開幕
この事件は百年以上語り継がれるような怪談だ。
ロジカルクイーン。
論理姫。
終結姫。
探偵。
理論武装終末世界。
彼女は世界的に有名な探偵だ。
その小さな頭と体躯からは想像出来ない程の知識で、彼女は幾つもの難事件を解決している。
哲学で物事を語り、論理的思考で謎を解く。
しかし彼女の有名な点はそこだけではない。
彼女は由緒正しきお姫様なのである。
名探偵という部分だけでも凄いのに、彼女はお姫様でもある。
名探偵であり、お姫様である彼女に付いた名は、終結をもたらす論理姫──ロジカルクイーン。
そんな名前を聞いただけでも、膝が震えてしまう彼女という存在。
そんな彼女がやっと私を離してくれた。
高級だって見ただけで分かるようなベットの上──窓から入ってくる太陽の光に私は目が眩む。
彼女は一体何をしたのだろうか?
何故こんなことをしたのだろうか?
分からない──けどきっといつか分かることになるのだろう。私という一般市民は。
彼女──ロジカルクイーンは私を見詰めている。
そして私に告げる。
「ようこそ、闇のような世界へ」
彼女は黄金の髪の毛を靡かせる。
「そしておめでとう。五代目ロジカルクイーンは──貴方よ」
この物語は、この事件はひと夏の経験としては語り尽くすことが出来ない──まるで百年以上語り継がれるような怪談だ。
そんな恐ろしい体験をしてしまう──私の人生はきっとそんな風には出来ている。