第十三話
惑星開発公社所有、大型恒星間移民宇宙艦。通称”マザーシップ”
全長約10キロメートル、全幅約5キロメートル、全高約2キロメートルに及ぶ直方体の巨体は、その影で辺りを真っ暗にした。
正宗の救難信号を道しるべに、異世界へ渡ってきた”マザーシップ”は、脅威と思われる”月の狼”の時間を凍結する。
”月の狼”は正宗とレイリアの前で、口を開けたまま固まっていた。
ちなみに、必要なエネルギーがあまりに大きいので、滅多に使用されないが、タイムマシン型のワープ航法も開発されている。
固まったままの”月の狼”をトラクタービームでマザーシップに収容した後、全長約18メートルの巨大ロボットが、正宗とレイリアの近くに降下してきた。
政宗の周りには、ガーランドやマガリアが二人を守ろうと剣や盾を構えて立っている。
少し離れた所に音もなく着地した。
巨大ロボットが、片膝をついた後、胸部のコックピットハッチがパシュンと軽い音と共に開く。
政宗とよく似た服を着た黒髪の女性が降りてきた。
「▽◇〇・・・」
両手を上げて近づいてくる。
「・・・大丈夫だと思います」
レイリアの言葉に、周りの人間は女性に道を開けた。
女性が、レイリアが抱きしめている正宗の額に手を当てる。
手の平が少し輝いた。
「〇×△・・・データ転送完了、竜を呼んでから、約1時間30分の経過を確認」
「レイリアさんですね?」
「はい」
「公社職員cz3009”正宗”を守っていただきありがとうございます」
「cz・・・”正宗”の回復のために”マザーシップ”に収容したいのですが」
レイリアがギュッと力を入れる。
「ふふ。お互いの遺伝子を交換しているのですね。大丈夫です。元気にして必ずお返します」
「私は、ky1203”恵”と言います」
穏やかな微笑と名前を告げられたことにより緊張がほぐれた。
「・・・正宗様をよろしくお願いします」
レイリアが正宗を渡した。
「救急船を急げ。エネルギーチャージだ」
船体に紅い十字を描いた船が下りてきて、正宗を収容して飛び去った。
◆
その後、”マザーシップ”から複数の調査船が、世界各地に飛び立ち、あらゆる王国、組織は解体され公社の管理下に入った。
全てのDNA情報が採集される。
しかし、”月の狼”に代表される”神”の力の存在。
魔法や魔力の解析のため、この世界”グランセル”は第一級要保存環境に指定された。
公社は、管理はするが、なるべく手を出さないことになる。
”月の狼”は解析の後、元の場所に封印された。
また、今回のことにより公社に、”異世界”に渡る技術がもたらされた。
◆
あれから、十年の時が流れた。
「お母さ~ん」
「どうしたの。ムラマサ」
「お父さんはどこ~」
「今日は、公社の仕事で、村向こうの支所に行っているわ」
「夕方には帰りますよ」
月の女神の司祭服を着たレイリアが答える。
政宗は、現在”グランセル”の公社の現地出向社員として働いている。
十年前、サイボーグの体から本来の体に戻しレイリアと結婚。
三人の子宝に恵まれ幸せに暮らしている。
終劇




