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刻印の花嫁 〜姫の嫁ぎ先は闇の国〜  作者: 森ののか
第2章 ジルダー勇者伝説
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第66話 ドレス談義

「終わったあああ!!」


もはや深夜。

もうずっと掃除ばかりやっていた五人は、やっと何とかなった屋敷を見上げて笑顔をあふれさせた。

なんなら天界の神々も呼んだ。

エルやエイレイテュイアなんかは手伝ってくれたので何とか今日中に終わった。


「これでお父様がいらっしゃっても何とかなるわ!」


「ああ、あとは使用人だが……」


どうしたものかとあたりを見回したジャンにエルがにっこりと笑いかける。


「大丈夫よセルリオール。私のところのニュンペーを貸してあげるわ」


「私もです。お母様にも聞いてみますね」


「本当ですか!?」


おお、この屋敷の臨時使用人、全員ニュンペーになるのか。

前公爵にはご愁傷さまということで。

なにせ彼は天界の女神たちから笑われがちだからだ。

あの毒蛇、とか。


「もちろんよ。あなたのいうことなら喜んで聞いてくれると思うわ!」


ここでアフロディーテがいたりするとあの腹黒のいうことは聞かないかもだけど、とか言いそうだ。

この空間が光でよかった。


「ねえオーロラ」


「なあに?」


唐突に疑問を投げかけてきたロゼッタにクリスティンが首を傾げる。


「あなたの普段きているドレスってどんなの?」


彼女は一瞬驚いた顔をした後、その場でくるりと回転した。


「私はいつもこれよ。あなたも知ってるでしょう?」


「違うの。公爵家にいた時はそのドレス、普段着じゃあなかったでしょう!?」


さすがに公爵令嬢が、この格好が普段着だとまずすぎる。

だってクリスティンがいつも着ているのは薄い布を金の輪で止めてあるだけのあまりにも簡素なつくりだ。

全体的に肌が出るから、前公爵が許可するわけがない。

ずっと不思議に思ってたのよ、なかなかあなたの普段着を見る機会がなかったんだもの、とロゼッタが頬を膨らませる。

すると彼女はくすくすと笑い始めた。


「ふふ、じゃあ特別にいいこと教えてあげるわ。ついてきて?」


ロゼッタの手を引いて、先程入れた簡単な荷物の中から一着ドレスを取り出す。


「汚れた時のことを考えて予備を持ってきていてよかったわ。見て」


クリスティンが胸元のリボンに手をかけた。

その瞬間、ロゼッタは目を見張った。

しゅるん、と、そのリボンがドレスから抜け落ちたからだ。


「ロゼッタ、あなた私がお父様の前みたいにちゃんとした時以外今のドレスを着ていたこと知っているんでしょう? でもいつも私が違うドレスで来るから不思議の思ってたんじゃない?」


「そうよ。何着持ってるのかしら、どれだけ種類があるのってずっと疑問に思ってたの」


自分の言いたいことがやっとまとまったのか、彼女はクリスティンにすぐさま同意する。


「簡単よ。私のドレス、装飾品が全部とれるのほら、この宝石だってここの花だって、全部この紐で基本のドレスにくっつけてるだけなのよ。だってお父様や他の家の方々は同じ服を着まわすなんて!ってたくさん服を仕立てようとなさるけれど、そんなことしたら一度しか着てもらえなかったドレスは悲しいと思わない?」


「ええ思うわ! みんな使い捨てが過ぎると思うの。お金がもったいないじゃない、私はいつもドレスがないから夜会に行くのも苦労してたのに!」


ロゼッタ、クリスティンが言いたいのはたぶんそういうことじゃないし、貧乏伯爵家の名残が出てるからおさえておさえて。


「だったらこの方法、とっても便利でしょ? 自分の気分でどの飾りをつけるか決められるの。何着も仕立てるよりずっと早く自分の着たいものが着れるの」


「私も一度それをやってみたいわ。でも今から新しくドレスを注文するのも気が引けるわね……だって私、旦那様に結婚の時にいただいたドレス、全部きれていないもの……」


あれは全部着る必要のない、ただの贈り物だと思うが……


「それなら私の着ていないのをあげるわ。最近はずっとこれだから、私の屋敷に置きっぱなしになってしまっているのがあるはずよ。今度一緒に見に行きましょう?」


「それは楽しみだわ!」


なお、男性諸君は話について行けない。

二人仲良くきゃっきゃしてます。

次の更新予定日は十二月十九日です!

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