく僕の剣を払って来る。

 まだ余裕があるって事だろう。

 この余裕を無くすのが僕がこの練習に参加するに当たっての任務になるだろう。


 結果的に僕の短剣がリンの体に触れる事は無かったのだが、それはアカミナにも同じ事が言えた。

 その結果もあってか、明日はキエラとミエルも入れた4人でリンを集中攻撃するって話を冗談混じりでアカミナが言い出した。

 そりゃやり過ぎだろうと思ったが、姉はモナリザのように微笑み、やってみようかと答えた。

 姉にとってはこれも楽しいのだろうな。


 まぁなかなかいい感じの友人関係ではあると思う。



 夜。

 相変わらずアリシアは僕を抱き枕だと思っている。

 最近ちょっと刺激に慣れてきてしまって、ちょこっとアリシアにオーガニズム体験コースをご案内させてあげたいという欲求が湧いてきてしまうのだ。

 流石にそれはダメだろうと、眠れない夜を過ごす為、誘惑を紛らわす為の秘密基地計画でもある。

 

 ・・・さて。

 そろそろか。

 僕はアリシアの腕をそっと避けて、代わりに薄手の毛布を丸めて置いてみた。

 身代わりの術だ。

 アリシアは特に動く事もなく、眠りは深いようだ。


 ちなみに僕は太ももが好きだ。

 そして気が付けばアリシアの太ももの内側んスリスリしている。

 はっと我にかえって秘密基地の事を思い出し立ち上がるのだが、リンの毛布がまた端に追いやられているのを見つけた。

 最近少し寒くなってきたからな。

 僕はいつものように体が冷え過ぎていないか、熱は無いかと足先、おでこを触ってみるのだが、まぁ大丈夫そうだ。

 姉に毛布をかけ、スコップを手に取り、出入り口ののれんのように垂れている布をゆっくり払い除け僕は外に出た。

 さて。

 秘密基地。

 出来るかな?

 

 

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