第10話 過去と未来と後悔と導き 湖の女神
あれから2週間が経った。
ちょくちょく寝過ごしてはいるが、父の仕事は大体見れていると思う。
ちなみに。
秘密基地、もとい仕事観覧所と言うべきか。
あそこへ入る為の入り口が変わった。
僕がチョロチョロするから、アレからすぐまた父が工事し、鍛冶場へは行けないようになってしまったのだ。
具体的に言うと、鍛冶場に入ってから秘密基地に入るのではなく、鍛冶場の入り口の右隣に秘密基地の入り口があり、鍛冶場へ行くには、鍛錬所のカギを開けないと中に入れないようになってしまったのだ。
まぁ、そうなってしまったものは仕方がない。
鍛冶場に自由に行き来出来なくなってしまった代わりに、鍛冶場を自由に見る事が出来る様になった。
秘密基地への入り口には扉が無く、鍵も付いていないからな。
案外こっちの方がいいのかもしれない。
正確の道を歩むのではなく、歩んだ道を正確へと導くのだ。
これで良かったんだ。
そういう事にしとこう。
父の仕事はあまり進んでいない。
普通に進んではいるが、あと5日か6日で間に合うペースではなさそうという話だ。
最初は鉄屑を熱して叩いて潰し、大きめの塊を5個作った。
それを半分に切り10個に。
それぞれが一本分の材料になるのだろう。
ここまでで8日を要していた。
次に叩いて伸ばす工程だ。
これがまた眩しい眩しい。
火花もバンバン飛んで、父がこの部屋を用意した理由を容易に理解出来た。
叩いて潰し叩いて潰し、形を整えてはまた加熱して。
途中で粉を熱した鉄にまぶすのだが、アレにどういう意味があるのか分からない。
テレビで刀鍛冶が刀を鍛えているのは見た事がある。
弟子が大きめな鉄のハンマーで叩いて、師匠は小さなハンマーで叩いている風景だ。
テンポよく叩いて、弟子の運動量が半端ないヤツ。
父はコレを一人でやっている。
日本刀と作りは違うだろうが、似たような工程には違いない。
大変そうだ。
コレが何処までの工程なのかは分からないが、剣の形っぽく伸ばしたら、次の塊に取り掛かる。
そこまで叩いて伸ばすまでに一本当たり半日以上かかる。
休憩や他の用事もあって今ようやく今残り2本って所まで来た所だ。
あと残りがどれ程の工程が残っているかは知らないが、研いだり仕上げたりするのなら、とてもじゃないが6日後の出発には間に合わない。
父とは別行動になってしまうだろう。
姉と母もこの秘密基地っぽいスペースに来た事がある。
姉は最初楽しそうにしていたが、途中から興味無さそうに掘った壁を見ていた。
そして「外で遊ぼう」とか、「ねぇねぇ知ってる?」等と仕事とは関係のない話をしたがる。
正直な話、邪魔しないで欲しい。
そして僕が父の仕事に集中し過ぎていたのもあるだろうが、大体姉は気が付いたら居なくなっているのがパターンだった。
母も似たようなもんだ。
「凄いわねぇ」「お父さんかっこいいね」とかの話をしてくる。
仕事と関係ない話ではないが、僕はもっと論理的な話がしたいのだ。
金属の構造がどうのこうのとか、土の体積が減るのはどういう仕組みなのかとか、もし完全にサイズを変えれると言うのならば、物理法則を無視している事にならないかとか。
まぁ自分がまだ三歳ってのもあるし、母に聞いても分からないだろうしな。
流石にこの話題で盛り上がる事はできない。
そのせいもあって、母には素っ気ない態度になってしまったかもしれないな。
申し訳なかった。
やはり母も気が付いたら居なくなっている。
そしてまた僕が気が付かないうちに水の入った袋が脇に置いてある。
母が用意してくれたのだろう。
確かにココは暑い。
父に聞けば、火を起こせば起こすほど外の空気が中に入ってくる構造になっているそうでだ。
確かに思ったよりは涼しい。
湿気も高くなく、まぁ大丈夫な範囲ではある。
母が心配してくれるのはありがたい話だ。
もしかしたら父から水筒を用意してくれと一言あったのかもしれないが・・・。
どちらにせよ僕は恵まれていると思ったものだ。
ーーー
城都へ避難する日は明日に迫ってきた。
今日は父も仕事を休み、家族水入らずで家の裏の湖に来ている。
水いらずなのに水浴び・・・。
・・・。
あいも変わらずこの湖は水が綺麗で光が優しい。
天気も良く、今日は水浴び日和だ。
「セレン、気持ちいいよ!一緒に入ろうよ。」
姉は湖にプカプカ浮きながら僕を誘っている。
姉は泳げるのか。
7歳で。
スゲェな。
普通泳げるっけ?
