プロローグ
ーーーこの世界は理不尽で個別主義よりも集団主義で、何かみんなと違うことをすれば変な目で見られたり、時には陰口も叩かれる。理解しようとしてくれることなんて無い。みんな楽な方、味方が多い方に行こうとするからだ。そんなことをつい1年ほど前まで思っていた。仮定という曖昧なものではなく、全て事実だと一欠片も迷いが無いほどに。
その事実を知った時は、はっきり言ってうんざりした。こんな事を大人になってからならまだしも中学生の時に知ってしまったんだから。生きるのが辛くなった。その頃の俺はいつ自殺するかも分からない精神状態だったと思う。
だが今は、たった1人のその1通の感想のおかげであの精神状態から抜け出せた。未だに暗い性格なのは直ってはいないが改善出来るように努力はしている。とにかく、その人のおかげで今の自分があると思う。
改めて考えてみると、その人が男か女かも、ましてや名前なんて分からない。本人もいちいち感想なんて覚えていないだろう。だが、あの時確かに俺、氷室優希は救われて、そして生きる希望や活力を与えてくれたのだ。
そんな自分の救世主にお礼も言えていないという状況に俺は、申し訳なく思ってしまう日が毎日のように続いている。もちろん出来ることなら面と向き合ってお礼を言いたいが、ネットの小説投稿サイトの感想から個人が特定できるわけでも無い。
俺はその人に届かないことは分かっているが、今日も1日感謝しながら生きようと決め、玄関の扉に手を掛けた……
読んでくださりありがとうございます♪
今回は主人公の過去に何かがあった。と言うことを知ってもらう感じでプロローグを作りました。
次回からはしっかりとヒロインたちが出てきますので楽しみにお待ちください!
(1話 1500〜2500字の予定。ペースは2〜5日になると思います)