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刻印の花嫁 〜姫の嫁ぎ先は闇の国〜  作者: 森ののか
第2章 ジルダー勇者伝説
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Coffee break♡♡ 美しき王妃は意外と可愛いのっ!

今日はcoffeebreakです!

ちゅんちゅんと小鳥のさえずる音が聞こえて、少女はんん、とくぐもった声を出す。続いて眩い朝ににがばりと起き上がると、ぱっと大輪の花が咲いたように目を輝かせた。


「やっとだわ、今日、今日、今日!」


堅苦しい屋敷でないのをいい事に彼女は裸足で夜着のまま部屋を飛び出す。そしてそのまま、廊下でうさぎと話しているジャンに後ろから飛びついた。


「ジャン!!」


「っと、ジュリアか。おめでとう、愛してる」


抱き上げられて、そのままくちびるに口付けられる。そう、今日は。絶世の美少女であるジュリア・ジュネ・クリスティン・セルヴィール・スノーオーロラリア・ウィルフリーズアの誕生日なのだ。



「お嬢様がお越しです」


使用人のその一言で、一部屋に集まって神妙な顔つきで椅子に座っていた独身令息諸君――父親も含むは一斉に立ち上がった。何しろ彼らは究極のシスコン。妹の誕生日を一番に祝うのは誰か一週間前から言い争い、まあ少し前までは一年前から言い争っていたのでクリスティンからせめて一週間前からにしろと言われたからなのだが、そして競争しているのだ。


「「お誕生日おめでとう!!!!!!」」


エントランスに五人の声が響きわたる。あれ、この展開どこかで見たような。


「なんでそんなに朝から人の家で騒ぎたがるんだ!」


そんな声とともにやって来たのはこの本館の主、クロフォード・レスト。あ、知ってる!!! これ去年の誕生日でも見たやつだ!!!


「でもこの本館兄上だけの家じゃないじゃん!」


「その言い訳は去年も聞いた」


再びセシルとクロフォードの間に火花が散る。ただ、去年と違う点が一つ。クロフォードとともに降りてきてロゼッタがもう、と二人の間に割って入る。


「せっかくのお誕生日なのに喧嘩はだめですよ、旦那様、セシル様」


腰に手をあてむっと頬を膨らませるロゼッタに場の雰囲気が和む。


「まあロゼッタ、あなたったらいつの間にこんなに溶け込んだの? ふふふ、あなたのお部屋に行ってもいいかしら」


流れるように二人は横に並ぶと、楽しく話しながら屋敷の奥へと消えていってしまった。そして残された哀れな公爵家の令息たちは膝から崩れ落ちた。


「「な……なぜだー!!!」」




「それじゃあ行くわよ~!! オーロラちゃんのお誕生日を祝う者は誰かー!」


「「最強に善良すぎて完璧すぎる神~!!」」


森に神々の愉快な声が響く。この乾杯音頭を聞いたのも一年ぶりか。とにかく宴好きでことあるごとに宴を開きたがる神々にとっては、とりあえず素晴らしい機会だったのだ。


「去年よりもまた美人になったわ~! 私のおかげねっ!」


もうクリスティンにめろめろといった様子でにこにこクリスティンと話しているアフロディーテのところにわらわらと女神たちが寄ってくる。


「クリスティン、お誕生日おめでとう」


「ありがとうございます、シェレネ様!」


笑顔でお礼を言ってくるクリスティンに、シェレネはそっと包みを渡す。


「可愛いのを見つけたから送ろうと思って、その……もうそんな年じゃあないかもだけれど……」


ちょっと不安げな顔でこちらを見上げてくるシェレネに、なんだろうと早速包みを開けてみる。すると中から出てきたのは……


「可愛い! うさぎのぬいぐるみだわ!」


綺麗な刺繍が施された人形を抱きしめてクリスティンは嬉しそうに笑う。おそらくイニシャルの刺繍部分はシェレネが自ら施したものだろう。ところどころがたついているのが微笑ましい。


「よ、喜んでもらえたかしら……?」


「もちろん! すごく嬉しいです!」


満面の微笑みを向けられて安心したのか、シェレネはほっと胸をなでおろした。


「オーロラ、私からも贈り物をさせてちょうだい!」


そばで見ていたロゼッタが、ここぞとばかりに包みを持って会話に入ってくる。


「ロゼッタもくれるの? 嬉しいわ、何かしら」


綺麗な包装を開けると、中身はうさぎの小さな置物だ。


「可愛い~。シェレネ様といいロゼッタといい私にはこんな印象があるのかしら? ふふふ」


クリスティンの世間での印象は、可愛いではなく美。年相応の可愛らしさや幼さをそのまま見てくれるシェレねやロゼッタといて心地いいのは、必然なのかもしれない。

十月二日がクリスティンちゃんの誕生日だったので書きました。クリスティン、誕生日おめでとー!

次回の更新予定日は十月二十日です!

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