まぁ、泳げるかもな。
俺はまだ3歳だぞ。
溺れる自信がある。
「いーやーだー。」
とは言っても最近は地下に篭って暑かったからな。
水辺に座って足をつけたり、顔を洗ったりするだけで気持ちがいい。
姉は下着で泳いでいる。
ほぼ裸だ。
生前の妹の幼稚園では完全に素っ裸で泳いでいたからなあの子ら。
それを思えば下着で泳ぐとかは普通だろう。
「リン、こっちまで来れるか~?」
おいおい危ないだろ。
父は姉を危険な遊びへと誘っている。
僕の心配をよそに姉はキリっとした顔へ切り替わり、父の方へ泳ぎ出した。
姉は大物になるな。
たいしたもんだ。
「あら、お父さん達行っちゃったね。」
母も僕の隣で座っている。
下着では無いが、濡れてもいいような格好で薄着だ。
僕の願望ではあるが、母の上半身を濡らしたい。
おそらくこの格好ならポッチが浮かび上がって見えるだろう。
僕は健全であるからして、オッパイが大好きなのだ。
母を濡らす手立てはないのもか・・・。
俺が溺れればいんじゃね?
助けに水の中に入ってくれるんじゃね?
そんな考えがよぎったが、却下された。
理性から。
「セレンは、お父さんの仕事見るの楽しい?」
「うん。」
母は唐突に話しかけてきた。
僕は反射的に答える。
「セレンもお父さんみたいになるのかな?」
まぁ息子だからな。
そうなるんじゃないか?
と、楽観視してみる。
いや、普通にやっててああはならない。
父もまた死線をいくつか乗り越えている目をしている。
根拠はないが、そう思う。
観だ。
こんな平和で限られたスペースでは、あぁはならないだろう。
実際こんな幸せな生活がいつまでも続けば良いと、皆思うだろう。
僕も確かに可能であればそうであって欲しいと思う。
だけど、僕はそれではダメだと思う。
僕に力が無いからだ。
誰かを養う力が無い。
誰かを守る力が無い。
誰かに守らなければ生きていけない。
家族として、子供として。
今は幸せだろうが、それは通過点であり、目標では無いのだ。
いつかこの生活に終止符が打たれ、一人になり、家族を見つけなければならない。
試練の時が来るのだ。
そしてそれは自分の足で切り開かねばならない。
与えられてはダメなのだ。
自分で進んで乗り切らねば。
僕はそう思っている。
「なれるかな?」
僕の中から本音が溢れた。
そして微妙な沈黙が流れる。
母上。
即答して下さい。
なれるよって。
「そうね。お父さんみたいになって欲しいって気持ちはあるけど、セレンはセレンよ。どんな大人になるのかな〜って。楽しみだな~って。」
あぁ、・・・父を最上位と考えていた自分が居た。
母は、父をものさしとして測らないという選択肢を持っていた。
まぁ、父親程にはなれなくても、セレンはセレンだから〜みたいな、甘えたニュアンスかもしれんが。
そうだな。
次の世代を産み育てる事が最大の親孝行だとして、父親を超えるのもまた親孝行だろうか。
それを妬む親もいるかもしれんが、リネイルに限っては喜んでくれるだろう。
まぁ、なるようになるか。
人生何が起きるか分からないものだ。
突然異世界に赤ん坊として生まれ変わる事もあるんだもんな。
後悔の無い生き方をしよう。
この考え方は前世の頃から変わらない。
お陰様で、そこまで酷く後悔や悲しさとかは無い。
無いと言うか、感情が爆発しないようにあまり深く考えずセーブしてたんだけどな。
まぁ抑え込めている事からして後悔の念も少ないのだろう。
思えば、今世でさっき母が言ったように、前世での自分の子供がどんな大人になったのか、孫とかも出来てたり・・・。
これ以上考えるのはやめよう。
感情の爆破以前に普通に号泣してしまいそうだ。
「あらあら、どうしたのセレン。」
しまった。
多分泣いてしまってる。
というかまぁ間違いなく涙目以上だ。
相変わらずよく僕の事を見ている。
すると母はザバンと湖の中に入った。
母が立つと丁度胸辺りまで浸かる程の深さだ。
え?もう少し浅いと思っていた。
姉はこんなに深いのにようやるな。
涙目ながらそんなことを思っている。
「セレン、ほら。お母さんの所においで。」
アイラブ母。
そしてアイラブオッパイ。
そしてやっぱり水に濡れて透けるポッチ。
最高だな。
僕は涙目になりながら反射的に飛び出した。
ザバン。
僕は足を滑らせ水中に落ちでしまった。
流石にアレは僕を見ていても落としてしまうだろう。
あぁ、僕は死ぬのか・・・。
なんて事は全然なかった。
咄嗟に鼻をつまんで息を止めて、母の救助が来るまで待っとく余裕はあった。
「・・・!」
そこで。
僕は何か聞こえた気がした。
何だ?
