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召喚されたサイボーグは、サンダードラゴンの夢を見るか  作者: トウフキヌゴシ


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第十一話

 6万のフロー軍の前に、褐色の肌の小柄な女性が立っている。

 2番目の勇者を撃退した、ハヤミである。

「6番目の勇者を出しなさい。一騎打ちです」


 正宗は、5万の同盟軍の前に出て

「勇者同士が戦う理由がない。こちらに来ないか」


「うふふ。貴方が6番目の勇者ですね」

「戦う理由はなくても、”斬る”理由はあるのです」

「貴方は絶対斬られないのでしょう」

 居合の構えを取る。


「どうしてもか」

 レザーライフルを構えた。


「チャキッ」

 ハヤミが持っている小太刀の鯉口を切った。


 正宗が、ライフルを打ちながら前に走る。


 ハヤミも前進しながら斬りつけた。


 ライフルに着けられた、銃剣で受ける。


 しばらく、一進一退の攻防が続く。

 二度三度、腕や胴を斬られるが、ソフトスキンは斬れても、メインフレームは斬れないようだ。


「本当に斬れないのね」

「・・・でもこれはどうかしら」


 スキル”コレに斬れぬものなし”

 一日一回だけ使用できる、問答無用の両断スキル。


 ハヤミが横に無造作に、小太刀を振る


 バイクのサポートPCから、

 (刀身から”空間断裂波”を感知。緊急措置として、逆波長の”空間断裂波”を当て無効化します)


 斬られると同時に、ライフルをスプレーモードにし、無数のレーザーをハヤミに浴びせる。

 正宗の右腕がポロリと落ちた。


 ハヤミは、体に当たるレーザーだけを、刃の横で反射させながら後ろに下がった。


「真っ二つになるはずなのに、異世界だからかしら?」

「これまでね」

 ハヤミは、下がって行った。


 正宗も右腕をナノマシンで修理しながら、軍の方へ下がる。



「「「「最後の”大地の怒り”が来ます」」」」

 しばらくした後、レイリアを含めた全ての月の巫女が、大きな声で同時に言った。



「ごごごごごごごごごごごご」

 地面が大きく縦に揺れ、人だろうが、馬だろうが、空中に弾き上げる。

 次に、ゆっくりとしかし、さらに大きく横に揺れ始めた。

 軍勢は、悲鳴を上げながら、横倒しになった。

 立っている人は、誰もいない。

 王城の塔や壁のいたるところが崩れ、煙が上がっている所がある。

 両陣営とも、戦争などしている場合ではないと判断し、なし崩し的に軍は解散。

 自国に急いで帰っていった。




 正宗たちも、アレイル王国の地方都市”エア”に向かった。

 途中被災した都市や町や村に、使わなかった軍の物資で、出来る限りのことをしながら帰る。


 地方都市”エア”に着いた。

 高い建物が少なかった為、被害は大きくなかった。


 その日の夜、寝室で


「・・・正宗様」

 レイリアは、小さい頃から6番目の勇者と共に、世界を破滅に導くと育てられてきた。

 覚悟もあると思っていた。

 しかし、大きな地震が忘れられない。

 思い出すだけで体が震える。

 被災した村の、つぶれた家の前で泣いている子供のことが、目の裏に浮かんできた。

 怪我人たちが集められた教会も。

「・・・私」 

 目に涙を貯めながら、自分の腕でギュッと自分の体を抱きしめる。


「レイリア・・・」

 正宗は、レイリアを優しく抱きしめる。

「レイリア。大丈夫・・・」

「この世界を守ってあげる」


「正宗様っ」

 正宗の胸にしがみついた。


 その夜、正宗はレイリアを初めて抱いた。 

 


 遥か北の大地。

 巨大な洞窟の奥の、氷の壁に一筋ひびが入った。

 次の瞬間、内側から氷の壁を吹き飛ばしながら、巨大な何かが飛び出してくる。

 最後の”大地の怒り”が起こった。


「ふふふふふふふふ」

 女性の笑い声が、洞窟内に木霊していた。




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