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1章 第1話 〜俺と双子の幼なじみ〜

 ーーーピピ、ピピ、ピピ……


 朝の6時45分。いつも通りの起床を迎える。


「うーん、もう朝か……」


 俺は低血圧持ちなのか朝は一段とテンションが低い。色々洗顔やらなんやらしていると何かの違和感が押し寄せてきた。そしてその違和感はすぐに解決した。


「あれ、いつもならお母さんがでかい声でご飯できたよーって言ってるんだけどな……?」


 不思議に思いながら自分の部屋のある2階からリビングのある1階に降りる。


「あっ……」


 リビングにはおろか、家全体から人の気配が感じられなかった。そうか、そういえば今日から両親は仕事だった。昨日の夕飯の時に「明日の朝から仕事でいないから冷蔵庫にある物食べてね」と言っていたお母さんとの会話が薄らと脳裏に浮かぶ。他にも何か言っていたような気がするがテレビに夢中になっていて、相槌あいづち程度しか反応出来なかった。そのことについても一瞬反省しながら冷蔵庫を開けた。


「まあ、普通に考えて昨日の残り物だな」


 そう言って、俺はラップに包んであった大皿の焼きそばを取り出し、全部は食べきれないと判断し小皿に自分の食べれる分だけ寄せて電子レンジに入れた。500Wで1分20秒。このくらいが焼きそばを美味く食べられる時間だろう。電子レンジマスターの称号を貰いたいものだ。


「いただきまーす」


 慣れているとはいえ、このところ両親、特にお母さんは仕事といってもパートなのでそこまで忙しくなく朝はいてくれたので正直寂しくなってくる。親離れなんて自分はまだ出来るものでは無いだろう。そういえば、妹はまだ寝ているのだろうか。


 昨日の焼きそばはお腹が空いていたのか10分程で食べ終えて現在7時15分。そこから朝のニュース番組「SIP!」をボーッとしながら見ていた。すると、インターホンが突然鳴り響き一瞬驚いて怯んだがその不安はすぐにかき消された。


「おーい、ユウ〜。起きてるでしょ〜!今日入学式だよ。寝ぼけてないで出でこ〜い!」

「あっあの、ユウお兄ちゃん、今日から学校ですよ……あっ、でっでもやっぱり行けないなら無理はしないでください…!」


 この2人は、俺が幼稚園に入園する前、4歳くらいの時から一緒にいる幼なじみ。最初の元気がありすぎるんじゃないかと思うほどの挨拶をしてきた方が「白雪琴音しらゆきことね」。双子の姉で、妹と俺はあまり騒ぐタイプではないので、琴音が唯一俺たちを盛り上げてくれるムードメーカーだ。


 そして、控えめそうな感じの子が「白雪琴葉しらゆきことは」。双子の妹で、姉に比べて控えめで大人しい性格だ。だが、家事など世話を焼くのが好きなようでよく俺の家に来て掃除やご飯を作ってくれることも多い、気がきくとても良い子だ。


 この2人は近所でも有名になるくらい…………()()()()()。俺も幼なじみじゃなければ永遠と縁のない人たちになっていただろう。


「運って大事なんやな……」


 何故か、いつもとは違う口調になりながらそんなことを考えていると、琴音たちがさっき言っていたことの中に学校という単語が入っていたような気がした。今日は4月13日月曜日。家のカレンダーを見るとデカデカと「ユウちゃんの入学式!」と書かれてあった。


「そうか、昨日の夕飯の時に何か言ってた気がしたけどこれのことだったのかな?」


 外では琴音がまだかまだかと騒ぎ立て、琴葉がそれを(なだ)めているようだ。これではもう側から見れば琴葉の方を姉と判断するだろう。


「今準備するから少し待っててくれー」


 それだけ言い残し、2階に上がり急いで身支度を始めた。今日は入学式だけのはずだ。筆記用具とプリントを保管するファイルがあれば問題ない。中学の時と変わらない制服を急いで着こなし、俺は玄関の扉に手を掛けた……


「すまん、完全に忘れてて遅くなった」

「もぉ〜、こんなに大事な日を忘れちゃダメだよぅ」

「で、でも一緒に学校に行けるなんて嬉しいです……」

「あれ今なんか言ったか、琴葉?」

「ーーっ、な、なんでもありません、、」

「そうか?いや〜でもやっぱり()()()()()()()()()でこれから過ごすなんて思いもしなかったな」


 俺は平成15年の9月2日生まれ。一方で琴音たちは平成16年5月21日生まれだ。普通なら俺は今日から高2として登校するはずなのだ。まぁ、これには色々訳があるのだが……


「なに〜、ユウは琴音たちと一緒にこれから登校できるのに嬉しくないんだ〜」

「ね、姉さんそんなことっ」


 確かに嬉しい。こんなに可愛い同級生ができて、しかも2人。だがこれはラノベ展開的に全男子高校生を敵に回してしまうのでは…? 当然、アニメの世界と現実の世界ではもちろん価値観や世界観が全く異なることくらい理解している。だがこれは……


()()俺は学校に行けなくなるかもしれないな。ははっ……」


 それが自分たちのせいだとは知らない白雪姉妹は焦り、不安しながらも自分が今日からお世話になる高校の校門まで登校したのだった。

読んでくださりありがとうございます♪

今回からいよいよ双子が登場しました!

元気で自然と周りが明るくなる琴音と、控えめだけど世話焼きで優しい琴葉。皆さんはどちらが好きですか!?

今後も新キャラがどんどん登場する予定なのでお楽しみに(^^)/     (今話 約2000字)

(2話 1300〜2100字の予定。次話投稿予定日は9月28日です)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読みやすい文章でサクサクと読めました!面白かったです! [一言] 次もお待ちしてます!気張りすぎずご自分のペースで頑張ってください!
2020/09/25 23:14 退会済み
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