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刻印の花嫁 〜姫の嫁ぎ先は闇の国〜  作者: 森ののか
第2章 ジルダー勇者伝説
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第54話 金の宝石

お久しぶりです。更新するする詐欺すいません(((

リデュレス王国王宮。

服装を整えて許可証を携えてやってきたゼルディランのところに優しそうな門番がよってくる。


「観光の子かな?」


違う。

断じて違う。

ただこの見た目と身長のせいでこういったたぐいのことに離れているのか、彼はにっこり門番を見上げて許可証を突きつけた。


「ディアネス神国国王より書簡を預かっております。国王陛下に謁見を」


「ああ、陛下が仰ってたあの。中へどうぞ」


人柄の良さそうなほほ笑みを浮かべて門番は彼を城の中へと促す。

中に入ると、ディアネスとは全く違うがきれいな壁装飾が目に入った。


「どうぞこちらへ。国王のもとへご案内いたします」


これまたふわわんとした雰囲気の近衛兵に連れられて、ゼルディランはリデュレス国王のもとへ向かった。



「きれいな飾りですね。レースですか?」


天井からところどころ吊り下げられている飾りを見ながら彼は近衛兵にそう聞いた。

ディアネス王宮ではこんなもの見たことがない。

だが次にけろっとした顔で近衛兵がありえないことを言ったのだ。


「ああ、それは王妃様が作ったレース編みですね。昔からずっと続けておられるんです」


「王妃様が!?」


刺繍ぐらいはするだろうとお思ってはいたが、まさか完成品を城中に飾るなんてことをしているとは思っていなかったようでゼルディランはもう開いた口が塞がらない。

彼だって公爵家の出なのだから当たり前といえば当たり前なのだが。

この国の庶民でも国王のもとに嫁げるという状況が異色なだけである。

まあ平和な国であるし、これがこの国なのだと思えばわかると思いつつ色々よそ見をして歩いていると、ちょうど角を曲がったところで思い切り誰かにぶつかった。


「きゃあっ!」


幼い少女の悲鳴にゼルディランは慌てて手を差し伸べる。


「申し訳ない! 大丈夫? 怪我は……」


そこまで言って彼は言葉を失った。

ふんわりと光る金の髪は今まで見たどんな少女よりも美しく、薄い色のくちびるは今まで見たどんな少女より甘やかで魅力的に彼の瞳に映ったのだ。


「わ、私こそごめんなさい。お姉ちゃんが廊下は走っちゃだめって言ってたのちゃんと守っていればよかったわ……でも私、ここに来たらつい走りたくなっちゃって……」


段々と声が小さくなっていく少女が、こんなにも愛らしい。

無意識のうちに表情を緩めながらゼルディランは少女の手を取ってできるだけ平静を装ったまま彼女を起こした。

そして、改めて少女を見つめる。

一番先に目に入ったのがこの金の髪だったから全く気が付かなかったが、服装からどうやらこの少女は王宮関係の者ではないらしい。

先程街であったあの少女と似たような服を着ている。

歳はそう、十歳前後だろうか。


「あ、あの、君は……」


名前はなんていうの?

そう聞きたかったのにその言葉は少女によって遮られてしまった。


「あ、私もう行かなくちゃ。またね、騎士様!」


砂糖菓子のように甘い笑顔を浮かべて、軽い足取りで去っていってしまった彼女の後ろ姿を見て、ゼルディランは彼女は砂糖菓子の妖精なのではないかとつい思ってしまった。


「あの子が言ってたみたいに王宮に遊びに来た子なのか……?」


小さく小さくそう口にして、彼は先の方で待っていた近衛兵を追いかけた。



「中で国王陛下がお待ちです。どうぞ」


近衛兵によって広間の扉が開けられる。

あのシェレネの父親なのだから優しいだろう、ということだけはわかるのだが、いかんせん彼はこの国の王にあったことがない。

ので、びっくりするだろう。

王妃の突飛さに。


「ディアネス王国国王より、リデュレス王国国王陛下へ書簡をお持ちしました」


そう言って彼は顔を上げる。

顔を上げて、そして固まった。

玉座には温和そうな国王。

その隣にはにこにこと微笑む王妃。

そして王子、王子の隣にティアラを付けて立っているのでおそらく王子妃、その隣には先程廊下でぶつかったあの少女が服も髪もそのままで立っていたのだ。

反射的に叫び声をあげなかった彼を褒めてあげたい。

だが少女の方は堪えられなかったのか、小さく


「え……?」


と声を上げた。

今日から投稿再開します。次の更新予定日は10月10日です。

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