水中を通して、誰かの声が聞こえた気がする。
不思議と不気味な感じはしない。
むしろ懐かしいような。
こころ温まるような。
が、それと同時に母の水中での姿がくっきり見えないのが悔しくてたまらない。
水に濡れた女性がエロいのは世の常だが、全身モザイクだと思えばコレはコレで風流か。
とか何とか思っていたら、母から救出された。
このシュツエーション、母だからこの位で済んでいるが、相手がアリシアなら僕のマグナムがどうなってしまう事か。
想像しただけでエロい。
よし。
アリシアも今度一緒に連れてこよう。
「セレン、セレン!!」
僕は健全な男子であるからして、頭の中はエロでいっぱいだ。
実際生前の幼稚園児だった頃の僕もだいぶエロかったからな。
普通だ。
生前の嫁が保育士だったのだが、オッパイはよく園児から揉まれるそうだ。
それを聞いた当の時は、俺もやっとけば良かったと後悔に後悔を重ねたもんだが、今。
今その後悔をせぬよう。
神がチャンスを与えてくださったのだ。
あぁ。
そういう事にしとくか。
正直転生してきて、この世界を恨んだりしたもんだ。
だが実際、今のように良かったなと思う瞬間も多々ある。
まぁ今回は不純だけどな。
僕は生きている。
この世界で生きていかねばならない。
失望ばかりしていては母に心配かけてしまうし、今後の僕の生きる活力に問題が出てきてしまう。
人間過去には戻れないのだ。
だが未来を変える事は誰にでも出来る。
過去に縛られていては未来は絶望でしない。
過去に縛られていい事はあるだろうか?
未来を見据えずして明るい未来が、白馬の王子の如く突然やって来るだろうか。
たとえそれが突然やって来たとしても、それは幸せではなく不安にしかならない。
僕は今幸せだ。
だがコレは僕が僕の力で得た幸せでは無い。
偶然得た幸せなのだ。
だからまた偶然失われるだろう。
そしてまた偶然幸せがやってくる保証も無いし、勝ち取れる力も無い。
あの時は良かったと、反吐の出る腐った台詞を吐く羽目になる。
僕はそうはなりたく無い。
僕は僕の力で生きていけますと。
コレが貴方が育てた子供ですよと、見せつけてやるのだ。
母は涙し、立派になったねと涙するのだ。
父は黙って、僕の背中を押すのだ。
コレが親孝行ってもんだろう。
後悔の無い生き方だろう。
よし。
後悔の無い生き方をしよう。
保育士さん的な人が居たらオッパイを揉むのだ。
馬鹿な振りをするのだ。
三歳だからな。
全ては後悔の無い生き方の為に。
「セレン!!セレン!!大丈夫!?」
あぁ、溺れていたんだったな。
あれは、走馬灯ってやつか?
いや、命の危険は不思議と感じなかった。
というかどさくさに紛れて母のオッパイを揉んでいた。
いかんいかん。
いや、まぁいいか。
どうせだからもう少し揉んどこう。
「ビックリしたぁ。」
「あー良かった、ゴメンねしっかり持てなくて。ごめんね、ごめんね。」
母がギュッと抱きしめてくる。
ありがたいが、ギュッてされたら胸を揉みにくい。
まぁ感触を堪能しとくか。
何か。
何か忘れている気がするが。
何だっけ。
何だっけ。
出てこない。
しかし母よ、そんなに謝らなくても大丈夫ですぞ?
「お母さん、大丈夫だよ。あのね、水の中で目開けれたよ!凄いでしょ。」
とか言いながら、母の柔らかい胸を堪能する事は継続中だ。
子供は自慢を良くする。
自分の子供がそうだった。
そして僕は三歳なのだ。
「あら、凄いわね。もしかしたら泳ぐ天才なのかな?」
親バカだろう。
それが愛おしい所でもあるが。
「でも、良かった良かった。泣かないで本当に凄いね!」
というか、泣いてたのを誤魔化したって感じになってるんだけどな。
しばらく母に抱っこされながら水中を散歩した。
当然僕はオッパイを揉み、所々垣間見える水に濡れ透けて見えるポッチをガン見している。
母は水中にまた僕を落としてしまわないよう、真剣な顔で水中散歩に集中している。
今なら母に何してもOKだろう。
「お母さん、見て見て!凄いでしょ。」
そろそろ母と本番かという頃、姉がやってきた。
凄いでしょうと、オリジナルの泳ぎ方を母に披露しているのだろうか。
あれは何泳ぎだ?
まぁ何にせよあの歳で泳げるのだ。
凄いには違いない。
「あら、リン。アナタ・・ホントに凄いわね。」
「へへ、お父さんに・・・教えてもらったの。」
しかも泳ぎながら良く喋れたものだ。
母は驚いたというより、冷静に受け答えしている。
お世辞ではなく本音が出ているという事だろうか。
姉は母と僕の周りをグルグル回りながら楽しんでいる。
姉はいつもはクールなのだが、こういうイベント的な事は積極的に、好奇心旺盛に動く。
逆に僕はイレギュラーな事にはネガティブで、観察に徹してしまい、楽しめないタイプだ。
姉の性格の方が、よっぽど徳をしているのだとつくづく思う。
父は幸せだろうな。
父はこの幸せを自分の力で勝ち取ったのだ。
誇らしく思う。
思っていたらザバンといきなり父が現れた。
潜水で来たのだろう。
今ココでゴーグルを付けていたらどれだけ父を恨んだ事か。
「大丈夫か。」
「あぁ、ごめんなさいリネイル。セレンが水に落ちちゃって。」
大丈夫だぁと、志村けんのモノマネをしても通じないだろう。
もどかしい。
母が、宝物を落としてしまって、それで謝っているように見える。
「大丈夫そうじゃないか。でも次からは気をつけないとな。」
姉を危険にさらしといてお主が言うのか。
けどまぁ、無事に帰って来てるからな。
特に責めることもないが。
そろそろ晩御飯の準備をせねばと言うことで帰路に立つ事になった。
実際帰り道が、一番母がエロかった。
繰り返す。
帰り道が一番エロかった。
姉はほぼ全裸だったが、まぁ子供だ。
恥じらいも無ければエロスも皆無だ。
とりあえず母最後。
水に濡れた白い服が相まって天使に見える。
あ、マザコンだなコレ。
あぁ、自重せねば。
とりあえずあれだな。
後悔の無いように生きようって話だ。
よし。
保育士っぽいお姉さんのオッパイ揉むぞ。
隙あらば、そして自然に。
イメージするんだ。
「ねぇ、お母さん。今日の晩御飯何?」
ふと疑問に思って母に聞いてみた。
ポッチが浮かび上がりエロい姿で考え事している。
水の中では無いからして良く見える。
やはり神か。
マザコン・・・。
まだいいよね?
ほら、後悔しちゃダメだし。
「そうね、何にしようかしら。」
そのあと僕は母に無駄に話しかけ、母の神々しいお姿を目に焼き付けた。
卒業せねばだからな。
飽きる程見るのが一番だ。
って事にしとこう。
そして。
コレが僕の人生で一番幸せな1日だった。
って事にならないよう。
頑張ろう。
そう思えた一日であり、少しだけ。
少しだけこの世界が好きになった日でもあった。
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